セカイに行き、俺とミクは久しぶりに2人で話していた。普段は一歌たちも一緒のため、2人きりなのは珍しい。
「一歌たちもプロになってさ。随分成長したよ」
「ふふ、柊くんを超えちゃったね」
ミクは笑う。だが、これでいい気がする。
「ミクだって望んでたんだろ?一歌たちがプロになることを」
俺がそう言うと、ミクは少し悩んでからこう言った。
「分かんない」
俺は驚いた。てっきりミクのことだから「そうなのかもね」と言うのかと思ったんだが、違うらしい。
「でも、プロになっちゃうと私たちから離れていっちゃうんじゃないかっていう不安もある」
ミクは立ち上がって1つの写真の前に行った。
「一歌たちがいるから、こんなに楽しく過ごせてるんじゃないかって思って」
「そうか……」
みんなが写った写真だった。確かにこの時のみんなの表情は楽しそうだ。
「ミク、もし来てくれなくなるんだったら、この写真は撮らないと思う」
「え?」
俺はミクの横に立つ。
「プロになるって目標は持ってただろ?ならプロになってからのことも考えてるはずだ」
プロになってからのことも考えているはずだった。もしプロになってから来ないんだったらこの写真は撮らないはずだ。
「ずっと来るから、ミクたちと写真を撮ったんじゃないか。ミクは一歌たちからしたら先生なんだしさ」
俺がミクにそう言うと、少しずつ笑顔になった。
「そうだね。また来てくれる」
ミクの表情は写真の笑顔とほとんど変わらぬ表情だった。
しばらくして、一歌たちがセカイにやってきた。今回はミクと一歌たちが主役なんだから、俺は席を外しておこう。
「俺ルカたちと話があるから」
「うん」
何も気付いていない様子のミクはそう言った。俺は一歌たちの後ろを通るときに小声で言った。
「喜ばせろよ」
俺はそう言って教室から出た。ルカたちは多分隣にいるんだろうな。
案の定隣の教室にいた。少しでも声が聞こえるようにだろう。
「あれ、柊くんじゃない。どうしたの?」
「主役はあいつらだからな。俺は席を外した」
ルカは笑って言う。
「優しいのね」
「あぁ、そうかもな」
隣の教室にはリン、レン、ルカ、MEIKO、KAITOがいて、全員揃っていた。
「そろそろかな~」
リンがそわそわしているように言った。
「きっと、そろそろだと思う」
KAITOが言う。相変わらずクールで冷静だった。だが、みんな少し笑顔が足りない気がした。
「一歌たちはずっと来てくれる」
「え?」
「一歌たちは、プロになってからもずっとセカイに来てくれる。みんながいるから」
そう言うと、みんなは一斉に笑顔になった。
「そうね。来てくれるわ」
「ねぇねぇ!なんか話してるよ!」
「リン、大声出さなくても分かってるよ」
レンが注意する。いつものことだ。
俺たちは壁に一斉に寄る。確かに何か話している。
「ミク、誕生日おめでとう!」
壁の向こう側から、Leo/need全員の声が重なって聞こえた。