俺の迷い込んだ世界が…… Season2   作:月島柊

27 / 61
第26話 新年

 

 12月31日23:40、俺たちはホテルから出て近くの空き地に向かった。雪が高く積もり、俺たちはその上に上った。

 

「あと20分くらいかな?」

 

一歌が言った。23時46分17秒。あと13分ちょっとだ。

 

「あと13分ちょっとだね」

「うーっ、さむーい」

 

咲希が海斗に抱きついた。確かに、寒い。上着は着ていたが、Leo/needはこっちの気温が分かっていなかったのと慣れていなかったため、関東と大して変わらない服装だった。俺たちは厚めのコートだけど。

 

「一歌、寒くないか」

「んー、ちょっと寒いかも。手とか」

 

一歌は小悪魔のような目で俺を見つめた。手を出していて、多分握ってくれると思っている。

 

「分かった」

 

俺は一歌の手を握った。一歌は俺にくっついて年越しを待った。

23時58分45秒。あと1分ちょっと。一歌は俺の腕時計をずっと見ていた。

 

「なぁ、年越しの瞬間全員でジャンプしようぜ」

 

龍夜が提案した。

 

「あぁ、いいぞ」

「いいよ!」

 

みんなでジャンプすることが決まった。

23時59分50秒、俺の声でカウントダウンが始まった。

 

「10、9、8」

 

一歌は俺の手を握り、みんなもパートごとに手をつないだ。

 

「3、2、1!」

 

1月1日0時0分0秒、新年を迎えた。

 

『ハッピーニューイヤー!』

 

 

 

 

 1月1日15時40分

俺たちは咲良に帰ることを言った。

 

「咲良、なんかあったら連絡してくれよ」

 

今日来てすぐ、俺は咲良と連絡先を交換した。

 

「うん。またね、柊くん」

 

俺は手を振って、改札の前に行った。15:57発たにがわ412号で渋谷へ帰る。15分前の15:42から改札は開始している。

 

「柊くん、帰りはどういう感じ?」

「あ、そうだ。座席バラバラなんだ」

 

俺は一歌に聞かれたのを瞬時に返した。

 

「よく分かったな、どういう感じかだけで」

「気があったんだよ。な、一歌」

「うん」

 

俺は指定した座席を読み上げる。

 

「7号車2番ABC、17番DE、9号車10番ABC」

「じゃあ席はじゃんけんで決めよう。STARNIGHTの勝った順とLeo/needの勝った順でいいだろう」

 

俺たちはじゃんけんを始めた。

俺は3番目。多分3人席だろう。

 

「Leo/needで1番に勝った人~」

 

海斗が言った。

 

「はーいっ!」

 

咲希が手を挙げた。

 

「じゃあ7号車の17番で」

「うん!それでいいよ!」

 

海斗と咲希が17番DE。あとは6人を半分に分けるだけだ。

 

「じゃあグーとパーで分かれよう」

 

俺はパー。あとパーを出したのは穂波、志歩の2人。

ペアは

俺、穂波、志歩

魁、一歌、龍夜

海斗、咲希

になった。

俺は両方を女子に囲まれてたんだけど、穂波がずっとくっついていて、志歩はそれに嫉妬していた。

 

「柊くん、ちょっと眠い」

「嘘つけ。俺にくっついてるだけだろ」

「だって、こういうときじゃないとくっつけないから……」

 

左側から穂波が言った。右側の志歩からの視線がすごい。

 

「あのな、志歩」

「な、なに」

 

志歩は一瞬にして視線を逸らした。

 

「お前、視線感じるって」

「そんなことないでしょ」

「志歩ちゃん、柊くんのこと取ろうとしてるんだね」

「ち、違うって」

 

素直にならないなぁ。いや、そう言うと自惚れてるみたいになるか。

 

「15:57発たにがわ412号東京行き発車いたします。次は越後湯沢に停まります」

 

発車のアナウンスが入った。俺たちは高崎まで乗車し、高崎からは湘南新宿ライン。渋谷のSTARNIGHTの事務所で泊まる。

 

「柊くん、雪、すごいよ」

 

線路脇の雪は途轍もない高さだった。窓から見える景色は全てが白。一面の銀世界だ。

 

「おぉ、すごいな」

「もう帰るんだけどね」

 

志歩はふふっと笑って言った。2人とも雪を名残惜しく思っているようだ。

 

 越後湯沢を出ると、すぐにトンネルの中へ。上越国境だ。抜けると上毛高原に停車し、その次が高崎だ。

 

「柊くん、魁から」

 

志歩はLINEを見せた。魁からのLINEだ。なぜ志歩に。

俺は魁とのLINEを2人だけのLINEでやった。

 

柊〈なんで志歩の方に〉16:02

魁〈ミスった〉16:02

魁〈セナツムギって知ってるか〉16:03

柊〈なんかの植物か?〉16:03

魁〈人の名前〉16:03

柊〈なんか聞いたことはある〉16:04

魁〈なんか連絡来たんだけど。セナツムギから〉16:05

柊〈分かった。ちょっと調べてみる〉16:05

 

セナツムギ……知らない名前だ。

上越国境のトンネルは電波が通らない。しばらく待ってから調べ始めた。

上毛高原を出発し、俺はセナツムギの連絡先を調べていった。俺が知ってるんだったら、連絡先もあるはずだ。

 

「瀬那紬希……あ」

 

俺は瀬那を見つけた。電話番号の中に瀬那がいた。

 

「どうかしたの?」

 

穂波が聞く。関係ないことだし、いいだろう。

 

「なんでもないよ。次高崎だから降りる準備しておけ」

 

俺は穂波と志歩に降りる支度をするように言った。

瀬那って、どんなやつだったかな。何せ10年くらい前のことだ。覚えてることも少ない。

 

 16:30、高崎に到着。他の5人も降り、合流してから在来線ホームに向かった。

次は17:12発快速平塚行き。40分ほど時間があり、俺は瀬那に電話した。

 

《やっほ》

「あぁ、瀬那。久しぶり」

《久しぶり。魁くんから聞いたんでしょ?》

「そう。そんで、なんか用か?」

《柊くん元気かなって》

 

そんなことかよ……

 

「あぁ、元気だよ」

《そっか。よかった》

 

瀬那はそれからしばらくして言った。

 

《あの時はありがとね》

「ん?あ、あの事件か」

 

瀬那がストーカー被害に遭っていたときのことだ。

 

《そうそう》

「そんなのいいよ。お前だって困ってたんだし」

《そう?折角会おうかなって思ってたのに》

「是非会いたいです」

 

俺は即答だった。

 

《よし、じゃあ明後日中野駅でねー》

「北口?」

《うん!》

「分かった」

 

電話が切れた。瀬那って、ロングヘアの似合う子だったな。茶色のロングヘアがかわいかった。

 

「終わったか」

「あぁ。瀬那ってあいつのことか」

 

俺は魁に言った。瀬那は魁の方が仲良かったっけ。

 

 17:04、特別快速高崎行きの折返しとして入線。俺たちは5号車前寄りの8人席に座った。1つの個室を貸し切ってるみたいになって、話せる。

 

「じゃあパートごとね」

 

一歌が窓側、俺が通路側で座った。座席を回転させて、俺と一歌は進行方向に向いている感じだった。

 

「一歌?」

「なに……」

 

一歌は不貞腐れたみたいに外を見た。まだ発車してないのに。

 

「ヤキモチ?」

 

志歩が言った。

 

「うっ……」

 

図星か。

 

「志歩とか穂波に対して?」

「他にも、咲良さんとか瀬那さんとか……」

 

俺が他の女の人と話してたのが気になったのか。

 

「かわいいなぁ、一歌」

 

俺は一歌のことをハグした。一歌は戸惑っていたが、俺は一歌のことをハグしたまま離さなかった。

 

「柊くん、私のだもん……」

 

一歌が小声でそう言ったのが聞こえた。俺はハグをやめ、一歌の方を向いた。

 

「一歌は俺のだよ」

 

同じように言った。

一歌は笑顔になって顔を俺の肩に乗せた。

 

「一歌、かわいい」

「柊くん、女たらし?」

「違うわ!」

 

志歩が俺のことをからかう。全く、誰に似たんだか……あ、魁か。

 

「実際高校の時も女友達多かったよな」

 

龍夜が言った。

 

「なんか4股とか噂あったじゃん」

「そんな噂知らないんだけど!?」

 

なんだその噂。そんなの知らないんだが。

 

「うぅ……」

「ち、違うから、一歌……」

 

一歌は不貞腐れた。なんか大変なことになりそうだ。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。