それから結構経って、秋が始まった。気温も丁度よく、暖かい。
俺は土日の練習のためにホールに行っていると、一歌と志歩が2人で先に来た。
「よっ」
「あ、柊くん」
一歌はすぐに俺のところに寄ってきた。
「志歩もおいで」
「うん」
志歩は俺の隣にピッタリくっついた。
「みんなが来るまでこうしてるか」
ホールの近くにある木の下に座った。
「あったかい……」
「うん……」
「寝そう……」
俺たち3人はゆっくり、のんびり過ごしていた。
「おやすみ……」
「寝ないでよ?」
寝そう。ホントに。
「あ、いっちゃん。ひなたぼっこ?」
「うん。咲希と穂波もおいでよ」
咲希と穂波が来て、俺たちの隣に座った。
「あったかーいっ」
「あったかいね」
5人でのんびり。練習なんて忘れていた。
俺は休日の昼休憩で、近くのハンバーガー店に行った。久しぶりに食べたかったし。
「ご注文お決まりでしたらどうぞ」
「えっと、ダブルチーズバーガーで、アイスコーヒーMサイズで」
「890円です」
俺がお金を出すと、俺はあることに気付いた。
「これで多分ジャストかな」
「ん?990円ですけど……」
「あ、ごめん」
敬語を外し始めた。だって相手が……
「これでいい?」
「あ、はい。丁度いただきます」
「ついでに、スマイルお願いできる?一歌」
「え?」
一歌はようやく気付いたらしく、要望通りスマイルをしてくれた。
「はいっ」
かわいい……!ここに天使がいた……!
「ありがとう……」
俺は列から外れ、後ろに行った。まずい、あれは耐えられない。かわいすぎる。
「何してるの、柊くん」
志歩が俺の横に来た。
「いや、ただの昼休憩だけど」
「一歌に会いに来たの?」
「たまたまだよ」
志歩はベースを背中に背負っていた。
「志歩こそ、なんでここに?」
「バイトの昼休憩。あと、一歌にスマイル頼めるかなって」
いたずらっ子のような顔で言った。
「さっき頼んだらしてくれたよ」
「かわいいでしょ、スマイル」
「あぁ。天使だった」
志歩は笑った。
「301番でお待ちの方」
「あ、私だ」
志歩が自分のものを取りに行った。
「302番でお待ちのかたー」
一歌が俺を呼ぶ。俺は一歌のところに取りに行く。
「ありがと」
「また来てね、スマイルしてあげる」
あぁ、リピーターになりそうだ。
俺は取ると、志歩の隣に向かった。その途中の広告にログハウスのことがかかれていた。
(ログハウスか……)
俺は志歩の隣に座って言った。
「志歩、合宿とか憧れないか?」
「合宿?」
「5人でさ、自然豊かな環境で弾きたいだろ」
「うん。それで、いつ頃?」
そうだな……連休がいいけど、4連休とかあるか?
「9月19日……」
「丁度バイトもしばらくない。4連休だけど、全部?」
「折角だからな。みんなで行くか」
俺は志歩と約束した。楽しみだな、合宿。
仕事が早く終わると、丁度一歌たち4人がタピオカを持って集まっていた。
「よ」
「あ、柊くん!丁度よかった」
みんなキョトンとしていたが、咲希は構わずスマホを掲げる。
「写真撮るよ!はいチーズ!」
いきなりで、俺は咄嗟にピースサインをした。
「結構よく撮れてる!」
「咲希、いきなりだね」
一歌が咲希に言った。
「咲希ちゃんっぽいけどね」
穂波がそう言うと、咲希は写真を見てこう言った。
「あっ、いっちゃんと柊くんのピースサイン一緒だ!」
一歌も俺と同じく、人差し指と中指を立て、親指を横に出すようなピースサインだった。
「柊くん、癖?」
志歩が聞いてきた。
「まずピースサインってこんなもんだと思ってた」
「本来は親指ださないんじゃない?」
穂波がピースサインをして言った。
「そうなんだ」
「私はこのピースサインに慣れちゃったから」
ピースサインに慣れるとかあるのか。
「ってか、俺はスーツのままなんだが」
「いいんじゃない?柊くんだったら」
「社長だしね」
一歌と志歩が言った。俺ってそんなイメージ?
「じゃあ、俺は先に帰ってるよ」
「うん。あ、あれ言っとく」
志歩が言った。合宿のことだろう。
「あぁ。よろしく」
俺はそう言って帰って行った。
ちなみに一歌ちゃんのピースサインは、レオニの日常ってところから来てます。