第31話 帰省 1日目
俺は一歌に事情を伝え、一歌は表参道5:03発浅草行きで神田まで来るように伝えた。
俺ができなかった理由は、電車の始発だ。
集合が4:30だったが、中野駅を出る始発は4:25。到底間に合わないため、仕方なく集合を表参道から神田に変えた。
一歌は表参道5:03発浅草行きで神田まで、俺は中野4:25発千葉行きで秋葉原、そのあと5:15発の山手線外回りで神田まで。
俺の方が8分早く着くが、一歌が地下から来るため、大して変わらない。
「柊くん!おはよう」
「おはよう。ごめんね、朝早く」
「ううん。楽しみだったから」
一歌は俺の手を握り、笑った。
「行こ、柊くん」
俺はホームに戻った。5:29発各駅停車大宮行き。上野まで乗る。
「一歌、元気?」
「うん。柊くんは?」
「眠い」
そりゃあそうだ。起床は2:00だったんだから。最終チェック、家の鍵閉め、充電器を詰めてたりしてたらもう4:00だ。25分発だからさっさと出て電車に乗った。
「じゃあ、私が起こしてあげよっか?」
一歌って攻めだっけ。
「大丈夫。一歌が隣にいれば眠気吹っ飛ぶから」
「ふふっ、じゃあよかった」
一歌は電車が着いてから、空いている車内で俺とくっついていた。
5:35、上野に到着。このあと、臨時のこまち49号に乗る。
「柊くん、帰省したら何する?」
「取りあえずお隣さんとかに挨拶かな」
一歌は「そっかー」と興味なさそうな返事。
「甘えていいよ?」
「じゃあする」
俺は一歌のかわいい姿にすっかり夢中だった。
上野6:06発こまち49号秋田行きで秋田へ。
「そうだ。秋田に俺の妹いるからさ。俺の6つ下なんだけど、かわいいよ。あとは従妹の小町もいるし。小町は俺の11個下なんだ」
「11個って、私と同い年?」
「そういうことだね」
一歌は少し安心したような顔をした。少し不安だったのかな?
すると、駅のスピーカーからピンポンパンポン♪と音が鳴り、放送が流れた。
20番線に、こまち49号秋田行きと、はやぶさ49号新青森行きが、17両編成でまいります。
こまち49号秋田行きは、11号車~17号車。大宮、仙台、盛岡、田沢湖、角館、大曲、終点秋田に停まります。こまち号は全部の車両が指定席です。グリーン車は、11号車です。なお、全車両禁煙です。
はやぶさ49号新青森行きは、1号車~10号車。大宮、仙台、盛岡、二戸、八戸、七戸十和田、終点新青森に停まります。はやぶさ号は全部の車両が指定席です。グランクラスは10号車、グリーン車は9号車です。なお、全車両禁煙です。
まもなく、20番線に、こまち49号秋田行きと、はやぶさ49号新青森行きが、17両編成でまいります。
Attention please.
The Komachi 49 for Akita and The Hayabusa 49 for Shin-Aomori.
Will soon make a stop at track NO,20.
Thenk you.
長い放送がおわると、こまち49号が入ってきた。一歌は入ってくる風で髪が靡いたため、髪を押さえていた。
「これで行くの?」
「あぁ。飛行機でもよかったんだけどさ、秋田駅に近い方が良いから」
一歌は乗った瞬間に身体の力を抜いた。
「あったかーい……」
「まぁ、車内だからな。ここから4時間くらい車内にいるから。あったかいぞ」
俺と一歌が乗る席は11号車の1番前。
一歌は客席に入ると、立ち止まった。人は思ったより少なく、11号車には誰もいなかった。後ろもいないから止まっても迷惑じゃないんだけどさ。
「え、え?」
「いやぁ、4時間だからな。ここでもいいだろう」
ここはグリーン車。放送でもあったとおり。
「い、いいの?」
「もちろん。ほら、そこだよ」
一歌は先に歩いていって席の前に来た。
「すごい……豪華……」
「一歌は窓際の方がいいか?」
「いいの?」
「あぁ。外見てると楽しいよ」
一歌は窓際の席に座った。俺が座席に座ると、電車は出発する。上野駅は地下から出発するため、一歌は外ではなく俺をずっと見ていた。
「どうかしたか?」
一歌は頭を俺の方に近づけた。多分、そうだよな?
「よしよし」
俺は一歌のことを撫でた。途中から一歌の髪を触るのに夢中だったが、一歌は気持ちよさそうにしていた。
「柊くん……」
一歌は俺のことを見つめる。なんだ、かわいい。
「なんだ」
「これ気持ちいい。席倒れるよ」
「あぁ。席取ったときは後ろの座席は人いなかったし」
一歌は何かを思い出したように言った。
「値段って……」
「あぁ、一歌の分は22880円なんだけど、それは一歌の親御さんにも協力してもらってるんだ」
俺と親御さんで大体7:3で出している。16020円を俺が、6790円を親御さんが出し、余りの10円を半分で分けた。
最初は5:5で出そうと提案してきたが、俺が多い方がいいと言うと、6:4になった。俺があまり変わらないと言って7:3になった。
これでも飛行機より安く、飛行機は羽田~秋田だけで30720円。新幹線グリーン車の方が安くすむ。
といっても、帰りは自由席で、ケチる。
盛岡までこまちで行くため、特急券1580円、盛岡からやまびこの自由席なため、自由席券4480円。乗車券10010円で合計で16070円。全部こまちで行くより1410円安い。こっちも俺と親御さんで7:3で分け、11250円を俺が、4820円を親御さんが出した。
これを一歌に話すと、一歌はホッとした。
「そうだったんだ」
「帰りはゆっくり帰るよ。一歌と長く一緒にいたいし」
電車は大宮駅を出発。次は仙台だ。