俺の迷い込んだ世界が…… Season2   作:月島柊

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第41話 帰宅

 

 「またね、お兄ちゃん」

 

彩花が車の横まで来てくれた。今日神奈川に戻り、明日の仕事に備える。

志歩は俺の家から1番近い戸塚駅で降ろし、志歩1人で帰ってもらう。

 

「あぁ。じゃあな」

「彩花、いつでも連絡していいよ」

「ありがと、志歩」

 

俺は彩花に手を振り、車を走らせた。彩花はバックミラーで見えなくなるくらいまで手を振っていた。

戸塚まではひたすら東名高速を使っていく。戸塚駅までは約2時間、家までは2時間強かかる。

 

「魁、明日って仕事なの?」

「まぁな。志歩は明日どうするんだ」

「練習してよっかな」

 

相変わらず練習熱心だな。まぁ志歩はそうじゃないとおかしいか。

 

「柊くん、まだ帰ってこないんだっけ」

「ん?多分まだだね」

 

なんで柊を……好きだったりするのかな。

 

「柊に会いたいか」

「べ、ベース教えてもらいたいだけだから……」

「俺いるじゃん」

 

志歩は、そう言うと「そ、そうだけど……」と濁らせた。多分柊に会いたいんだろうなぁ。

 

「まぁいいけどさ。どっちも教えられるし」

 

志歩は頷いた。誤魔化すのが下手だな。俺も結構下手だけど。

 

 神奈川県に入り、一般道におりた。あと少しで戸塚駅だ。志歩はICカードを手に持ち、着くのを待っていた。

 

「志歩、楽しかったか」

「うん。彩花、かわいかった」

 

そっちかよ。まぁけど、仲良くなったようでよかった。

 

「また行こうな」

「うん」

 

そう話しているうちに、もう戸塚駅の看板が見え始めた。

 

「ほら、荷物忘れんなよ」

 

俺は志歩にそう呼びかけた。

ロータリーに車を止め、俺は志歩を降ろした。志歩はスーツケースとバッグを持ってきていて、結構荷物が多い。

 

「忘れ物ないか」

「うん。なんかあったら次会うとき持ってきて」

「仕方ないな。じゃあな」

 

志歩は階段を上がりながら手を振る。小さく振ってるし、結構恥ずかしいんだろうな。

俺は志歩を見送ると、家に向けて走らせた。

 

【日野森志歩視点】

 

 戸塚駅で魁と別れ、私は1番線に向かった。

11:11発君津行きに乗り、武蔵小杉まで。結構空いていて、座ることができた。

そういえば、1人で電車に乗るのなんて久しぶりかもしれない。いつも魁とか柊くんと一緒だったから。

 

(ちゃんと行けるかな)

 

少し不安になりながらも、私は席に座っていた。

 

 西大井に到着する前に、この電車が渋谷、新宿方面に行かないことに気付き、次の西大井ですぐに降りた。

 

(危なかった……もう少し行ってたら……)

 

11:40、西大井に到着した。次の電車は11:51発宇都宮行き。10分くらい時間が空いてしまった。

そういえば、咲希たちはもう帰ってるのかな。連絡してみよ。

 

志歩〈咲希たちってもう渋谷いるの?〉11:43

咲希〈まだだよ。今帰ってる〉11:44

志歩〈穂波は〉11:44

咲希〈直接聞けばいいじゃーん〉11:45

 

しょうがないか。自分で聞こ。

 

志歩〈穂波ってもう帰ってきてる?〉11:46

穂波〈うん。今事務所にいるよ〉11:48

志歩〈待っててくれない?〉11:48

穂波〈寂しいの?〉11:49

志歩〈そんなわけじゃないけど〉11:49

志歩〈とにかく待ってて〉11:50

 

丁度電車が来て、私は来た宇都宮行きに乗った。

 

穂波〈分かった。りゅうくんと一緒の待ってるね〉11:52

 

いつも思うけど、穂波って他のみんなと比べて打つスピード遅いよね。なんかそれも穂波っぽいけど。

 

志歩〈お願い。一歌たちはまだでしょ〉11:52

穂波〈うん〉11:53

志歩〈分かった。12時過ぎくらいに着く〉11:54

穂波〈了解〉11:55

 

そのあとに、「OK!」とスタンプが来た。

一歌、元気かな。

 

 事務所に着くと、やっぱり穂波と龍夜くんがいた。なんかすごい準備できてるけど、なんかあったかな。

 

「志歩、ラーメン食いに行くぞ」

「えっ、なんで急に」

「昼飯食ってないだろ?」

 

確かに食べてないけど、随分急だな。

 

「荷物はここに置いていい。鍵閉めるから」

 

私は言われたとおりに荷物を部屋の端に置いて龍夜くんについていった。

 

「志歩ちゃん、おかえり」

「うん。ただいま、穂波」

 

穂波は私の横を寄り添うように歩いてくれた。

 

「静岡どうだった?」

「楽しかったよ。仲良くなった人いるし」

「そっか。よかったね」

 

そんなことを話しているうちに、私たちは近くのラーメン屋についた。

 

「志歩、行くよ」

 

私は龍夜くんと穂波と一緒にラーメンを食べた。結構おいしかった。くどくない味で。

 

 

 

 

 

 

 

 2日後の夜、私は一歌に連絡を入れた。

 

志歩〈一歌、ちょっといい?〉19:15

一歌〈うん。どうかした?〉19:15

志歩〈今度、柊くん借りていい?〉19:16

一歌〈いいよ。どうしたの?〉19:17

志歩〈ちょっと行きたいところがあるだけ〉19:18

一歌〈そっか〉19:19

志歩〈一歌たちって、もう東京ついた?〉19:23

一歌〈ううん。今仙台あたりだよ〉19:24

志歩〈じゃあ、渋谷ついたら連絡ちょうだい〉19:25

一歌〈オッケー〉19:26

 

柊くんと一緒に服買いに行くんだもん。なんか楽しみ。

 

 それから2時間くらいして、一歌から連絡が来た。

 

「もしもし」

《志歩?帰ってきたよ》

「分かった。ありがと」

《うん。あ、今度一緒にセッションしようね》

 

そう言って私は電話を切った。

そのあと、柊くんに電話をかけた。

 

《志歩?どうかしたか》

「明日、渋谷駅に朝9時」

 

私は少し早く、端的に言った。

 

《いや、なんで急に》

「いいから。よろしく」

 

私はそれだけ言って電話を切った。柊くんだったら来てくれるはず。

私はそう信じて電話した。

 

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