玉藻の前に取り憑かれた『天狗』の子   作:赤い靴

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11わです。

12月24日投稿とか言っていた僕は無事に浜で死にましたので、ダイジョブです!!

さて気を取り直して11話目です。
この物語もあと2話で終わらせるつもりです。

ここまで読んでいただいてありがとうございます。

12話完結とは????


第11話 亜なりし彼の地

 001

 

 

 僕の居る京都側は順調そのものだった。

 負傷者こそ居るが、死者はおらず、京都高や七海率いる1級、準1級呪術師のお陰でスムーズに時が流れていく。

 夏油派の呪詛師も複数確認されたが、事前に打ち合わせした陣形を維持し、呪霊を大胆に祓いかつ、呪詛師が取り入るスキが無い状況を維持していた。

 

 東京側……七海さんから連絡が入り、棘くんとパンダ先輩が呪術高専に五条先生によって転送されたらしい。

 嫌な予感がするが……僕はこの持ち場を離れる訳にはいかない……。

 

 そして今僕は、京都校の皆様と

 

「背中はは任せたぞ!ブラザー!!」

 

 東堂の威勢の良い声が響く。

 特級呪霊といえど下の下。僕1人でも全然余裕なのだが……何故か東堂が僕の背中に引っ付いてくるのだ……。

 

 僕はその辺で拝借した日本刀を構え直し、東堂と息を合わせる。

 

 軽く息を吐き、神通力を使用した。今、僕が取得している3つの内の1つ。神足通だ。

 

 この百鬼夜行──

『神通力は使用したく無い』など下らない意志を貫ける程、僕は愚か者では無い。

 人命優先。そう割り切った。

 

 京都高とは交流会では,惜しくも急な仕事が出てしまったので顔合わせは初めてだ。

 だけど、術式の情報は五条先生から聞いている。

 

 

 巨大で腕が4本生えている鬼の呪霊の後ろに瞬間移動し、「東堂!!」と合図を告げる。

 

『パン!!!!』と手を合わせる音が鳴った。

 

 東堂の術式、『不義遊戯(ブギウギ)』。その対象内の『一定以上の呪力を持ったモノ』の位置を入れ替える……。

 

 僕の『神足通』と相性抜群の術式だ!!

 

 東堂の術式がかかる瞬間僕は『神足通を使用し鬼の頭上に移動した』。

 するとビックリ。東堂は僕が先ほどいた『鬼の背後』に現れるのだ。

 だからこそ、このカラクリを知らぬ者には『いきなり2人が別々の場所に現れた』状態になるのだ。

 

 状況を理解できぬ特級呪霊。

 落下の勢いに合わせ、鬼の頭部に兜割りを繰り出す。

 呪具である刀と呪霊、そして僕の呪力が完璧に重なり、黒い稲光が走る。

 

 

 黒閃

 

 

 特級呪霊は弱点を潰され爆ぜ、呪物を遺して消えていった。

 

「東堂、さっきの連携は良いね!!もっと複雑に出来るぞ!コレなら領域展開無しの五条先生に100%勝てるぞ!!」

 

 あはははと笑う鈴谷を東堂は薄ら笑いを浮かべていた。

 その理由は単純明快。

 自身のレベル差に怖気付いたのだ。

 最高傑作でも神通力は3/6。六つ全て取得した場合を想像し、東堂は1人戦慄した。

 しかし同時に東堂はこう思った。「流石は俺のベストマイブラザー」と。

 

「黒閃……。妙漣寺の最高傑作だと朝飯前か?」

 

「……黒閃は『現象』だ。狙って出せる術師は居ないよ。んー、だけど六神通を極めれば『狙って出せる』かも知れない……。人間で無くなるから。まぁ、知らんけど」

 

「マジかブラザー」

 

 

 僕は地面に落ちている呪物を拾い上げる。

 鬼の顔のミイラ……?その周りに黒い粘液が付いている。恐らくアイツだ。ダゴンどか言ったヤツ……。

 

「西宮さん!!コレ!仕舞っといて!」

 

 僕等の上空、ホウキに跨り浮かぶ女の子に投げつけた。

 うわわわ!、と聞こえたが無視無視。

 もしかしたら近くにダゴンがいるかも知れないから……。

 

「……。まぁ、ブラザーが『どうなりたいか』は勝手だが……助けが欲しかったら大きな声で俺を呼べ!!マイブラザーと!!」

 

「はいはい。そん時はお世話になりますよ」

 

 適当に東堂に返し、僕は思考を巡らす。

 

 ダゴンの目的は?

 今ヤツは何処にいるのか?

 もし出会った際の対処法は?

 何故『ダゴン』と言う名前なのか?

 

 百鬼夜行というだけであって呪霊の量が半端ない。

 かと言って対処出来なくは無い量だ。

 有象無象の雑魚を並べて、夏油さんは何がしたいのか……。

 

 

 乙骨憂太ならびに折本里香の回収。

 僕はどうなのだろうか?玉藻さんは?

 

 黒閃をキメた後の頭でも解らない。考えるだけ時間の無駄かも知れない。……に、しても…………

 

「ブラザーなら既に感じてるかもしれんが、此処は何故か呪力の残穢が濃い」

 

 僕に語り掛ける東堂に、加茂が間に入る。

 

「東堂。お前の言う通りだ、さっき三輪が呪力濃度の所為で吐いた……一旦このエリアは退却する。いいな?」

 

 加茂が東堂に賛同し、引き上げの命令を出した。

 だが、このゴリラはまだ暴れ足りなそうだ……。ならばここは僕が鶴の一言を。

 

「おい、ブラザー。一旦帰るぞ」

 

「……す、鈴谷……オマエ……!!ああ、心の友よ!!」

 

 なんだよそれ、キモいんですが……。ジャイアンしか言わないだろ、そのセリフ……。

 踵を返し、1番近い拠点に向かって移動することとなった。

 顔色が悪い三輪は僕が背負い走る。

 

「申し訳ございません……ぅっぷ……」

 

「まぁまぁ……。あの環境は流石にキツイよ。あの加茂家の嫡男ですら顔色優れないからね」

 

 和むと思って冗談を入れてみたが……結果はダメだった。皆、呪力濃度が原因でテンションがダダ下りだ(東堂を除く)。

 

 それから2分ほど走り続け、800mぐらいさっきの場所から離れた。

 当たり前だが僕らは呪術師。呪力で脚を強化すれば2分ほどで1キロは余裕で走れる。

 だが、今なお気味の悪い呪力が滞留している。それが原因で皆、疲弊している。

 取り敢えず危険地帯(レッドゾーン)は越えた……と思う。なら少し休憩を挟んだ方が良さそうだ……。

 

 

 さぁさぁ僕の出番だ!

 

 

「……どう三輪ちゃん。気分良くなった?」

 

「!あれ!?なんで!?」

 

 三輪はキョロキョロと辺り、そして自分の身体を確認する。

 結果、解が出ず不思議そうに鈴谷を見つめる彼女に東堂が発した。

 

「コレが噂に聞く『還源術式』か……。対象の呪力を常に減少させる。ブラザーは背中、三輪が居る所に結界を張って、術式を発動しているのだな?……フッ、領域展開の応用か……素晴らしいぞブラザー!!!!」

 

 結界は使ってないんだけどね……。

 

「ちょいと違うけど、説明ありがとー。……じゃあ一旦此処で休憩しよう。周りに呪霊は居なそうだし、あのキミの悪い呪力の残穢も薄くなってきた。どうする?憲紀くん?」

 

「確かに……では一旦ここで呪力を練り直すとするか……。『西宮、降りてこい』」

 

 上空で偵察をしている西宮に加茂は無線で連絡を取る。数秒とせず彼女は地に足を付けた。

 

 加茂憲紀、東堂葵、西宮桃、禪院真依、三輪霞、メカ丸の計6名。

 真依とメカ丸はつい先ほど合流した。

 これで京都校の皆が揃った。

 

「それでどうするんだ、ブラザー?結界を張るために、地に陣を書くのか?」

 

「……。いやー、それが……東堂……。僕、結界術が苦手なんだよね……。あり得ないと思うけど……」

 

『え”マジで!?』と複数の声が重なった。

 

「いや、だってさ!僕の術式、結界なんてほとんど要らないし、対象に触れれば勝ちゲーだったんだもん!」

 

 僕の弁論に対し、御三家の血を引く加茂と禪院の2人が息を吐いた。額に手を当てる加茂は数秒耽り、口を開いた。

 

「御三家の子供ならば『結界術なんて初歩的なモノ』当然のように習うが……。特級呪術師なら当然のように使えると思っていたが……いや、すまない。鈴谷くんは我々とは『違う』事を考慮していなかった」

 

 なかなか棘のある言い方で……。まぁ、実際真っ赤な嘘だからどうだっていいんだけど。

 

「で?どうするのよ?」

 

 真依が手持ちの弾を確認しつつ鈴谷に問うた。それに応えるように妙漣寺の特級術師は、両腕を大きく開きこう言った。

 

 

 

「僕に抱かれない?」

 

 

 

 002

 

 

 抱かれない?と提案したが、ソレは僕にとっては『実験』だ。

 どうとでも解釈できる僕の術式を偽る。

 

 あまり人に話しては居ないが僕は反転術式を使用して『自身と他人』の傷を癒せる。

(五条先生から他人に話すのを止められている。なんでも目の下にクマが出来るそうだ……。……家入さんの事だよな?)

 しかし反転術式はかなりの呪力を消費してしまう。

 そこで僕が実験で使いたいのが『術式反転』だ。

 

 

 呪術師の初心者が間違いやすい『反転術式』と『術式反転』を少しおさらいしようか!!

 

 反転術式:正のエネルギーを生成。人の傷を癒せる。対呪霊に効果良。

 術式反転:正のエネルギーを流し、術式を反転させる。

 

 

 僕の術式は『還源術式』。それを反転させる。しかし、前もって「これは術式反転だよ」と言ってしまえば、五条先生の警句が水の泡になってしまう。だから偽るのだ!!

 

 恐らく『呪力が無尽蔵に放出』出来るはず……。今までやった事がないので、どうなるかは知らない。

 メチャクチャ失礼だが、先程背負っていた三輪に対してヤッてしまった。

 

 結果。大成功!!本人は元気を取り戻しピンピンしている。

 しかも鈍感な性格?もあってか呪力量が増えても(回復と言っても良いかも)気づいてない。

 他の方々なら流石に気付いてしまうので、ほんの微量、呪力をあげたいと思う。

 

 加茂から始まり、西宮、禪院と流れた。

 一応、僕は男だ。女性陣に対しては、恥ずかしい思いをさせていると思うが、割り切ってもらった。

 

 抱かせている間に、色々試させてもらって分かった事がある。

 

 呪力を放出と言っても、術式反転。勿論、呪力を消費して行う。

 本当に、だいたいだけど呪力の『消費』『獲得』の比は10:11と言う感じだった。

 

 想像以上に呪力の獲得量が少ないことが分かった……。

 あまり使い勝手が良くない。

 

『呪力』の観点から言えば、かなりお得な条件なのだけども、『身体的、精神的』の観点では劣る。

 つまり……獲得する呪力量に対する僕自身の負担が大きい。

 

 多分きっと、術式反転は使用しないだろう。

 

「じゃあ、最後。東堂」

 

 僕は真依さんに周る手を解き、東堂を呼んだ。

 メカ丸も居るのだけど、遠隔操作型の術式のおかげか元気そうだ。

 

「おうブラザー!!ほらほら、しっかり俺を抱いてくれ!!!!」

 

 ピキ……

 

 僕の中で何かが弾けた音がした。

 

「とうどうー?気をつけ、の姿勢で居てー」

 

「ん?こうか?」

 

 東堂は両腕をピンと下に伸ばし、直立不動で立つ。

 そこに僕は『東堂が逃げられないように』その腕を覆いかぶさるように自らの手を伸ばし、ガッチリとホールドした。

 

「ブ、ブラザー……。やけに対応が……」

 

 僕はニヤリと笑い、東堂だけ『術式反転』ではなく『術式』を流した。

 

「だあああああ!!ぶ、ブラザー!!俺の呪力が……吸われていく!!」

 

 じたばたする東堂を抱き抑え、2秒経った後に「あ、ごめんごめん。間違えた」と棒読みで言い、手を離した。

 その場で四つん這いになる東堂。

 僕の後方からは「ナイス鈴谷」との歓声?が沸く。

 

「これが……ブラザーの、術式、か。強力だな……」

 

「そりゃどうも」

 

 僕は東堂に手を差し伸べた。

 

 

 

 003

 

 

 休息も終わり、皆が回復(東堂を除く)したところで、再び僕らは走り出した。

 拠点に戻る案は無くなり、これから七海さんと合流することとなった。

 

 あのキミの悪い場所から離れている。しかし何故かここも『あの呪力』を感じるが……まだ薄い。

 皆の体調も今のところ良好だ。

 

 何事もなく合流できればいいのだが……。

 

 幾度も街角を曲がり、合流場所に急ぐ。

 

「!?ストップ!!!」

 

 僕の一声で、皆が足を止めた。その視線は1つのマンホールに映った。

 この呪力の気配。間違いない……アイツだ!

 

 僕らの目先。マンホールをゴボゴボと水の音を立てて退かし、あの黒いスライムが現れたのだ。

 今までのキミの悪い呪力をさらに濃縮したオーラを纏っている。

 

 僕は一瞬で理解した。僕以外の人間は難なくこの呪霊に殺されるだろう、と。

 

 考えるより早く、僕の身体は動いていた。

 如何に呪力量が無限に近い呪霊ですら、僕の領域に入れば数分の時間稼ぎになるはずだ。

 

 神足通でダゴンの側まで移動し、指を組み唱える。

 

「自世限か──

 

 僕の領域展開を食い止めるかのようにダゴンは迅速に動いた。

 ダゴンの身体は、捕食するタコのように一瞬で広がり、鈴谷を取り込んだ。

 

 重い沼に落ちるように、雪崩に埋もれるような感覚に襲われた鈴谷は、領域展延を体に巡らせた。

 ダゴンの術式が何であるのか、が分からない以上、領域展延を使用し中和するしかなかった。

 

 しかし、その努力は意味をなさず、ダゴンのいい様に物事を展開されることとなった。

 

 

 

 004

 

 

 

 光が差し込んだ。ソレは帳の内側に居る時の独特な光。

 その光景に驚いたが、考え、予測し、勝手に納得した。

 

 現在、僕は呪術高専東京校に居る。ダゴンによって転送されてきたのだろうか……。

 いや違う……。領域展延は『触れた相手の術式を中和する』。

 

 つまり、ダゴンに飲み込まれた僕は『ダゴン以外の誰かの術式』で転送された、と考えるのがよさそうだ。

 ダゴンのあの動きはブラフ。僕を東京に転送するのが目的だったのか……。

 だからダゴンは夏油一派と協力関係を結んだ。……考えすぎか……。

 

 だが、今はそんな事はどうでもいい。

 

 辺りは鳥居や石畳はボロボロで、誰かと争った跡があった。

 

「!!憂太!!」

 

 棘君、パンダ先輩は先に転送している。五条先生が送ったのだから、何か理由があるはずだ……。

 京都と言う物理的な距離が有ったので、応援に行きたくてもいけない状況だったが……話が変わった。

 

 あのダゴンと言う呪霊……ワザワザ僕が行きたい所にワープさせやがってのだ。

 勿論、何か理由……罠があっての行動と理解はしている。

 だけど……友達をほっておくほど僕は『なり下がっていない』!!

 

 今なお砂煙と爆音が響く境内に向かって、全速力で駆けていった。

 

 

 以前、憂太と模擬線をした開けた広間についた。そこで僕は4つの影を見る。

 

「やあ、鈴谷君。私の目論見通り。時間ぴったりだ」

 

 夏油がこちらに振り返り言った。

 その背後には血を流し倒れている棘と真希。荒々しく地面がえぐれた箇所にはパンダが静かに倒れている。

 

「夏油さん……。僕は……あ、貴方を……殺……ッ!!憂太!!」

 

 倒れる皆に気づかなかった……!!

 寮に向かう階段、そこに彼が居たことを……!!!!

 

 

 

 記録──

 2017年12月24日

 折本里香

 二度目の完全顕現

 

 

「来い!!!!里香!!!!」

 乙骨の呼び声に応えるように、特級過呪怨霊は姿を現した。

 

 流石にマズイ!!このまま二人を戦わせる訳にはいかない!!

 

 鈴谷は夏油の正面に移動し止めに掛かる。

 

「悪いね鈴谷くん。キミの相手は私じゃない。キミが生れ落ちる前から『先客』は800年以上も待っていたんだよ」

 

「ッ!?!?」

 

 身体の側面に強い衝撃が走った。

 それに負け、20メートルほど飛ばされた。ここでやっと勢いが弱まり、体に自由ができた。

 飛ぶ瞬間、衝撃もとに視線を移せたので原因は理解している。

 

「お前は何なんだよ!ダゴン!!」

 

 僕の呼びかけに応えるかのように、丸くドロドロした身体から2つの腕が生えた。

 生気が一切感じられぬ腕。細く痩せ、肌色は水死体のように真っ青で、所々青や紫、赤。はたまた緑色が見えた。

 

 枝のような指を両手で絡め合い、印を作った。

 

蕩蘊平線(たううんへいせん)

 

 声ならぬ音が告げた。

 その瞬間、僕はダゴンの領域に引きずり込まれた。

 

 圧倒的な呪力消費による、領域展開の超高速化。

 そのスピードは半分人間を辞めている鈴谷ですら対応ができなかった。

 

 

 

 005

 

 

 

 風景がガラリと変わった。そりゃあ当たり前だ。領域に引きずり込まれたのだから。

 

 広い砂浜。後ろは崖で、よく見るとこの浜辺は三日月状だった。

 空は暗く、人間の瞳に似た赤い月が辺りを照らす。

 ザァザァと波音をたてる海は、時折赤い血を流し、座礁した木船が何百と鎮座していた。

 

 余りにも広い空間。ダゴンという呪霊の力量がひしひしと感じた。

 だが……未だ『攻撃』が来ない。

 

 領域展開は対象者を『殺す』前提で行う。領域内は『術式が必中』故に必中必殺。

 

 しかしなんの意味があるのだろうか。

 ダゴンの領域内に居るというのに、僕に対して術式が『働いていない』。

 理由は不明。

 

 

 グチャ……クチャ…………

 

 僕の視線の先、海岸線には古めかしい小袖を来た女性が倒れており、先ほどからの嫌な音の元凶元はソコだと理解した。

 

 そして、僕をこの領域に引き入れたあの手が、女性の影から現れた。

 

 細い身体を懸命に陰から引き出した。身長180センチはあるガリガリとやせ細った呪霊。

 服は無く、色褪せた皮膚と浮かび上がる骨。

 一見ひょろそうに見えるが、ソイツの呪力量と禍々しいオーラがそれを否定した。

 

 骸骨……木乃伊(ミイラ)のような顔。そこから光る2つの眼光は海に視線を移した。

 

 そして泣いた。泣きじゃくる子供の様に。擦れた声で。

 

『AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAaaaaaaaaaaaaaAAAAAAAAAAAAAAAAAAaaaaaaaaa!!!!!!!』

 

 奴は……ダゴンは慟哭を上げ僕の方に振り返る。

 そのまま右手を自らに刺し、ナニカを掴み地に投げた。

 

 バシャァ!!と音を上げ、幾匹の呪霊が現れた。

 そのどれもが1級呪霊以上の実力を持つほどの力を感じた。

 

 

『ご主人!!聞こえますか!?』

 

 玉藻さんが問いかける。

 

「聞こえてるよ……。これは……」

 

 僕の問いかけに、数秒沈黙し口を開いた。

 

『これは……余りにも報われない……。神のなりそこない……と言いましょうか。何百の呪物と何百年の呪いが堆積した出来損ない……』

 

 その答えを理解はできなかったが、今までの呪霊には合点がいった。

 以前、乙骨と狗巻と同行した時に現れた呪霊。百鬼夜行での呪霊。強力な呪霊が居た。それは『こうやって出現』させていたのだと。

 

「どうすればいい」

 

『私も加戦できれば五分五分なのですが……今は『五条悟等と結んだ縛り』が邪魔をして完全顕現は出来ません……。ですが、あのダゴンの身体には『私の尾の神核』が5つも有りますわ(道理で探しても見つからない訳ですわ(小声))。それを回収できれば『五条悟等と結んだ縛り』も強制的に『白紙』に戻せます!それまではご主人の呪力をブーストして援護しますわ!!』

 

 なんかとんでもない様な事を聞いてしまったような気がする。

 いや待て待て!!

 

「玉藻さんの尾が5つ!!!無理だよ!?」

 

『あぁ、私以外のモノにとって神核は、その辺の呪物と同じですから問題はないです☆』

 

「…………」

 

 気を取り直すため呼吸する。

 目標ダゴンから『玉藻の前』の神核を奪う事。

 

 それまで僕に勝機は0。

 

 さぁ、ここからは耐久戦だ。

 

 

 




お疲れさまでした!!

色々詰め込んだので長くなりました。
もう、伏線回収のお時間(?)なので色々書いてしまいました。

書くこと無いので解説どか入れますね。


玉藻の前と五条悟「等」は『縛り』をお互いにしています。
(どっかで書いたような気がしますが、掘り起こすのが面倒なので…)
内容は『鈴谷の死刑を中断する代わりに玉藻の前の完全顕現の封印』です。
この内容は鈴谷は知りません。
「等」と書いたのは、ほかの御三家の当主、現呪術会の重鎮の名前です。

本文で『縛りを白紙』とありましたが、それは『尾が3つの玉藻の前』と縛りをしたからです。
玉藻(尾が3)=五条悟「等」
で、縛りが釣り合いました。しかし、玉藻の前が尾を回収し力を増すと天秤はバランスを崩し、縛りを白紙にすることができます。
(これは僕の設定なのであしからず)
まぁ、玉藻さんは『神核が目の前にあるから、取り込んでパワーアップしつつ縛りを白紙にしよう』と考えました。
白紙に必要な『神核』は5こなんて過剰なので、2、3こ取り込めたら玉藻さんが出てくる感じです。

玉藻の神核1個は宿儺の指の2~3個のレベルです。


あと裏設定ですが、スライム状のダゴンと人型のダゴンは別人です。
それが誰なのか、終わったら書くかもしれませんが、今の段階で理解した人は本当に凄いと感激すると思います。
次話に答え合わせになりますので、待ってくれたら嬉しいです!!



~以下ハイパー蛇足~

ミクトランくそ面白い。トラロックが可愛い。プロテアアルタが可愛い。紅閻魔オルタ可愛い。コヤンのNFFバニーめっちゃ好き。言峰は何故か引けた。ニトクリスオルタ欲しい、貯めた石40個溶けた、宝具7のアタランテが来た、何故?????????
カマソッソは今のところ嫌いだけど、面と性格が好き。カマソッソ先生!うちのレジライもオルタ化させてくれぇぇぇぇ!!

話は変わりますがポケモン皆さんやっておりますか?
僕はシーズン1ではマスター帯まで行けたのですが、やる気をなくし、新しいアカウントで初めからやっています。本当に面白いですねポケモン。
舞台がスペイン(ポルトガル?)なのでサンドイッチ(なお上のバンズは行方不明)やオリーブ畑どかあっていいですね。
ですが、僕の頭の中のレジライがいちいち反応するんです……
「ハッハァ!おい相棒ッ!!このスパイスうめぇじゃねぇか!もって帰ろうぜ!」だの「おい見ろよ相棒!俺が間違えて命名した『チリペッパー』をもじったキャラが2匹もいるぜ!俺に感謝しろよぉ?」だの言うんです。

今後僕の書く小説にレジライが出てきたら「あ、発作が起きてるんだぁ」とスルーして頂けたら嬉しいです。

あ、エルデンリングで全身を真緑にした裸のセスタス持ちが侵入したら私なので、その時は宜しくお願いします?

以上になります。ではまた~
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