俺の迷い込んだ世界が…… Season2   作:月島柊

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第3話 人を助ける力

 遥は俺のことを引っ張って走り出した。遥が向かった先は、普通の飲食店。なぜこんなところに連れてきたんだろうか。

 

「ごめんね、ここに」

 

みのりも一緒だったんだが、飲食店に入る理由なんて……

 

「みのりがストーカー被害受けてるらしくて」

 

アイドルをやってるんだったらあり得る話だが、気持ち悪いだろう。

 

「それで、遥ちゃんが、柊くんに任せようって」

 

俺が一緒にいたら、ストーカーがいなくなるってことだろう。

 

「だからここに?」

「うん。仲良くしてるフリでいいから」

「何言ってんだ、もう仲良いだろ」

 

俺は遥とみのりを掴んで、飲食店に入った。

 

「3名様でしょうか」

 

店員から聞かれた。

 

「はい」

「個室とテーブル、どちらになさいますか」

「個室で」

 

遥が言った。ストーカーが近づけないようにだろう。

俺は定められた個室に3人で向かった。

個室は4人まで入れて、俺の向かい側にみのり、隣に遥が座った。

 

「とりあえず、なんか話そうか」

「学校のこととか?」

「そんなことだろうな」

 

みのりは俺と遥と親しく話していた。俺はたまに外を気にしていたが、ストーカーのような人物はいなかった。

 

「それにしても、柊くんって志歩ちゃんと仲良かったんだね」

「あぁ。同じバンドだったりして」

 

俺が話していると、通路側から視線を感じ、俺は通路側を見た。

俺が見るのと同時に、隠れた何かがあったため、俺は立ち上がった。

 

「どうしたの?」

「遥、みのりを守って」

 

遥はみのりの隣へ移動し、みのりが見えないようにした。俺はドアを開け、隠れた先を見た。

 

「どうしたんですか、そんなところで隠れて」

 

予想通り。太った男性が室内から見えないところに隠れていた。

 

「い、いやぁ、何のことですかね」

「みのりを追ってんですか?」

「っ……」

 

すると、男性は俺を押しのけ、俺が開けたドアから室内へ入った。みのりに何かするつもりだ。

俺はすぐに叫び、助けを呼んだ。

 

「警察を呼んでくれ!今すぐ!」

 

俺はそう叫ぶと、すぐに室内へ入った。

案の定、男性はみのりを押し倒していた。遥がそれを退かそうとしていたが、ストーカーの体重も相まって、びくともしていない。

 

「おい、どけよ!」

 

俺はストーカーを後ろに引っ張る。

 

「みのりちゃん、かわいいよ。みのりちゃん、ぐへへ」

 

気持ち悪く言っている。俺はまた力を入れてどかそうとした。

 

「離れろ!」

 

俺がそうしていると、警察が到着した。

 

「どうしたんですか!」

「こいつ、ストーカーです!」

 

俺がそう言うと、警察の人も協力してストーカーを離そうとした。

 

「僕に触るんじゃない!」

 

ストーカーが腕を振り回して、俺と警察官を殴った。

 

「いっ……」

 

地面に俺は倒れ込んだ。窓枠に顔を打ったせいで、激しい痛みだった。

 

「公妨!公妨!公務執行妨害で現行犯逮捕する!」

 

警察はすぐに手錠をかける。

 

「なんでこんなことしたの」

 

遥がストーカーに言った。

 

「うるせぇ。お前みたいな出来損ないに言う権利はねぇよ」

「いいから、ほら、早く行くぞ」

 

警察がストーカーのことを連れていく。みのりは泣き、遥は目の輝きを失い、ただ壁を見ていた。

 

「遥、みのり。おいで」

 

みのりは少し涙を拭いたあと、こっちに寄ってきた。

 

「みのり、怖かったな。もう大丈夫だから」

 

倒れていた俺だったが、この2人は俺より辛いはずだ。

 

「遥、おいで」

「……出来損ない……」

 

遥はあの一言に酷く傷ついていた。

 

「君はスーパーアイドルだろう?」

「そうだよ、今だって、ASURANのCDは売れてるし」

 

みのりも励ましていた。

 

「私、もう終わりだよね。MOREMOREJUMPでやっていけないもん」

 

遥はもう自分を責める方向にいた。俺は痛みを堪えながら立った。

 

「そんな深く考えるな。人生って、深く考えたらきりがないから」

「でも、出来損ないだし……」

「出来損ないって、意味考えたことあるか?」

「……え?」

 

俺はスマホで検索して、その画面を見せた。

 

「でき上がりが見事でないこと」

「だから、私は見事じゃないってことでしょ」

「遥はいつから出来上がりになったんだ」

 

俺は遥に強く言った。

 

「お前はMOREMOREJUMPのメンバーだろ。まだ途中だし、目標を達成してもいない。そんなの、出来上がりって言わない」

「……」

「だから、出来損ないなんかじゃない。でき上がりじゃないから。まだ努力できる。まだ成長できる」

 

遥も泣き出してしまい、なんか気まずくなった。

 

「そうだよね……そうだよね、柊くん」

 

俺はみのりと遥を両手で抱きしめ、安心させた。

 

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