柊くんより先にきて練習していると、私はある物に気付いた。なんだろう、これ。「失敗」って書いてある。
「志歩ちゃん?どうしたの?」
咲希が練習をやめてこっちに来た。それにつられて、みんなもやって来た。
「このファイルが気になって」
パソコンの中に入っているファイルだったが、たまたま点いていて気付いた。
「なんだろう、これ」
一歌も気になっていた。
「ちょっと見てみる?」
「うん。見てみよ」
咲希の提案にのった。再生を始めると、少し昔っぽい動画で、バンドの映像が流れた。
「上手だね……」
「うん……ん?」
見覚えのある人。すると、歌声が聞こえた。
「これ、柊くん?」
「そうだよね」
柊くんのところが終わると、その瞬間に「バンッ」と大きな銃声がなった。
「あっ!」
「STAR NIGHT」と書かれたプレートが落ちた。
「柊くんは……」
その2分後、救急車の音が聞こえ始め、救急隊員が来た。
「見てしまったか……」
後ろから柊くんの声が聞こえた。
「え……?」
「見たんだったら、概要を話すしかないだろう」
柊くんはこのファイルの概要を話し始めた。
「高校2年生のとき、STAR NIGHTっていう俺が入ってたバンドのライブがあった。その時に起きた事件だ」
事件ってことは、やっぱり誰かがやったんだ。
「落ちた影響で、1人は重症、他3人は軽症ですんだ。重症の1人は3日間意識を戻さずに、意識が戻っても全治3ヶ月の怪我を負った」
なんでそんなに詳しく知ってるんだろう。
「どうしてそんなに詳しく知ってるの?」
咲希が聞いた。
「ん。あぁ、それは俺がその重傷者だったからだ」
みんな衝撃を受けた。まさか柊くんがその人だったなんて。
「全部まともに受けてね。ギターだけは無事で、俺は重症」
一歌は何かを察した気がした。何を察したんだろう。
「じゃあ、あのギターって……」
「そう。あの無事だったギターだね」
柊くんは笑っていたが、何か辛そうだった。私は思うより先に動いてしまった。
「志歩……?」
「辛そうだから」
柊くんはさっきより緩んだ顔になった。
「なんだ志歩、心配してくれたのかー?」
柊くんに撫でられた。なんか気恥ずかしい。
「別に、してない……」
私は恥ずかしがりながら言った。
【月島柊視点】
志歩に心配されるとは。なんか惨めだな。少し過去のことを思い出した。
あの時、俺は退院しても車いすでの生活だった。幼馴染みが来て介護してくれていた。
「もう、急に高校に行きたいなんて」
「すまんな」
俺が高校に行った理由は、あのギターを取りに行くためだった。俺の相棒みたいなギター。
「ここだな」
俺はドアを開けた。いつもより軽い気がしたが。
「おっ、柊。遅いぞ」
「待ちくたびれた。ほら、ギター」
バンドメンバー。4人バンドで、リーダー兼ギターは俺。ベース担当の
「悪い。みんな」
「そんな怪我だったんだな。大丈夫か」
「私が介護してるので。面倒ですけど」
周りが笑った。
「んじゃ、俺たちも帰るか」
「また集まろうぜ!みんなで」
「そうするか」
俺はみんなと一緒に帰った。