俺の迷い込んだ世界が…… Season2   作:月島柊

26 / 61
第25話 再会

 

 「そうそう!そんな感じだよ、一歌」

 

俺は一歌に言った。いやぁ、上手くなったなぁ。

 

「うん!もう慣れてきたかも」

 

それもそうだろう。今までハの字でしか滑れていなかったのに、今日はミドルターンの練習。なんかミドルターンっていうよりロングターンだけど、ターンができるだけでそれっぽくなる。

 

「もう少しターンを素早くやってみようか。曲がったって感じたらすぐに反対に切り返す感じで」

 

一歌は一度止まってからターンを始めた。ミドルターンの形にはなっている。ちなみに、俺たちがよくやるのもミドルターンに近い感じ。傾く角度は人によって違うが、俺は結構角度が急な人。海斗は緩やかだ。

 

「柊くん、このままミドルで降りてっていい?」

「あぁ。いいぞ」

 

一歌は速度を上げてミドルで降りていった。俺もその後ろをミドルターンではなく、ショートターンで降りていく。結構苦手なんだが、練習だ。

他のみんなは、基本的にみんな自由で、一歌は俺と滑りたいってことで一緒に。魁と龍夜が今日はスノボだ。俺だって怪我の翌日な訳だが、そうは思えないほどに動いている。今日が大晦日なのもあるが、みんなで滑りたかった。

 

 一歌が滑り終えてからしばらくして、俺も下に着いた。ミドルターンの練習で4回程度転んだけど。

 

「次どうする?」

「お、まだ滑りたい?」

「まだ疲れてないから」

 

一歌はリフトに向けて歩いていった。まだ歩き方はぎこちないか。

 

「じゃあ行くか」

「うん」

 

一歌は俺と並んでリフトに乗った。

リフトに乗ってから、俺と一歌は話を始めた。

 

「みんな、スノーボードとかできるんだね」

「あぁ。今日は魁と龍夜がやってるよ」

「スノーボード、難しそうじゃない?」

「あぁ。難しいよ」

 

「木の葉」と呼ばれる技みたいなのがあるんだが、あれができるまでも結構かかった。できると楽しいけど、俺はやっぱりスキーだ。

 

「もうちょっと上手くなったら初めてもいいかな」

「おっ、興味持ってきたな」

「スキーが好きになってきたから」

 

一歌がそう思ってくれてよかった。これでLeo/needも大人に近づいたな。STARNIGHTはそれを望んでいた。

 

「STARNIGHTにも思いがあるんだよ。君たちに対しての」

「そうなの?知りたい」

「それはみんなが集まってからだな」

 

リフトが上に着き、俺と一歌はリフトから降りた。

 

「一緒に滑ろう?柊くん」

「もちろん。一歌に合わせるよ」

 

一歌はミドルターンで降りていく。俺がその横を滑っていく。一歌と意思疎通して、どっちに曲がるか、などを予測していたため、ぶつからなかった。

 

 

 

 

 

 

 俺はフードコートで、たった1人で休んでいた。休めてもいないが。

 

「いってぇ……」

 

どうして俺が悶絶してるかって?それは今から10分前に遡る。

 

 俺は途中で志歩と合流した。だから、一歌、俺、志歩の3人で滑っていた。

しかし、途中から吹いてきた吹雪が強くなり、指導のために外していたゴーグルを着けた。

視界は吹雪で悪く、かろうじて見えるゲレンデを滑っていった。

一歌は俺のすぐ隣に、志歩はその後ろにいた。

吹雪で見えなくなり、俺は安全のために一度止まろうとした。

 

「一歌、一回止まるよ」

「うん。って、柊くん!そこ!」

 

一歌は俺の手を掴んだ。しかし、スキーウェアで滑り、一歌の手は離れていく。

止まろうとしたところが平坦でなく、平坦だと思っていた俺はバランスを崩し、そのまま転倒。転倒だけならよかったのだが、足首や腕、さらには肩を強く打ったため、昨日刺された傷口がまた開いてきた。

 

 

 というのが一連の流れ。転倒した俺はどうにか下まで滑り、フードコートで休憩をとった。

傷口からまた血が出てきて、スキーウェアの下に着ていた服を見ると、血が滲んできていた。

 

「……」

 

血を見る度に昨日のことを思い出す。

醜い演奏、酷い歌。

事実ではないデタラメと信じたいが、どうもそうは思えなかった。

 

「柊くんっ」

 

俺の背後から俺を呼ぶ声。Leo/needじゃない女の人の声。

俺はその声がする方へ振り返った。そこには、誰もいない。俺の幻聴だろうか。

 

「なんだ……幻聴か」

「幻聴じゃないって」

 

俺の独り言に反応した。俺は周囲を見回した。

すると、俺の左後ろに女の人が立っていた。

 

「……お前……」

 

俺は手を伸ばした。夢か、現実か。

俺が手を伸ばすと、女の人は俺の手を握った。

 

「何年ぶりかな。10年くらい?」

 

俺は痛みを堪えて立ち上がった。俺より少し低い身長。声は少し変わってるか、いや、あまり変わってないか。

そこにいたのは、交通事故で亡くなったと聞いていた、咲良だった。

 

「酷いんだよ?私死んでないのに、他の人と取り違えて死んだことになってるんだから」

「けど……両親が……」

「柊くんを驚かせようとした嘘だってさ。やになっちゃう」

 

話し方も昔と変わってない。間違いない、咲良だ。

スキーウェアに、スノーボード。ぎこちない歩き方で俺に寄ってくる。

 

「柊くんは変わったね。色々と」

「そうか……?」

 

俺は今の状況についていけてなかった。

 

「もうっ、柊くん、なんかぎこちないよ」

「あぁ、ごめん……」

 

衝撃なのもそうだが、髪型が俺のタイプにそっくりだ。一度咲良に言ったことはあったが、それ通り。というより、もしかして……

 

「髪型さ、もしかして──」

「あ、気付いた?高校の時に柊くんがタイプって言ってた髪型なんだ!」

「へぇ、かわいい」

「ありがとっ」

 

俺が咲良と話していると、後ろからSTARNIGHTとLeo/needもやってきた。

 

「おっ、咲良。来てたか」

「あっ、みんな。久しぶり~」

 

俺は魁のことを呼んで聞いた。

 

「おい、来るの知ってたのか」

「あぁ。柊以外知ってたぞ」

「マジかよ……」

 

俺はみんなの方を見た。

 

「一歌たちも知ってたのか」

「うん。知ってた」

 

ホントに俺だけ知らなかったのか。

 

「柊くんは何してたの?」

「怪我だ」

 

咲良は俺の横に立った。

 

「うわ、すごい……」

「大丈夫さ。あ、そういえばスノボやってたんだっけ?」

「うん」

「魁と龍夜に教えてもらえ。スノボ得意じゃないだろ」

「分かった」

 

咲良は魁と龍夜と一緒に外に出て行った。

 

「柊くん、怪我は治ってきた?」

「まぁ、多少は」

「もうちょっと休んでよっか」

 

一歌は俺の隣に座って、俺のことを見守ってくれた。

 

 その日の夕方、咲良は俺たちとは違うホテルに戻っていった。明日の10時に待ち合わせしている。

俺たちは年越しの瞬間をホテルで迎えた。みんな大広間に集まり、時計を見ながら年越しの瞬間を伺った。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。