第37話 帰省 1日目
私は、魁から柊くんがどっか行った翌日くらいに話があった。それは、「帰省しないか」というものだった。
一応暇だったし、軽々しくオッケーしたんだけど、いざ当日になってみると結構後悔してる。
まず、私の服装。お姉ちゃんに言われて新しい服を買ってみたけど、意外とかわいい。かわいいのはちょっと困るんだけど……スカートだし。
「その服、買ったのか」
魁から聞かれた。やっぱり聞かれるよね。
「うん。ちょっと慣れないんだけど」
「かわいいからいいじゃん」
魁は車を走らせた。
目的地は静岡。中々遠いけど、車で行く。
家に帰ったら美人さんがいるらしいけど、なんかちょっと気まずい。多分年上なんだろうけど、年上の人と話すのはちょっと抵抗がある。
「どうした、志歩」
「いや、なんでもない」
同い年だったらいいけど、美人さんって言い方するってことは多分年上。
「私ってどういう扱いで話つけてあるの?」
「女友達。周りが騒いじゃったけど」
結構静かな家じゃなさそう。魁とは真逆だ。
「静か……」
「あぁ。基本的には」
ホントかな……
家に着くと、魁は私と手をつないだ。急に繋いだから、私は思わずビクッとした。
「あ、ごめん」
「あ、ううん」
私は魁と一緒に家の中に入った。魁は私のことを守るようにしていて、結構安心した。
「ただいま、母さん、父さん」
魁がそう言うと、両親が私たちを迎え入れた。
「おかえりなさい。そちらが志歩さん?」
「あぁ。俺のガールフレンド」
魁は私のことを紹介する。
「そうか。よく帰ってきたな。荷物は2階置いといてくれ。あと、お前の部屋の隣に彩花がいるはずだ」
彩花さんが魁が美人さんって言ってた人かな。
「ありがと。志歩、行くよ」
私は魁と一緒に2階へ上がる。2階は1階より少し狭くて、私たちが使う部屋は狭い。
「志歩、一回寝てごらん」
「分かった」
私は敷いてある布団に横になった。魁が私の横に寝ると、やっぱり近い。
「意外と近いね」
「……恥ずかしいから……」
魁とここまで近くにいられると、結構恥ずかしい。寝るときはこれなんだ……
「志歩、ハグしていい?」
「えっ、ちょっ」
魁は私に抱きついてきた。あったかいけど……
「恥ずかしいって……」
「悪い。んじゃ、美人さんに会いに行くか」
さっきの……彩花さんだっけ。その人なんだろう。
隣の部屋は階の部屋とはちょっと違う。ドアがあんまりデコレーションされてない。女の子、だよね。
「彩花、入っていいか」
魁がそう言うと、ドアが静かに開いた。
「なに……その子が、ガールフレンド?」
「そうだ。志歩っていうんだ」
「……高校生……」
「あ、はい」
私はボソッと呟いた言葉に返した。
「私も。よろしくね」
彩花さんはそう言うとドアを閉めた。同い年くらいなのかな。
「結構恥ずかしがり屋?」
「いや、そうじゃない」
「どういうこと?」
私は魁に聞き返した。恥ずかしがり屋じゃなかったらあの態度は取らないと思うけど。
「1回死のうと思ったんだよ。あの子は」
魁が部屋の中に入りながら言った。魁は写真を見せてくれて、見せながら話した。
「かわいいだろ?これが彩花だ」
そこにはポニーテールのさらさらした髪をした少女が写っていた。薄い黄色のワンピースで、笑顔。これが彩花さんなんて……
「それで、これがこの写真の2年後」
魁は次の写真を見せた。ワンピースからゆとりのある灰色の服に。髪はさらさらしてそうだったけど、結んでいない。しかも胸の付近に包帯を巻いていそうな感じがする。ちょっと首元から見えてるし。
「通り魔に襲われたんだ。その犯人が彩花の知人でね、結構恨まれてたらしい。悔しさ、痛み、俺たちがいるから安心感、再び襲われるかもしれない恐怖感が一斉に来て」
彩花さん、そんなことあったんだ。でも、かわいいところは残ってた。
「まぁ、あいつも仲良くしたいとは思ってるさ。話してみな」
「うん。分かった」
私は彩花さんのところに行って話しに行った。