俺は彩花と志歩を連れて静岡市の方まで出た。
実家があるのは結構内陸で、静岡市までは車で1時間程度。みんなでショッピングセンターにでも行こうという話になった。
そうしようとしていると、柊からビデオ通話がかかってきた。一瞬で入ってきて、そこには咲希と穂波もいた。
柊《久しぶり。みんな帰省中?》
龍夜《俺たちだけ違う。旅行中だ》
龍夜が言った。俺たちとは違うんだな。
柊《みんな、どこ行ってるんだ》
「俺は静岡の実家。涼しいぞ」
東京よりかは気温が低い。低すぎるわけでもないが。
柊《こっちは寒いけどな》
咲希《どこ行ってるの?》
咲希が聞く。確かに俺も知らないし。
柊《秋田だよ。雪は降ってないけど、積もってるね》
咲希《へぇ、秋田かぁ。美人とかたくさんいるでしょ!》
柊《さぁな。意識して見たこと無いから》
意識したことないのに女が寄ってくるなんて羨ましいやつだ。
龍夜《そう言うけどよ、お前妹さんすげぇかわいいじゃん》
龍夜が言う。そこまで言うほどかわいいのか。
柊《そう、なのかな》
龍夜《そうだって。会ったことあるの俺しかいねぇけどさ》
海斗《一歌とどっちがかわいいんだ?》
龍夜《おい、それってどっちに対しても傷つくじゃないか》
穂波《一歌ちゃんもかわいいよね》
「けど、一歌いないよね」
志歩が言ってようやく気付いた。確かに一歌がいない。
柊《あぁ。寒いからな》
「柊くんだけ外いるの?」
柊《外じゃないと通話できないんだよ》
そんなに電波悪いのか。田舎なのか?
龍夜《あれ、前行ったときは中でもできたよな?》
柊《そうだっけ?じゃあちょっとしてみるよ》
咲希《志歩ちゃん、静岡どう?》
咲希が志歩に話しかける。
「うん。けっこう静かで、気持ちいいよ」
穂波《へぇ、静岡ってそういう感じなんだ》
「結構田舎の方だからな。新幹線の駅から遠いし」
近いのは新富士だろうけど、車で行くのが一般的だろう。
柊《なんだ、俺を置いて》
龍夜《静岡の話に夢中だったな》
柊《富士山は見えるのか》
「見えない。そんな近くないし、あと別の山で見えないな」
海斗《静岡でも見えないんだな》
近すぎるってのもあるだろうけど。
龍夜《こっから富士山見えてるよ》
咲希《どこにいるの?》
穂波《スカイツリー。りゅうくんと2人でいるんだ》
柊《スカイツリーからって富士山見えんだ》
龍夜《見えるぞ。ぼんやりとだが》
柊《さすがに龍夜以外は見えないもんな》
柊の映像を見ると、家の中に入ったようだった。
??《おっ、終わった?》
柊《いや、一歌に会いたいって声があってね》
そう言うと、一歌はむくっと起き上がり、柊の右後ろから顔を出した。
柊《聞こえてるか?》
「おう。家の中に入ったのか」
柊《一歌もいるぞ》
咲希《一歌ちゃん!》
一歌《咲希。どこいるの?》
一歌が会話に入ってきた。
咲希《群馬の水上ってとこ。海斗と一緒に帰省してるんだ!》
海斗たちも帰省か。みんな実家に帰りたいんだろうな。
龍夜《あれ、凪紗いないのか》
柊《なぎ、お呼びがかかってるぞ》
凪紗《ほえ?》
凪紗と呼ばれた人が柊の左側から顔を出す。
凪紗《あ、龍夜さん!》
龍夜《久しぶり。大きくなったなぁ。大学生?》
凪紗《はい。大学4年です》
龍夜《そうか。卒業も近いんだ》
柊《あんまりナンパっぽくするなよ》
龍夜《ははは、すまん》
結構女子を守るんだな。なんか龍夜も笑ってたし。思わず笑ってしまった。みんなも画面越しに笑っていた。
柊《じゃあ、そろそろ終えるか》
「あぁ。じゃ、またな」
柊はビデオ通話を切った。結構長かったかな。
「柊くん、帰省してたんだ」
「レッスンとか言ってたの終わったんだな」
志歩は小声でなんか「だったら……」とか言ってたけど、何を言ってるかは分からなかった。
「お兄ちゃん、終わった?」
彩花が外から話しかける。
「終わった。行くぞ」
彩花と志歩が後ろの席に座った。2人で隣がよかったらしい。
「じゃあ、行くか」
「うん」
俺はショッピングセンターに向けて車を走らせた。