俺は志歩と別れ、父さんと一緒に今日のバーベキューの材料を買いに行った。静岡の中心部から若干離れたところにあるため、車で移動する。
「何入れようかな。やっぱ肉だよな」
「まぁ……そうだな。あとは野菜もほどよくあれば」
なりとど、
女子も結構いるし。
「魁、そっちの方に野菜あるから」
「了解」
俺は父さんに言われて野菜を買いに行った。
家に帰ると、1階に彩花と志歩が一緒に降りていた。なんか仲が良さそうだ。
「ベースってどんな感じなの」
「音が低い。あと、周りを引っ張ってる感じがする」
2人で会話が盛り上がっててよかった。そこまで長い付き合いじゃなかったんだけどな。
「あ、おかえり、魁」
「おかえり、お兄ちゃん」
2人が俺の方を向いた。なんだ、意外と合うなこの二人。
「よ。仲良くなったのか」
「うん。楽しい」
彩花が言った。相変わらず無表情だが、内心はきっと嬉しいだろう。
「そうか。何話してたんだ」
「お互いがやってること。お兄ちゃんも話す?」
「そうしようかな」
志歩とやってることは大して変わらないけど。
彩花は俺を隣に呼んで、話し始める。
「お兄ちゃん、東京で何してるの?」
「JRに勤めてるよ」
「じゃあ、ベースやる時間って」
志歩には話してなかった。というか、みんなの職業も教えてる人は少ないか。
「1日1時間程度はやってるけどね」
「お兄ちゃん、楽器好きだもんね」
彩花が横から言った。
「そうなの?」
「早い時期に引っ越したけどね」
中学からあいつらと一緒だったし。
「STARNIGHTだっけ。どう?」
「面白いな。STARNIGHTでいると」
あいつらといるとなぜか楽しくなってくる。みんなある程度本気で、ただ無理しない。平和なバンドだ。
「私もバンド組みたいな」
「組めばいいじゃん」
「そんな人いない」
この辺だと誰もいないか。そもそも同級生も離れてるもんな。
「なんか楽器やってるの?」
志歩が彩花に聞く。
「ギター。アコギはできるけど、エレキは……」
「エレキだったらバンド内に上手いやついるぞ」
俺は彩花の部屋に連れて行った。
彩花の部屋で俺のスマホとテレビを繋げ、柊の動画を見せた。ちゃんと撮るって許可はした。
「これ、柊くんだよね」
「許可は取った。多分」
そう話していると、柊がギターを弾き始めた。
こう見ると、柊がギターを弾いてる姿勢、綺麗だ。意識して見たことがなかったが、意外と前向いてるな。
「あ、ここでもう1人入ってくる」
入ってきたのは一歌。途中から志歩も入ってきて、ギターとベースのセッションになった。
「かわいい、この人……」
「昔のお前に似てたか」
ロングヘアなのもあるけど、笑顔を見せる。彩花もそうなれるように努力してるんだろうな。
「あれ、これお兄ちゃん?」
「あ、そう。志歩が俺と交代した」
「疲れてきたから」
動画はそれからちょっとして終了。このときはギターの練習で動画を撮っていた。
「アコギはできるんだっけ」
「うん。ちょっと待ってて」
彩花はギターを取りに行った。すぐに戻ってきて、ちょっとだけだが弾いてみせてくれた。
「どう?」
「上手いじゃん」
「うん。大人しい感じだった」
彩花は少し照れた様子でギターを置いた。
「ね、その人のこと教えて」
「柊のことか?」
彩花は頷いた。こういうところであいつは女から好かれるんだよなぁ。