俺の迷い込んだ世界が…… Season2   作:月島柊

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第22話 スキー1日目

 

 スキー場に着き、レンタルする物をレンタルして、俺たちはロッカーに向かった。

 

「2人で1つロッカー使おうか」

「私柊くんのところに入れる」

 

そう言ったのは一歌……ではなく志歩だった。一瞬戸惑ったが、一歌は咲希と同じところに、魁は海斗と同じところに入れたことで仲間はずれにはならなかった。穂波と龍夜はいつものペアだ。

 

「中から必要な物出して。靴は海斗が持ってきてるから」

「スキーウェアは?」

「そうだ。このバッグから出してくれ。首元についてるカラーセロハンで誰のか分かるから」

 

みんな一斉に取り始めた。海斗も戻ってきて、荷物を持ったまま男女兼用の更衣室に向かった。

 

「え、更衣室って……」

「服は脱がないよ?」

「あ……」

 

志歩は少し顔を紅くした。

 

「行こう、志歩」

 

俺は志歩を連れて更衣室に入った。

 

 

 

 ギターパートとベースパートのSTARNIGHTを交換した感じでスキーをすることになった。魁と一歌、俺と志歩ということだ。

ゴンドラは6人乗れるが、4人で乗ることにした。

 

「あっ」

 

志歩はおぼつかない足取りで歩く。スキー靴に慣れないんだろう。

 

「大丈夫?」

「慣れてないから……」

「手繋ごうか?」

「……お願い……」

 

俺は志歩の手を握る。志歩のスピードに合わせるように、足取りを揃えて歩く。

 

「おい、あれ、カップルじゃね?」

「うわぁ、ホントだ。両方クール♪」

 

周りからそんな声が聞こえる。普通に恥ずかしい。端から見れば俺もクールに見えてるだろうけど、内心無茶苦茶緊張してるし。

 

「志歩」

 

話しかけると、志歩は強く俺の手を握る。

 

「志歩?」

「な、何」

 

志歩は鋭い目で俺を見る。

 

「あ、えっと、視線が……」

 

そう言うと、志歩は俺に寄ってきた。

 

「言わないでよ……恥ずかしいから……」

 

志歩は俺にくっついたまま言った。やっぱり、乙女心もあるらしい。

 

 ゴンドラの列に並ぶと、志歩は恥ずかしくなくなったのか、俺から少し離れた。手は繋いだままだけど。

 

「あ、もうすぐだよ」

 

志歩はスキー板とストックを持って俺についてきた。

ゴンドラが来ると、スキー板をゴンドラの横に掛け、ゴンドラに乗った。

 

「志歩、おいで」

 

志歩はゴンドラに乗るタイミングを見失っていた。俺は志歩に手を差し伸べ、こっちに優しく引いた。

 

「おいで、志歩」

 

志歩は俺の手を掴んでこっちに来る。

 

「わっ」

 

志歩が飛び込んできた。そのままで支えられるほど軽かった。

 

「大丈夫?」

「うん。ありがと」

 

志歩は俺の隣に座った。ゴンドラが動き出すと、志歩は外を眺め始めた。

 

「雪、すごいね」

「あぁ。この雪の上を滑るんだな」

 

 

 ゴンドラが着くと、志歩はすぐに降りた。俺が降りると、また手を握る。

 

「早く滑ろう、柊くん」

「あぁ」

 

俺と志歩は室内から外に出てスキーを始めた。

スキー板の履き方を教えたあと、俺は基本的なことを教えた。

 

「滑ってるときは基本的にハの字にしてて」

「こう?」

 

志歩は内股になった。かわいい……

 

「ちょっとやりすぎかな。足だけ内側に傾ける感じで」

 

志歩はさっきより立てていた。

 

「オッケー。それで止まれるから」

 

俺は志歩の方を向いて手招きした。

 

「おいで。少し滑ってみよう」

 

志歩はストックで勢いをつけ、俺の方向に滑ってくる。

初めてにしては上手くいき、停止も上手くいった。

 

「上手だ。そういう感じ」

「ちゃんと滑りたい」

「おっ、じゃあリフトで上がろうか」

 

俺はリフトに向けて歩き出す。すると、志歩が足を前に出して滑るのを繰り返していた。

 

「歩くときは板を横にするんだよ。そうすると歩きやすいから」

 

志歩は言われたとおりに歩き出す。まともに歩けている。

リフトの前に並ぶと、志歩がすぐ横に来た。

 

「前の人が行ったらすぐに前に出てね。乗り逃すから」

 

前の人が行ってから、志歩はすぐにストックで前に出た。

 

「もうすぐ来るよ」

 

志歩はリフトに座ると、すぐに横の手すりに掴まった。

 

「上から降ろすから」

 

俺が上から安全バーを降ろすと、志歩はすぐにそれに掴まった。

 

「怖いか?」

「……」

 

志歩は小さく頷いた。

 

「俺が話してれば大丈夫じゃない?」

「じゃあ、ずっと話しててよ」

 

志歩は俺の方を向いた。

 

「リフトから降りたら、すぐにハの字にして」

「ん。どうして」

「後ろから追突されるからな」

 

リフトがもうすぐ終点に着くときになって志歩はハの字の準備をした。安全バーを上げ、俺たちはリフトから降りた。

志歩は俺より先に降り、速く行った。しかし、すぐに止まれていて、俺は安心した。

 

「よかった。じゃあ、行こうか」

「ま、待ってよ」

 

俺は目の前の初心者コースを滑り始めた。志歩は戸惑って立ち止まっていたが、少ししてから滑り出した。

 

(来れるかなぁ)

 

俺は曲がった後にいた。どっちに進むかは分かってるはずだし、大丈夫なはずだ。

少しして、志歩がゆっくりと俺の方に来た。曲がれて、転んだ様子もない。

 

「よかった、来れたね」

「緊張したけど」

 

志歩は少し不機嫌そう。

 

「ごめんごめん。もう一緒に滑るからさ」

 

俺は志歩の隣に行った。

 

「さっきと同じように滑って。真横で滑ってるよ」

 

志歩はさっきと同じように滑り始めた。少し怖がっているような感じではあったが、初日にしては上手く滑れていた。

 

 昼食の時間を少し過ぎた午後1時半、少し遅めの昼食としてフードコートに向かった。志歩は暖まりたいと言ってラーメンだったが、まぁ、うん。好きだからだよな。

 

「このあとは新幹線の終電に合わせて帰るからな」

「少し話してたいんだけど……あ、スキーが嫌いだからじゃなくて」

 

志歩は遠慮気味に言った。

 

「志歩も俺に段々心開けてきたね」

「そ、そういうわけじゃ……」

 

俺は志歩のことを見た。

 

「それで、何話す?」

「あ、そうだ。柊くんっていつからスキーやってたの」

 

スキー関連の話をするあたり、興味がないわけじゃないのは本当だろう。

 

「中学2年のときかな。そのあと高校と大学でもやってたよ」

「柊くん、スキーやってるときかっこよかったから」

 

志歩にそう言われると、少し照れる。

 

「あ、どうも……」

「柊くん、照れてる?」

「……んにゃろ」

 

俺は志歩の頬を両手で挟んだ。

 

「分かってるだろ」

「むぐ……分かったから、はなひて」

 

俺は志歩の頬から手を離した。

 

「なんか、このやりとり面白いな」

「うん。なんか楽しい」

 

俺たちは時間を忘れて志歩と話していた。

 

 

 時間はいつの間にかゴンドラが終わる1時間前だった。最後に滑ってきた龍夜と穂波が着くと、俺たちはゴンドラの行列に並んだ。ここでペアを戻し、俺と一歌、魁と志歩にした。

 

「このあと、また着替えて19:10発で越後湯沢に戻って今日は終わりね」

「ホテルって越後湯沢なんだ」

「この近くに無くてね」

 

ゴンドラの列はそこまで長くなくて、後ろに大勢並んでいる感じだった。

 

「じゃあ、乗るよ」

 

俺と一歌はゴンドラにゆっくりと乗った。

 

 

 

 着替え終わり、俺たちは17:00頃に戻ってしまったため、休憩スペースで8人固まって駄弁っていた。フリースペースで、たまたま周りに人もいなかったため気兼ねなく話せた。

 

「このあとどうする?」

「越後湯沢ってなんかあるかな」

「風呂入りたい」

「腹減った」

 

みんなで話し合ってるのかは知らないけど、色々話していた。

 

「疲れたな」

「うん。ホテル行ってお風呂入ろうね」

 

一歌は俺の話に乗ってくれた。やさしい。よかった。

 

「明日って何するんだっけ」

「明日は午前中だけスキーやって、午後はちょっと、ね」

「?」

 

一歌は頭の上に?を浮かばせた。明日の午後は廃墟探索なんだけど、今一歌に教えると来ない。うん、間違いない。

 

「きっと楽しいことさ」

「じゃあいいけど……」

 

俺は一歌と2人で話していた。

 

 18時頃、俺たちは待つことに飽きてきて、海斗がある提案をした。

 

「みんなで温泉行かない?飽きたし」

「俺はいいよ」

 

龍夜が言うと、みんなが風呂の支度をし始めた。俺も支度をして、STARNIGHTについていった。

 

 

「みんなで風呂なんて久しぶりだな」

「な。あれ、柊は咲希ちゃんたちと入ったんだっけ?」

「あぁ。混浴だったから」

 

みんな結構男子で、少し羨ましそうに俺を見ていた。

 

「ホテルで一緒に入ればいいじゃないか」

「それでもいいけどさぁ」

 

海斗は上を向いた。そんなに羨ましいか、俺が。

 

「志歩……」

「あれ?好きになったか?」

「……そんなわけじゃ……」

「ま、そういうことにしておくよ」

 

龍夜が魁を冷やかす。やめてやれ、龍夜。というか、好きなんならそれでいいのに。な、一歌。って言っても伝わらないか。ま、俺だって一歌のこと好きだし。

 

 

【星乃一歌視点】

 

 みんなが一緒に入って最初にした話はやっぱり恋バナ。咲希たちも好きだったみたい。

 

「それで、ほなちゃんはいるの?好きな人とか」

「うーん、恋愛的じゃないかもだけど……」

 

きっと龍夜くんだ。

 

「私たちみんな柊くんと一緒に入ったもんね~」

「うん。よかったなぁ」

 

穂波は咲希の近くで笑っていた。一方志歩は咲希と穂波の背中に隠れていた。

 

「志歩?」

「魁と入りたかった……」

「え?」

 

志歩がまさかのことを言いだした。

 

「な、なんでもない……」

 

咲希はそれに口を挟んで。

 

「魁くんのこと好きなんでしょ」

「べ、別にそんなわけじゃ……」

 

照れなくていいのに。好きだったらそれでいいんだけどなぁ。ね、柊くん。って言っても伝わらないか。

 

「ふふっ」

「そ、そんなんじゃないって……」

 

志歩は少し顔を紅くして湯船に口まで浸かった。

 

 

【月島柊視点】

 

 俺が1人で温泉から出ると、丁度あがった一歌と出くわした。一歌の頬は少し紅くなっていて、ほかほかしてそうだった。

 

「どうだった、一歌」

「気持ちよかったよ。柊くんは?」

「一歌たちの話してた。魁が志歩のこと好きって認めないけど」

「あ、こっちもだった。志歩が」

 

両方似たような会話してたんだな。

 

「んじゃ、みんなと集まってホテル帰ろうか」

「うん」

 

俺と一歌は手をつないでフリースペースに向かった。

 

 新幹線に乗って、一歌と志歩は疲れ果てたのか俺の肩を借りて寝ていた。

 

「かわいい……」

 

俺以外みんな寝ていて、席は端から一歌、俺、志歩が3人席、魁、龍夜で2人席、その前に穂波と咲希が座っている。

 

「ホテルに着いたら一緒に寝ような、一歌」

 

俺はこっそり一歌にそう言った。

 

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