俺の迷い込んだ世界が…… Season2   作:月島柊

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第47話 事務所で

 

 実家からは結構すぐに帰った。まぁ顔見せたかっただけだし。

 

「桜花、ありがとな」

「えぇ。気をつけて帰ってよ?」

「そんな過保護になることないだろ。大丈夫だって」

 

藤花も見送りに来ていた。ずっと咲希と何か話してたけど。

見送りの言葉が終わると、俺と咲希は車に乗り、手を振った。

 

「じゃあな、また来年かな」

「うん。またね」

 

俺は車を走らせた。咲希は後ろで手を振っているようだった。バックミラーから少し見えた。

 

「咲希、藤花と何話してたんだ?」

「海斗のこと」

 

俺のことを話すって、なんかあったかな。

 

「なんて?」

「ちょっとバカなところもあるけどよろしくねって」

「余計なお世話だ」

 

藤花に言われたくなかったなぁ。俺よりもバカなとこあるだろ。

咲希は笑って席の間から顔を出した。

 

「けどさ、海斗はかっこいいよ。キーボード上手いし」

「ありがとな。咲希はキーボードどうなんだ、上手いと思うけど」

「もうちょっとかな」

 

結構上を追求する。それがLeo/needだと思っている。プロを目指してるだけあるんだろうか。

 

「戻ったら何したい」

「とりあえず練習かな。誰か帰ってるんだっけ」

 

先に魁と龍夜が帰ってたかな。

 

「魁と龍夜はいると思う」

「じゃあ志歩ちゃんたち誘ってセカイに行こっかなー」

 

1人じゃ寂しいんだろうな。まぁ、見れば分かる。咲希は結構寂しがり屋っぽいし。

 

 渋谷の事務所に着くと、事務所の中に龍夜と魁がいた。志歩と穂波は居ないんだな。

 

「お、帰ったか」

「どうだった、水上は」

「楽しかったぞ。寒かったけど」

 

咲希は荷物を置いて俺の隣に座った。

 

「志歩ちゃんたちは?」

「ほなちゃんはなんかバイトとか言ってた」

「志歩は隣の防音室。考え事だってさ」

 

考え事、か。志歩だと結構重そうなんだよなぁ。

そう思っていると、防音室から志歩が出てきた。手の甲を少し切っていて、血が滲んでいる。

 

「志歩、どうしたの?」

「……クラスメイトから、ちょっと……」

「志歩ちゃん、それって中等部のときと同じ?」

 

咲希がそう聞くと、志歩は頷いた。

 

「志歩、そのやり取りって残ってるか?」

「あ、うん……」

「龍夜、ここから発信元って辿れるか」

「まぁ、できないことはない。僅かなラグとかから」

 

魁がUSBで繋げ、龍夜はノートPCで発信元を調べ始める。

 

「志歩、あとは俺たちに任せろ。海斗、志歩のフリしてやりとり続けてくれ」

「任せろ」

 

俺は志歩のスマホを借りてやりとりを始めた。口調は多分大人しい方か。刺激しないようにしないと。

 

〈ねぇ、聞いてる?〉15:02

〈ごめん。聞いてる〉15:18

 

俺は返信した。すぐに既読が付いた。

 

〈じゃあ、分かるよね。あんたがしてること〉15:19

 

少し遠回しに内容を言わせた方がいいか。

 

〈どのこと?〉15:20

 

これで聞きたいことを1つずつ聞いてくるはずだ。

 

〈あんたがさ、みのりたちと仲良くするの、やめてって〉15:22

 

みのり、か。多分知り合いかな。

 

〈クラスメイトだから〉15:24

〈そういうの、ムカつく〉15:25

 

相手がそう言うと、龍夜が俺を呼んだ。龍夜は少し笑っている。

 

「発信元特定完了。近いね」

 

地図上に表示されたのはここから200mくらいのところにある店。友達と一緒に居るだろう。

 

「魁、現地調査」

「はいよ」

 

魁はすぐに出て行った。志歩は咲希と話して少しずつ落ち着いてきた。咲希、いいぞ。

 

「結構理不尽な怒りだ。自分勝手みたいな」

 

龍夜も見てるし、分かってるはずだ。

 

「少し様子見ようか」

 

俺は龍夜に言われて、やり取りを続けた。

 

〈そんなこといわれても〉15:29

〈なに、私が悪いって言うの?〉15:32

 

おう、少し熱くさせすぎたか。

 

〈私にも非はあると思う。でも、仲良くした方がいいから〉15:34

〈あんた仲良い人たちいるじゃん。星乃さんたちだっけ。あんた嫌われ者なんだから、それでいいじゃない〉15:37

〈っていうか、その人たちにも嫌われてるかw〉15:38

 

許せない。なんだこの言い方は。

 

「うるせぇな、こいつ。もうやるか」

 

龍夜は魁に連絡を飛ばした。内容は「捕まえろ」だった。

数分後、さっきまで俺がやりとりしていたところに連絡が来た。

 

〈捕まえたぞ〉15:45

〈サンキュ〉15:47

 

俺は志歩にスマホを返した。もうこれで大丈夫。

 

「志歩、お前にはたくさんの味方がいる。STARNIGHT、Leo/needとかな。なんかあったらいつでも言ってね」

 

志歩は俯いたまま頷いた。

 

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