俺の迷い込んだ世界が…… Season2   作:月島柊

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第6章 柊がいない間
第28話 GW


 

 5月

一歌たちは2年生になり、どうやら一歌と志歩が同じA組、咲希と穂波はC組になったらしい。

俺たちはというと、海斗が引っ越した。学芸大学の自宅から、多摩川駅近くに引っ越したらしい。相変わらず、急行までが止まる駅に引っ越している。

俺と魁、龍夜は特に変わらず、今日も渋谷に来ていた。ゴールデンウィークだ。

暖かく、快適。俺と魁は事務所の屋上に出て、少し外の空気を吸っていた。

 

「柊、お前、咲良と紬希、一歌はどうするんだ」

「結局紬希はどっか行ったし」

 

会いたいって言ってたのに、結局どっか行った。

 

「紬希だってボブヘアでかわいいだろ?」

「俺と絡んだことなんてほとんど無かったがな」

「それはそれだ。紬希自身、柊を怖いと思ってたことあったし」

 

怖いの?俺。魁の方が怖い気がするんだが、気のせいだろうか。

 

「なーにしてんだ、お二人さん」

 

海斗がやってきた。咲希というおまけ付きだが、一歌たちはどこに行ったんだろうか。

 

「みんな数学の勉強中でさぁ、助けてやってくれよ。理系のお二人さん」

 

海斗と龍夜は文系選択、俺と魁は理系選択だった。その中でも、魁は物理選択、俺は数学選択だった。

 

「仕方ないな」

 

俺と魁は海斗についていった。数学Ⅱとかほとんど覚えてないぞ?

行ってみると、悩んでいたのは数学Ⅱではなく数学Ⅰだった。

 

「なんで数学Ⅰ?」

「今度復習テストがあるの」

 

みんながやってたのは因数分解、式の変形だった。咲希だけ化学基礎だったが、俺たちは手分けして教えていた。

 

 ゴールデンウィークと言っても、何かするわけでもなかった。ただみんなで練習するだけ。いつもの休日と何ら変わらない。

というか、いつもよりやることは少ない。さらに言うと、練習にも休みが必要だから。と言って練習も2日だけ。毎日事務所には来てたけど。

 

「柊、腹減らないか」

「んあ?」

 

俺は魁と休んでいた。いつもの暖かい屋上。

 

「なんだその気のない返事」

「あったかいんだよ。暇だし」

「だったら昼飯行くぞ」

 

俺は魁に連れてかれた。

店に着くと、俺と魁はすぐに一歌たちの話になった。

 

「そうだよなぁ。あ、志歩は違うか」

「志歩だって静かだ。なんか積極的みたいな感じするけど」

「志歩ってそんな感じだっけ」

 

志歩って感情を表に出すことない気がするんだけどな。

 

「一歌はどうなんだ。静かって言ってたけど」

「ホントに静かだよ。天然なのかたまにおかしいけど」

「いいじゃん」

「いいんだよ」

 

かわいい。それがいい。

 

「なんか一歌って恥ずかしがるところもあれば大胆なところもあるよな」

「そうだな。一歌ってバンドには人一倍気が入ってるし」

「ギタリストとして中々だよ」

 

魁も認めるほどだ。やっぱり一歌はすごいな。一歌の方がクールだったり、一歌の方が上手だったりしていたため、俺はもういらないのではないか。

 

「柊、お前はいるからな」

 

心読まれたんかな?

 

「あぁ、ありがとな」

 

俺は魁に向けて微笑んだ。

 

 昼飯が済んだ俺たちは事務所に戻ることにした。一歌たちがいるかもしれないって思ったからだ。

 

「いっちゃんてば!」

 

咲希が一歌に何か言っていた。俺たちは少しだけ外から聞いていた。

 

「だから、別に大きくなってないって……」

 

何がだろう。大きく感じることなんて何かあっただろうか。

 

「絶対おっきくなってるよー!ほら!」

「きゃっ、ちょ、咲希!」

 

何かあったんじゃないか?

 

「魁、入るか?」

 

俺は小声で聞いてみた。

 

「あぁ。行くぞ」

 

俺と魁は何も無かったかのように入った。

 

「なんだもういたのか──」

 

そこには、咲希が一歌のことを後ろから抱きついている光景が広がっていた。

 

「え?」

 

よく見ると、咲希が一歌の胸を揉んでいた。というか、現在進行形で揉んでいる。

 

「あっ、魁くん、柊くん!いっちゃんの胸、おっきくなったよね」

 

なんて答えづらい質問をするんだ。

 

「もう、咲希……」

 

一歌は俺に寄ってきた。助けを求めに来たか。

 

「あー……えと……」

「柊、正直に言ってやれ」

 

(魁!この野郎……!)

 

魁に言われた俺はもう正直に言うしかなかった。

 

「まぁ、なったんじゃね……」

 

俺は小声で言った。一歌は俺からバッと離れ、顔を真っ赤にした。

 

「こんにちは、って、どうしたの?一歌」

「え、あ、え?あ……」

 

しゃべれてない。

 

「おっきくなってるって言ったの?」

 

咲希が俺の横に来て小声で言った。

 

「あぁ……」

「ふーん、柊くんそう思ってたの?」

「……どう答えればいいんだ、それ」

 

咲希は笑って俺から離れた。志歩はどういう状況なのか分からずに、一歌と俺を交互に見て黙っていた。

 

 

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