某日、トレセン学園アマデウストレーナー室
「さてと、もうすぐメイクデビューか。距離1800、準備は出来ているな、クネヒトちゃん?」
ランツクネヒト「は、はい」
「まあ、負けることはねえな。とはいえ、アタシの弟子だ。1、2馬身程度の差は許されん。7馬身差を付けてぶっちぎれ」
ランツクネヒト「む、無理です。私、いつもトレーナーに勝てないですし」
「一応凱旋門賞連覇してるアタシ相手に、10馬身以内でゴール出来てるだろ?アタシが手を抜いてるとはいえ」
ランツクネヒト「そ、そうですけど」
「なら問題ない。当日はアタシも付き添うから安心しろ」
数日後、東京レース場
ランツクネヒト「だ、大丈夫、私は勝てる。トレーナーの地獄みたいなシゴキに耐えてきたんだもん。あのキツイダンプタイヤ引きも、身体中に重りをつけて重い蹄鉄履いた坂路、も威圧を受けながらの全力ダッシュに、眼から圧力出す練習をやってきたんだから」
観客席
「はてさて、どうなるかね。そう思わんかね、二人共」
ジャーマンケーキ「クネヒト先輩が勝つと思います」
ジュエルアズライト「私もクネヒトちゃんが勝つと思います」
「聞き方が悪かったな。勝つことは疑ってない。問題はどう勝つかだ」
ジュエルアズライト「4馬身くらいかな」
ジャーマンケーキ「6馬身くらいかと」
「なるほどね。答えは、大差よ」
二人共「え?」
「今のクネヒトちゃんは、正直クラシッククラスとも戦えるわ。それもG1クラスともね」
ジュエルアズライト「そんなにですか」
「そんなによ。まあ、緊張しなければだけどね」
ジャーマンケーキ「聞きますけど私達もそこまで強く?」
「同期には負けないだろうな。アズちゃんはマイルまでならクラシッククラス。ジャーマンちゃんならジュニア級に圧勝だね」
ジュエルアズライト「そこまでなんですか?」
「そうだ。それとマルゼンスキー、そこにいるんだろ?」
マルゼンスキー「バレてた?お姉さんうっかり」
「久しぶりだな、マルゼンスキー。ルドルフの代わりに偵察かね?」
マルゼンスキー「そんなチョベリバなことしないわよ、あの伝説のアマデウスが見出した娘が気になったの♪」
「そうか、てっきりルドルフが後継者に選んだトウカイテイオーの脅威探しかと思ったぞ」
マルゼンスキー「そこまでルドルフに手を貸さないわよ。でも、気になるのは確かね。エアグルーヴとかブライアンが動いてるみたいよ」
「無駄なことを。いくら偵察されたとて、因子を積めば意味をなさんのだがな」
マルゼンスキー「因子、因子か。そういえば、あのときはありがと」
「あのとき、ダービーか」
マルゼンスキー「私が出れるように手を回してくれたって」
「勝てる奴を柵で出れんようにするなど、理解できんからな」
マルゼンスキー「他にも怪我したとき。あの後のリハビリ私になにかしたでしょ?あの後とても楽しく走れたの、因子よね」
「当たりだ。治癒と固定の因子と、ある奴の特性因子だ。通常なら使い物にならんがリハビリと治療には使える。まあミスると取り返しがつかんがな。まあ、ミスしても笹針で対処は可能だ、安心しろ」
マルゼンスキー「そうなのね。アマデウストレーナー、改めてだけどありがとう。私をまた走れるようにしてくれて」
「構わんよ。お、全員見ろ、そろそろ始まるぞ」
実況『曇り空のもと行われる東京レース場、芝1800、良バ場、メイクデビュー、11人の若き優駿が望みます』
解説『天気、持ってくれるといいんですが』
実況『3番人気はこの娘、4番パムパム』
解説『やる気十分ですね』
実況『2番人気はこの娘、11番ターキンリスト』
解説『この評価に少々不満顔のようです』
実況『1番人気はこの娘、6番ランツクネヒト』
解説『まさかのトレーナーは伝説の名ウマ娘アマデウス、その期待に答えられるのか』
実況『ゲートイン完了、スタートしました。各ウマ娘、綺麗なスタートを切りました』
解説『出遅れがなくて良かったです。誰が先頭を取るのか』
実況『まず先頭を抑えたのはターキンリスト、そのすぐ後ろにランツクネヒト、パムパムと続きます。ハナを取りましたターキンリスト、これは正解でしょうか?』
解説『少し掛かっているかもしれません。息を入れなおせるといいのですが』
「息を入れ直すね、無理だろうな」
マルゼンスキー「無理ね」
ジャーマンケーキ「なぜでしょうか?」
「マルゼンスキー、答えてみな」
マルゼンスキー「お姉さんに任せなさい、まずランツクネヒトちゃんの背負ってる看板に怯えているのよ」
ジュエルアズライト「看板………あっ」
マルゼンスキー「気づいたみたいね」
ジュエルアズライト「最強のウマ娘の教育を受けた」
マルゼンスキー「そう、最強のウマ娘のトレーニングを受けてレースに出てきたのよ。それにハナを奪ったのは逃げさせないため」
ジャーマンケーキ「なるほど、たしかにアマデウストレーナーの現役時代の大逃げを知っている子はそれを警戒する」
マルゼンスキー「それに映像じゃなくて本物も見たでしょ?この前ルドルフとバチバチ戦ってたから。にしてもイケずね、お姉さんも誘ってくれればいいのに」
「お前さんを誘うと1日中走る羽目になるからな。それに、その後ドライブもあるのだろ?」
マルゼンスキー「そうね、たっちゃん暖まってるわよ」
「アタシはどうにもたっちゃんが合わんというか、アタシはハンドルを握ってる方が性に合う」
マルゼンスキー「あっ、やっぱり垂れたのね」
「そうだろうな。そしてやっと先頭に立ったか、クネヒト」
実況『ここでハナに立ったのは6番ランツクネヒト。どんどんと加速していく。既に二番手まで8バ身』
解説『掛かっていると思いたいですが、本人は余裕の表情です。もしかすると、このまま逃げ切るかもしれません』
実況『ここで最後方から1番オウカンノカゼが上がってきた』
解説『素晴らしい末脚です。ですが、追いつけるかどうか』
「追いつけるかどうかか、ね」
マルゼンスキー「無理よね?」
「無理だな。たしかに素晴らしい末脚だ、だか足りん。いやちと遅すぎた。オウカンノカゼは少し迷ったのだろうな、クネヒトのスタミナが持たずに垂れると。そう思ってしまったその代価、けして安くはないぞ。黒星で払っていただこう」
実況『先頭変わらずランツクネヒト、オウカンノカゼ迫るが届かない。ランツクネヒト、ランツクネヒトだ。今、余裕のゴールイン、勝ったのはランツクネヒト。見事メイクデビューを制しました。2着はオウカンノカゼ、3着はパムパム』
「ふむ、勝ったか。マルゼンスキー、このあと戦勝パーティーだけど参加するかね?」
マルゼンスキー「遠慮しとくわ、なんかあの子見てたらお姉さん走りたい気分だもの」
「そうか、トレーナーを心配させるなよ」
マルゼンスキー「合点承知の助、じゃあね♪」
「さてと、行くぞ。勝者の凱旋を見に」
ジュエルアズライト「は、はい」
ジャーマンケーキ「にしてもトレーナー、戦勝パーティーとは?聞いていませんが」
「言ってないからな、既に良さげな店を抑えてある」
ジャーマンケーキ「負けたらどうするつもりで?」
「ふん、負けたらね。そんな想定、最初からしとらん。アタシが鍛え上げたウマ娘が負けるわけ無いだろう。それにアタシはクネヒトちゃんを信じてるからな。アズちゃん、次は君だよ。アタシに勝利を見せてくれ」
ジュエルアズライト「は、はい」
「さてと、戻ってきたか。クネヒトちゃん、おめでと。どうだった、初めて公式戦走ってみて」
ランツクネヒト「あの、その、楽しかったです。それに勝てて良かったです」
「そうか。さて、そんなクネヒトちゃんにお知らせがあるわよ。今から戦勝パーティーです。ライブが終わったら行きますよ」
ランツクネヒト「え、でもそんな時間」
「クネヒトちゃんは栗東だったよな」
ランツクネヒト「はい」
「二人共栗東だな?」
ジュエルアズライト「はい」
ジャーマンケーキ「そうですが」
「なら問題ないな。ちょっくらフジの奴に電話してこよう。三人分の外出と外泊届け出してもらうからな」
ジュエルアズライト「外泊はいらないんじゃ」
「遅くなったらアタシの家に泊まればいい。あまり遅くなると同室に迷惑を掛けるからな」
ジャーマンケーキ「なるほど、ではお願いします」
ジュエルアズライト「じゃ、ジャーマンケーキちゃん!?」
ジャーマンケーキ「アズライト先輩、仕方のないことです」
ジュエルアズライト「むぅ、お願いします、トレーナーさん」
「聞き分けが良くてよろしい」
マルゼンスキーの口調きついな、死語とかわかんねえよ
2007年のアマデウスのレースプランについて
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