家は暖かくて、1回入るともう外に出れなくなった。咲希も俺の隣できなこを抱いて座っていた。
「あったか~い……」
「あったかいな……」
2人でそんな感じにくつろいでいると、桜花がこっちに来て俺の隣に座った。
「どうしたん?」
「ヒント、もこもこ」
桜花の手にはハナがいた。
「ハナ、冬毛に変わってたんだね」
「うん。もふもふだよ」
ハナはこっちに歩いてきて、俺と桜花の間に丸くなった。
『かわいい!』
俺と桜花が同時に言った。
「あの、桜花さんと海斗って姉弟ですか?」
「うん。そうよ」
「こいつが姉だとはな」
俺がそう言うと、桜花は俺の頬を引っ張った。
「痛いって」
「いいでしょ、こういう姉でも」
多分不満を言ったら殺される。間違いない。
「そうっすね」
「んー?」
怪しげな目で見るな。
「ほら、藤花いるんだろ?」
「藤花も暇だしねー」
俺は立ち上がって藤花のところへ行った。藤花はリビングのカーペットの上に横を向いて寝ている。行儀悪いな、こいつ。
「藤花、起きろ。風邪ひくぞ」
藤花はピクリとも動かない。俺を脅かそうとしてるのか?俺は藤花の脇のあたりをつまむ。それでも反応がない。
「藤花?」
「っ!」
藤花が少し笑い始めた。あ、絶対起きてるわ。
「あれ、藤花起きてないな……」
俺は藤花の頬をつつく。
「むっ」
「あ、起きた?」
藤花は起き上がって、俺をにらみつけた。
「気付いてたでしょ」
「バレた?」
藤花は俺をポカポカグーで叩く。なんか子どもっぽい。
「どうしたの?って、海斗?それに藤花さんも」
藤花は咲希の横に行った。
「海斗には気をつけてね?」
「誤解を与えるな」
藤花はふふっと笑って桜花のところに行った。俺も咲希と一緒にそのあとをついていく。
結局みんなで温まることになり、誰もそこから動かない。まぁ、前にストーブがあったらそうだよね。
「ハナ、おいで」
桜花はハナを抱きかかえる。ハナは桜花を上ろうとするが、桜花に押さえられて諦めた。
「全く、やらしい猫……」
「ん?」
「私の乳首プニプニするのよ?やらしい猫め……」
俺はハナをこっちに呼んだ。ハナはぴょんっと跳んで俺の膝の上にのっかる。
「ハナ、肉球」
俺は肉球を触った。ハナは動じていない。
「柔らかいなぁ、肉球」
「きなこ、突進」
きなこは藤花の命令に従わず、俺にスリスリしただけ。
「藤花もプニプニするか」
「うん!」
俺はハナを藤花に預ける。きなこは藤花の隣にいる咲希のところへ。
「ねぇ、かわいくない?咲希ちゃん」
「だよな。元気だし」
桜花は咲希を笑顔で見ていた。咲希はかわいい。異論はない。
「いいなぁ、海斗も彼女か」
「相手は高校生だよ。いくらなんでも、ね」
桜花は「そうねぇ」とおっとりとした声で言った。
藤花に少し似てるかな。明るさは少し上だけど、なんか何事にも突っ込んでいくのは藤花に似てるかも。
「あ、海斗、そこ──」
桜花の方を向くと、ハナときなこが俺の膝をクンクン嗅いでいた。
「なぜ嗅ぐ」
「さぁ?」
俺はハナを右手に、きなこを左手で抱え、藤花と咲希に渡した。
「ハナ、撫でさせてっ」
「きなこちゃん、みみー」
2人ともかわいがってる。咲希に至っては耳が目的か。
「かわいいな……」
「どっちが?」
「両方」
俺は咲希たちを見ながら言った。
俺は今日から泊まる部屋に移動した。元々俺が使っていた部屋をそのままだ。
「結構広いんだね」
「2人で過ごせるくらいには」
俺は荷物を置くと、ベットに横になった。咲希も荷物を置いてから俺の隣に来た。
「疲れたねー」
「だなー」
俺と咲希は同じ布団に入ってくっついた。布団が少し冷たかったが、くっついているうちに暖かくなってきた。
「あったか……」
「海斗つめたーい」
咲希は俺の手をぎゅっと掴んだ。
「あったかいな。なんでそんなにあったかいの?」
「体温高いんだ、私」
平熱高いと暖かくなるって本当なんだな。なんか気持ち的なものだと思ってた。
「咲希のことずっとこうしてたいな~」
「えぇ?それはちょっと困っちゃうなぁ」
俺と咲希はハグし合いながら話していた。