俺の迷い込んだ世界が…… Season2   作:月島柊

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第55話 ホール

 

 道の駅伊吹の里に着いた俺たちは、車から降りて少し休憩した。休憩無しでは俺も体力がもたない。

一歌たちはLeo/need4人で行動し、俺たちがあとをついていく。

 

「あとどのくらいなんだ、海里」

「あと1時間しないくらいで着くよ。まぁ、着いたところで下見とかあるから休めないけど」

 

そうだった。ライブの下見のために行ってるんだった。

 

「帰るのっていつなんだ、柊たちは」

「明日だ。今日はホテルに戻って、明日の朝の新幹線取ってある」

 

俺がそう言うと、あとから来た5人は揃って言った。

 

『私たち』

    『ないんだけど!』

『俺たち』

 

わざわざこいつらの分を買うのもな。しかも今は繁忙期だし、指定席は中々空いてないだろう。

 

「自由席でもいいんだったら取れるかもよ。指定席は分からん」

 

何せ来ると思ってなかったんだから。海斗と龍夜と俺の分しか取ってない。

 

「じゃあ今日の帰りにでも取ってこようか」

 

魁が残念そうに言った。まず取れるか分からないけどな。

 

 

 

 

 

 ライブ会場は想像よりも広かった。もう「ホール」と行った方がいいくらいの広さだ。

石山海里の知名度もあるのだろうが、やはりさすがだ。俺たちがこんなに広いところを使っていいのだろうか。

 

「広いだろう?」

「あぁ……というか、広すぎる……」

 

声も簡単に響きそうだ。というか、今まででもう響いている。

 

「来週末はここでやるんだ。隅々まで見てきて」

 

俺たちはホールの後ろに4人揃って走った。Leo/needと海里はかなり驚いていた。こんな様子は見たことがなかったのだろうか。

後ろに行ってみると、やはりステージはかなり遠い。ココまでそう簡単に音は届くのだろうか。

 

「向こうに戻ったらドラムの音量も調整しよう。俺たちはアンプがあるからどうにかなるが、ドラムは、な」

 

ドラムが小さすぎると立体感が生まれない。しかも、ドラムは機械で音量が調節できない。実は最も大事なパートとも言える。

 

「あと、ここまで後ろにされると音ズレもあるかもな」

 

魁が言う。確かに、前のスピーカーからだと音ズレを起こす。俺たちの動作と音が合わないのだ。

 

「後ろのスピーカーも出さないとね」

 

海斗が言う。

 

「そうだな。交渉してみよう」

 

龍夜が交渉しに行く。その隙にLeo/needの4人と海里と合流する。

 

「このホール、広いな」

「そうかい?気に入ってくれたならいいんだけど」

「あぁ。気に入った」

 

俺たちが会話していると、一歌が俺の裾を引っ張る。

 

「どうした?一歌」

「私たち、こういうところでやれるかな」

 

不安からの質問だった。俺は一歌の頭を撫でて言った。

 

「いずれできるよ、すぐにじゃなくても。俺たちだってホールでやるのは2回目だし、久しぶりだから」

 

前回ホールでやったのは活動休止前。もうしばらくやっていなかった。

 

「柊くんたちでも2回なんだ」

 

穂波が言う。

 

「場所取りが難しいからね」

「STARNIGHTだったらできそうだけど」

 

志歩がからかう。だったら俺も少しからかってみよう。

 

「だったら志歩が許可取ってくるか?」

「そ、そこまでは言ってない……」

 

ひるんだか。あんまりやると魁から怒られるからやめておくが。

 

「なんか柊くんと志歩仲良いね?」

 

そう言ったのは一歌だった。

 

「そうか?」

 

一歌は頷いた。お得意のヤキモチだろうか。

 

「大丈夫。柊くんは一歌のだから」

「そ、そうじゃないから……」

 

顔を赤くして言う。説得力ないぞ、そんな顔されても。

 

「柊、後ろのスピーカー使えるってよ」

 

龍夜が戻ってきた。戻って来るなりすぐに穂波の隣に行く。端から見たら中々すごい光景だ。

 

「おう、ありがとう」

 

俺たちはホールの後ろ側にある席に座って話した。海里を含めた9人だが、本来の人数より5人ほど増えている。

 

「増えたね、人数」

「そうだな。途中でなんか来たからな」

「虫みたいに言うな」

 

魁が俺をにらみつける。

 

「まぁまぁ、そんな怒るな。悪い意味で言ったんじゃないさ」

 

魁は俺のことを疑いの目で見たあと、志歩の隣に座った。

 

「それで、ホールのことは分かったかい?」

「あぁ。にしても広いよな、このホール」

 

海里は笑って言った。

 

「ホールを借りたいって言ったらこんなに広いところを貸してもらっちゃってね。ホントはもう少し小さい方が良かったんだけど」

 

海里も使い慣れていないのだろうか。まぁこんなの使い慣れてる人の方が少ないか。

 

「その日は私たち練習してる?」

 

穂波が聞く。

 

「うん。こういうライブにも出たいし」

「いいね!私たちも早く海斗たちに追いつこう!」

 

咲希が元気に言った。いつもの咲希だ。

 

「いい気合いだね」

 

海里が咲希のことを見て言った。

 

「それが咲希の取り柄だからね」

 

海里が咲希のことを紹介する。

 

「それしかないみたいに言わないでよー!」

「実際そうなんじゃない?」

 

志歩が言うと、みんな揃って笑った。咲希だけが頬を膨らませて不満そうにしたけど。

 

 

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