俺の迷い込んだ世界が…… Season2   作:月島柊

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第49話 バースデーパーティー

 

 俺は一歌を車に乗せて、ログハウスに向かった。バースデーパーティーのことはまだ誰からも言われてないっぽいし、俺も言っていない。

 

「急に合宿なんて、急だね」

「ライブのことも話したいし、君らも楽しくできると思うから」

 

一歌は助手席に座っていて、俺の運転を見ていた。なんかずっと見られてて恥ずかしい。

 

「一歌?」

「ん?」

 

一歌は返事した。なんも気にしてないっぽいなぁ。

 

「いや、なんでもない」

 

俺は引き続き気にせずに運転をした。やっぱ気になるけど。

 

 ログハウスに着くと、みんなが出迎えてくれた。作業は大方もう終わってるんだろう。

大広間に荷物を置き、一歌と一緒にギターのチューニングを始める。気付かれないようにするためのものだ。実際、2階で他のみんなは作業している。

時間を見て、俺はチューニングを終わりにした。準備が終わる時間だからだ。俺は一歌と大広間に戻り、他のみんなを待っていた。

 

「みんな揃ってるか」

「あぁ」

 

魁がホワイトボードを出してきて、それに書き始める。

 

「今日は8:00からライブのセトリ決め、9:30からライブの曲練習、12:00から昼食、13:30からまた曲練習、15:00から合同練習、16:30からライブの最終確認、17:00~18:40まで入浴、18:50から話し合い、結構重要だから長くやる。18:50~19:20まで話し合い、19:20~20:50で少し遅めの夕食、23:30就寝で」

 

入浴が18:40で中途半端なのは、18:00まで俺と一歌以外が入浴、18:00から40分で俺と一歌が入るためだ。セッティングで40分という約束があったし。

そして、18:50~19:20の話し合いと19:20~20:50まで夕食っていうのは恐らくでっち上げ。実際は18:50~20:50までバースデーパーティーだ。一歌に気付かれないようにしたんだろう。

 

「じゃあ、早速ライブのセトリ決め始めるぞ。司会の柊、前に来い」

 

俺は魁に呼ばれて前に出た。ライブのセトリ決めなんて、中々長いから正直好き好んでやるってことはない。今回は俺が言い出したライブだから仕方ないけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ふぅ……」

 

一歌と2人で風呂に入っている。露店風呂で、かなり広い。温泉に入ったのは18:05。40分って約束だからどうにか5分遅れて出よう。

 

「一歌、どうだ」

「気持ちい……疲れが取れるよ」

 

一歌は足を伸ばして、肩まで浸かっていた。このあとパーティーがあることも知らずに。

 

「髪洗おうか」

「うん」

 

俺と一歌は髪を洗いに温泉から出た。一歌は俺より早く洗い始めたが、髪が長いのもあって時間がかかる。今からしたら都合がいい。

 

「一歌の髪やっぱり長いね。流そうか?」

「ありがとう。お願いできる?」

 

俺はシャワーを取って一歌の髪についた泡を流した。桶をひっくり返したり一歌に悪いことはしない。

 

「気持ちいい?」

「うん……柊くん上手いね?」

「妹の髪たまに流してたからさ」

 

一歌の髪は大切にしないといけない。それもあった。

18:35、あと10分だが、もう上がりたくなってきた。流石に40分は長かったか。

 

「柊くん、上がる?」

「上がろうか。一歌はもう大丈夫?」

「うん。ちょっと暑くなってきちゃったから」

 

俺は一歌と一緒にお風呂から出た。脱衣所で身体を拭いて着替えていると、一歌が髪を結んでいるのに気付いた。

 

「一歌も髪結ぶんだね?」

「お風呂上がりはね。服が濡れるから」

 

一歌は高い位置でポニーテールにしていた。いつもほどいて可愛いところを見てるからか、なんか新鮮。

 

「なに?」

「いや、なんでもない」

 

俺は一歌と2人で脱衣所から出た。18:40。もう妥当な時間だろう。

俺たちが大広間に行くと、みんなが駄弁っていた。少し前に作業を終わらせたんだろう。

 

「おっ、2人とも来たか。じゃあ、話し合い行くぞ」

 

魁が2階に上がっていった。俺たちもその後ろに着いていく。さりげなく1番後ろになり、時間を稼いだ。

 

「そうだ、ちょっと魁と準備するのもあるから先行ってて」

「うん。分かった」

 

俺は一歌にそう言って裏にある入口から入った。

 

「来たな。柊、そこにみんなと並んでて」

 

俺は龍夜に言われてみんなと1列に並んだ。龍夜も来て、正面のドアが開く音が聞こえた。海斗がスイッチを押し、飾りのライトがつく。

 

「えっ」

 

一歌が戸惑う。

 

『ハッピーバースデー!一歌ちゃん/一歌』

 

みんな一斉に呼んだ。一歌は俺たちを見たまま静止していた。

 

「さぁ、一歌。おいで」

 

一歌は俺の隣に来る。一歌は何をするのか分からないままだったが、俺は一歌の手を握った。

 

「新郎、月島柊は、新婦、星乃一歌を一生幸せにすることを誓いますか?」

 

魁が言う。

 

「誓います」

 

俺は一歌の方を見て言った。一歌は顔を真っ赤にして俺を見た。

 

「星乃一歌、誓いますか」

「誓います」

 

一歌も言った。一歌は俺に抱きついて、俺の耳元で囁いた。

 

「サプライズ、ありがとう」

 

みんなは拍手した。俺と一歌はみんなと同じ円形のテーブルについた。

 

「おめでとう!いっちゃん」

「おめでとう、一歌ちゃん」

 

咲希と穂波が一歌に言った。

 

「ありがとう、咲希」

「一歌先輩、おめでとうございます」

 

志歩がニヤリと笑って言った。志歩よりも年上にあたるのか。少しだけ。

 

「志歩!」

 

一歌が志歩に言った。志歩は「ふふっ」と笑って一歌から離れた。

バースデーパーティーは3時間続いた。明日のお昼はバーベキュー。明日はみんなでワイワイ楽しむ日だ。

 

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