翌日朝9時、俺は志歩に呼ばれた渋谷駅に行った。
何も聞かされずに渋谷駅に行ったし、ホントに何か分からない。
「あ、志歩」
「おはよ」
志歩は俺に寄ってきた。なんかいつもよりオシャレしてる……
「今日はいつもと違うんだ」
「だって柊くんとなんだし」
俺とだったらオシャレしてくるのか。
「行こ、柊くん」
「あぁ」
俺は志歩に引っ張られて向かった。
向かった先は洋服店。志歩はその中に入っていき、俺を呼んだ。
「早く」
「ん、おう」
俺は志歩の横に立った。志歩は服をいくつか取ってきて俺に見せた。
「どれがいいと思う?」
灰色に黄緑のワンポイントの服、黒に白のワンポイントの服の2種類だ。どっちも志歩に合ってると思うけどな……
「どっちも志歩に合ってるなぁ」
「ちゃんと決めてよ」
こういうのが男のわるいとこなんだよな。何でもいいとか言っちゃうの。
「黄緑のワンポイント、志歩に合ってるね」
「じゃあこれにする」
志歩がレジに行くのに俺はついていった。なんか本当のデートだな。
会計を済ませ、俺と志歩は近くの喫茶店によってくつろいだ。色々話も聞きたかったし。
「志歩、なんで俺を?」
「魁に頼んだら決まんなかったから」
魁に頼んじゃダメだよ。あいつは年がら年中真っ黒の服着て過ごしてんだから。
「魁に頼んじゃダメだよ」
「ファッション性なかった」
「STARNIGHTで1番ファッション性ないぞ、あいつ」
志歩はオレンジジュースを口に含んだ。美味しそうだな……オレンジジュース……最近コーヒーとカルピスしか飲んでないから恋しくなる。
「ん?どうしたの?」
「いや、美味しそうだなぁって」
「飲む?」
志歩はストローを俺の方に向けた。いや、飲んでいいのか?志歩の飲みかけを。
「え?」
「別にいいよ。気持ち悪くないし」
志歩はオレンジジュースを差し出す。勇気くらい持たないとな、うん。
俺は志歩が使ったストローを口につけ、オレンジジュースを少し飲んだ。
こんなに甘酸っぱかったっけ?なんか前飲んだときより甘酸っぱかった。志歩のことを意識してたってのもあるのかな。
「どう?」
「なんか甘酸っぱかった」
「どうして?」
「さぁ」
俺はオレンジジュースを試補のところに戻した。志歩は何事もなかったかのように普通にオレンジジュースをストローから飲んだ。意識してんの俺だけかよ……
【日野森志歩視点】
「飲む?」
私は柊くんに言った。なんかデートっぽいけど、初めてって知られないように慣れてる感じ出そう。
「え?」
柊くんが戸惑う。
「別にいいよ。気持ち悪くないし」
私は慣れてるような感じで言った。大丈夫かな。私はオレンジジュースの入った容器を半回転させ、ストローを柊くんの方に向けた。
「どう?」
「なんか甘酸っぱかった」
柊くんの方は意識してるんだろうな。恋の味とか言うし。
「どうして?」
「さぁ」
柊くんも知らないように言った。多分知ってると思うんだけどな。鈍感だったりは多少するけど。
「柊くん、一歌といて楽しい?」
「あぁ。楽しいぞ。志歩と居るときももちろん楽しいが」
柊くんは平然と言っていた。少し恥ずかしくなってくる……
「あのさ、柊くんと今日一緒に来たの、デートが理由で」
もう正直に言ってしまおう。そう思って私は正直に全て話した。
「そうだよな。だと思った」
そう言って柊くんは立ち上がる。
「ありがとう。志歩。好きだよ」
そう言って柊くんは立ち去っていく。お金を支払って先に出ていく姿を見て、私は何か不思議な感情を抱いた。