第5話 練習場所
あれから何ヶ月か経ち、季節は夏になった。とても暑く、俺はエアコンの効いた部屋から動きたくなくなっていた。
「社長、お客様です」
「え……分かった」
俺は渋々入り口に向かった。暑い中待たせるのも悪いと思ったし。
「すいません、遅くなりました──」
「やっほ。学校休みだから来ちゃった」
一歌だった。そうか、夏休みで学校が休みなのか。
「なんかあったか」
「練習していいかなって思って」
いつもの空き部屋だろう。エアコンは効いてたっけ?
「エアコンが効いてない気がするけど」
「ついてないの?」
「普段使ってない部屋だからな。確認して来るから、中に入って待ってて」
「うん」
一歌は俺の後ろを途中までついてきた。俺は空き部屋のエアコンを確認しに向かった。
結果から述べると、ついているわけなかった。最後に会社が使ったのは俺が社長になる前だったし、それ以降は一歌たちが練習に使い始めるまで物置として使われてたんだから。
「一歌、どうする。エアコン付いてなかったんだけど」
「仕事って何時くらいに終わる?」
「それまで待つっていうと、まだ4時間くらいあるぞ」
今は15時半。今日は何もなければ19時が定時、20時半までには全員帰宅になる。俺は電気や窓の施錠などの確認で30分定時より遅れて帰るから、あと4時間くらいだ。
「じゃあ、明日にしよっかな」
「すまんな。明日にしてくれ」
そう言うと、一歌は小さく手を振って帰って行ってしまった。
「社長、エアコンの設置、依頼しますね」
「あぁ、よろしく頼む」
秘書が連絡してくれた。俺は社長室でまた作業を始めた。
翌日、仕事は休みだった。俺は一歌を呼びにバイクで走った。多分家に居るだろうし。
「あ、柊くん」
「一歌」
俺は途中で一歌とすれ違い、一歌の横に止まった。
「練習に向かってたか」
「うん」
「乗ってけ。練習場所に連れてく」
俺は一歌を後ろに乗っけた。一歌にヘルメットを被らせると、俺はバイクを走らせた。
「ちょっ、速い!」
「これでも法定速度は守ってるぞ」
原付並みの45kmほどで走っているが、恐らく始めて何だろう。
「どこ行くの?」
「My house」
「え?」
一歌はきょとんとした。
俺が家に着くと、一歌を家の中へ入れた。
「え、ちょ、見つかったら……」
「指導だろ?」
俺は一歌と一緒に入った。それから、我に返った。女の子を入れるのって、初めてでは?
「防音?」
「おう。エアコンもあるしな」
俺は一歌に言った。一歌は早速ギターを出し、練習を1人で始めた。
「あ、ごめん……」
「いいんだ。俺もギター取ってくる」
俺は部屋にあるギターを持ってきた。いつもの愛用しているギターだ。
「かっこいい……」
一歌は思わず声を上げた。まるで夜空のようにキラキラしている。もう使い始めて3年になるか。
「ありがとう。一歌だってかっこいい音色だよ」
「そんなことない。柊くんのほうがいいよ」
ギターなんて上手になるのはなかなか時間がかかる。もちろん毎日毎日練習していればいずれか上手くはなるが、俺も1年半かかった。
「練習しようか」
「うん」
俺は一歌と一緒に練習を始めた。
2時間ほど練習しただろうか。一歌の手に疲れが見られたため、俺はさり気なく休憩を取るように言った。
「一歌、なんか飲まないか。一歌と一緒に飲みたい」
「えっ!?」
あ、言い方のチョイスをミスったか。まるで恋人みたいになったか。しかし、こうなってしまってはもう乗り越えるしかない。
「一歌、オレンジジュースとアップルジュースどっちがいい。一応コーヒーもある。ブラックだが」
「え、えっと……アップルジュース……」
「おっけ。じゃあ俺もそれにしようかな」
「え、あ、えっと、まだ、心の準備が……」
何を言っているんだ。一緒に飲食をすることだったら前回にもあった。会社の食堂でのことだ。
「ほら、アップル」
「ありがと……」
俺は不思議に思ったが、恐らく恋人みたいに言ったことに対しての緊張だろう、と俺は思っていた。
ハッピーバレンタイン。
ただの自分語りですが、初めてバレンタインチョコを貰いました。しかも3つ!
2人の分はまだ食べていないですが、恐らく市販のもの。そして、なんともう1人がくれたチョコは、手作りチョコだったのです!
いやぁ、人生もう何年も経ってますけど、こんなに嬉しいことはないです。今までは母親からのばかりでしたから。(苦笑)
いくら本命チョコではないとはいえ、やはり嬉しいのは嬉しいです!
あ、手作りチョコ、かなりおいしかったです。クッキーの上にホワイトチョコが乗っていたり。大好物でした。
はい、これだけです。ありがとうございました。
来年は貰えるかなぁ?