最後まで読んでいただければ幸いです。
001
実をいうと、僕は少しの間だけ学校を休んでいた。
と言っても一週間だけ。
その間に外に遊びに行き、パフェを食べたり、クレープを食べたり、たい焼きを食べたり……
特に、カスタード入りの鯛焼きが1番気に入った。『カスタードは冷たいお菓子』と固定概念に縛られていたが、いざ食べてみると美味しかった……
熱く、もっちりした生地に、甘く、香りの良いカスタードとの相性は抜群だった。20個は食べた。多分……。もっと多いかもしれないけど……
こう思い返すと甘いものしか食べていない……
タマモさんから『甘いものを食べすぎ』と注意されたが、あの甘い香りを嗅ぐとどうしても我慢できなくなってしまうのだ……
いつもと同じ様に、白い服に腕を通す。
「あ、そう言えばさ。タマモさん。今いい?」
『どうかしましたか?まさか、甘いものの食べ過ぎで服が入らないとか……』
脳内にやや焦り気味の声が響く。
「まさか〜。確かにこの一週間、甘い物しか食べてないけど、僕、幾ら食べても体型は変わらないよ?まぁ、そんな事は置いといて……」
僕は声のトーンを一段下げる。
「この一週間、僕に尾行してきた奴居たじゃん?やっぱり高専に報告するの辞めるよ。きっと夏油さんの手下だと思うからさ」
『あ〜。あの、殺意はダダ漏れ。視線から放たれる妬みのビーム……。
せっかくの楽しみが2割減になった、と継ぎ足しで言った。
「あははは。確かに。でも、きっとそれすら読んでいたんじゃないのかなぁ?」
鏡を見ながら髪を整える。今日はヘアピン5本!前髪3本、両サイド1本ずつ
今見てるアニメを意識して、前髪にかかるピンをバッテン(つまりはX字)にしてみた。
『もう分かりきっているつもりですが……。何故このような危ない橋を?』
玉藻の前の質問が僕を刺す。
自分でも、この橋を渡る事はヤバい事ぐらいわかっている。だけども、だけれども……やりたい事、確認したいことがある……
いざ言葉にしようとすると、つっかえてしまう。適任な言葉が見つからない……
・懐かしい→全然違う……。……とも言い切れない……
・気になる→確かにそうだ。気になる。では何故?
あ、そうか。そうかも知れない……
「なんとなくだけど、僕と夏油さん。『似てるから』かな?あと、五条先生にも……」
『その心は?』
「わからない。どうしてだろうか……」
支度が済み、僕は部屋の戸に手を掛けた。
002
「はーい。と、言うことで。棘。ご指名だよ。ちゃちゃと払っておいで」
午後の授業、模擬戦の最中に五条先生はそう言った。
「『ご指名……』」
僕と、憂太くんの声が重なった。
あの時、あの依頼も『僕』に対しての指名だった──
一瞬だけ顔が濁ってしまったが、いつも通りの表情に戻す。
「棘は、一年で唯一の2級術師。単独行動も許されてんの」
パンダ
「『へぇ〜。凄いなぁ〜』」
またも声がかぶる。
「『お前ら特級じゃん』」
次は、パンダ
「はいはい。こんな茶番は置いといて……」
五条先生は、両手で元を運ぶ動作をして進める。
「憂太も一緒に行っといで。棘のサポートだ。それから鈴谷。鈴谷も行ってきな。2人のアシスタントだ。
憂太はサポート……。ってよりは見学だね。呪術は多種多様。棘と、鈴谷はよりいい例だ。
遠くに居ても攻撃ができる棘。
直接触れないと効果が発動されない鈴谷。
2人、それぞれのメリット。デメリットを見つけてくるのが今回の肝だ。
しっかり勉強しておいで」
スラスラと憂太くんに言った。
こうして翌日の早朝、僕らは、伊地知さんが運転する車に乗り込み現場に向かった。
その際、五条先生から杭を打たれた。
『里香は出すな』
まぁ、当たり前だよなぁ〜と。
そして、僕、棘くん、憂太くんを乗せた車は走り出す。
行き先は寂れた商店街だ‼︎
003
伊地知さんが降ろした帳の中にいる。
「じゃあ、行こうか?」
僕の問いかけに、
「しゃけ」
「………………」
意思疎通が出来ねぇ!
神通力で……と、一瞬考えてみたけど辞めた。
「呪い……。低級の群れって伊地知さんが言ってたよね?」
憂太くんがつぶやく
『低級』。伊地知さんの吐いた言葉。それにより憂太くんの警戒心がに下がっていた。
「たとえ低級でも呪いは呪い。侮ることなかれ。憂太くん」
ニヤリと口元を上げて返した。
「そ……そうだよね?でも、真希さんと一緒の時は……」
「そう言う慢心が命取りになるのさ。……憂太くん。後ろ。気づいていないね?」
「え?」
乙骨が振り返る。そこには肥大した目玉。全長40センチはある魚型の呪霊が泳いでいた。
『ずるい……ずるいよ。ママ』
何やら言葉を発する一匹の呪霊を先頭に、続々と魚型の呪霊が現れる。
『迷子のお知らせです』
『今日の晩御飯は……』
『まぁ、酒でも飲んで落ち着けよ……』
『俺はこの商店街を愛していたんだ』
『そうさ、だからこそ……』
『みんなで渡れば怖くない』
百を超える呪霊は群れとなり、巨大な球形を形作る。
「どうだい?憂太くん。『真希さんと一緒の時』とは、また違うでしょ?」
「……うん。幾らなんでも、これは多すぎだよ……」
「そう。だからこそ。あの時と一緒なんて思わないほうがいいよ。あくまでも、『状況が似ている』に留めたほうがいいよ。
前回と同じだからわ回も同じやり口で……なんて事、
まぁ、僕が言いたいのは『弱く見える呪霊でも侮ることなかれ』」
それで子供の頃に大怪我した、と僕は笑いながら言った。
「じゃあ、棘くん。ここは任せたよ。どでかいの1発、素人特級野郎に見せつけてやれ!」
「たかな!」
ノリノリで言ったら、そのテンションで返してくれた
そして──
「『爆ぜろ』」
棘くんのひと言。
それに反応したかのように、魚型の呪霊は次々と爆発していき、一匹残さず祓ってしまった。
棘くんはクルッと振り返り口を開ける。
「ヅナ"マ"ヨ"」
めっちゃ声枯れてる……
「うん、お疲れ!カッコよかったよ!でだ、憂太くん。この術式なメリットとデメリットを」
「えっと……。凄い能力だけど、喉が枯れてる……。連発して出来ない……かもしれないです。あ、だから喉薬、買ってたんだ」
うんうんと棘くんが首を縦に振り、憂太くんに向かいグットサインを出す。
「なんとなくだけどわかってきたよ!でさ、宗一くんはどんな術式なの?」
憂太くんから質問が入る。車の移動中に軽くだけど、呪力と術式を再度教えている。でも、僕と棘くんの術式は教えて居ない。
だって、びっくりさせたいからね‼︎
「えっとね、僕の術式は五条先生が名付けて……くれ……た……。…………」
「どうしたの?」
「ちょっと待って、憂太くん。ねぇ、棘くん。呪霊、全部祓っちゃったよね……?」
棘くんは数秒の間、フリーズする。そして我に帰るなり、表情を変えた。
あー、忘れてた。最悪だ!この世で最も嫌いな人に怒られないといけないなんて‼︎
取り乱しても、過去は変わらない。変えられない。受け入れるしかない……。めちゃくちゃイヤだけど……
「帰ろっか……」
僕のひと声で、2人は商店街の出口に歩み出す
「おかか‼︎」
棘くんの声を聞くなり俯いて居た顔を上げた
あれ?帳が上がって居ない……。何故?
急に寒気が身体を走る。
商店街の奥。その影で異様な気配を感じた。
すかさず、装備して居たナイフを振りかぶり、投擲しようとした。
しかし、それは止められた。止めるしか無かった
憂太くんと棘くん。その2人の背後に呪霊が急に現れる。
達磨のような形。白い毛が全身を覆い、宙に浮いていた。
『ゾんば』
2人を覆うように、光の輪が現れ、キィィィィと嫌な音が鳴る。
咄嗟に手が出た。手が出てしまった。
2人の服を掴み、安全そうな場所に向けて投げた。
出来るだけ遠くに……
投げる際、視線の端に黒いドロドロとした液体が蠢くのを捉えた。
寒気の元凶はコレだと悟る。
その半液体が形を成すたびに悍ましい呪力を感じたからだ。
見事、2人を助ける為に動いた僕は、呪霊の攻撃を受けることとなった。
ドゥン‼︎‼︎
全身に強い圧力がかかる。
地面は圧に負け沈み、僕も圧力に抗うことできず深く深くおちていった。
004
砂埃が舞う。
その中、僕はゆっくり、息を殺して穴から出る。
身体へのダメージはほとんど無かった。
衝撃と、道路の破損具合からして、等級で言えば2級から準1級クラスの呪霊。
この程度なら、憂太くんと棘くんのところに飛ばしてもいいだろうか……
僕は姿勢を低くしたまま、勢いよく駆ける。
砂埃のお陰で、呪霊もこちらを探知できないようだ。まぁ、元々の体質もあるけれど……
素早く毛むくじゃらの呪霊の背後に周り蹴り飛ばす。
「おりゃ‼︎」
クリティカルヒット‼︎‼︎
その呪霊は手をジタバタさせながら、蹴りの勢いに負け商店街の奥に消えていった
まるで、カーリングのストーンの様にスゥーと行ってしまった。
「うん……。じゃあ、やろうか?」
毛むくじゃらよりも気配がヤバイ呪霊にそう言った。
視界も晴れ、2体の呪霊の姿が現れる。
1体は、黒い肌。まるでバッタのような顔。胸、そのから嫌な気配を感じる。そこに元となる呪物があるようだ。
2体目は、レインコートに身を隠した人型の獣。右腕が異様に大きく露出している。その腕、手はまるで猿だった。こちらも、呪物を飲み込んだ呪霊だと思われる……
バッタ野郎の呪物は検討がつかない。しかし猿野郎はわかった。『猿の手の
「特級呪霊……、レベルかな……?まぁ、こっちも色々イライラしてたから丁度良かった」
僕は腰を少し落として構える。
2体の呪霊は、首を回したり、腕を伸ばしたりとかなり余裕そうだ。
それもそうだそうさ。術式を発動してる為、身に纏っている呪力が少なく見える(或いは感じる)はずだ。
ソイツらは僕のことを、格下の格下……。まるで蟻をみる人間の様な目線なのだろう。
「けどまぁ、僕の呪力量は憂太くんと比べれば少ないし……。やってる事も、棘君みたいに迫力無いし……」
ブツブツと愚痴をこぼす。
「けど、僕。結構強いんだよねぇー。じゃあまずは、挨拶がてら片腕、貰うとするか──」
すぐに祓うと退屈だし、と小言を付けた。
005
それから15分後──
「『潰れろ』‼︎」
四方から見えない壁が迫り込むように、毛むくじゃらの呪霊は圧死した。
「スゴい……」
額から血を流す乙骨。その下に駆け寄る狗巻──
「高菜‼︎」
「あぁ、大丈夫だよ。少しかすっただけだから。でも、いきなりコッチに来るなんて思わなかったね。なんか背中に大怪我してたみたいだけど……」
乙骨は先ほどの呪霊を思い出し言った。
「それよりも、宗一くんの所に!助けに行かないと!」
「ツナマヨ!」
満場一致。2人はボロボロになりながらも鈴谷の元に向かう。向かう理由はただ一つ──
『大切な友達だから』だ──
焦る気持ちを抑え込み、狗巻を先導する様に乙骨は走る。
「こっちを曲がった方が早いかも!」
「しゃけ!」
大通りではなく、脇道を通る──
細い通りを幾度と曲がり、大通りの光が差し込む方に──
「鈴谷‼︎」
乙骨はそう叫んだ。もし呪霊に気づかれても『里香』を出せば良いと甘えてしまったからだ……
乙骨には武器は無い。先程の戦闘で破損してしまったからだ。
呪力の『入れ物』である武器を無くしてしまった以上、呪霊と戦う術はたった一つしかなかった──
「わぁ‼︎……びっくりした……。なんだ憂太くんか……。脅かさないでよ〜」
そこにはいつもの調子の鈴谷が居た。
足元には弱り果てた2体の呪霊。
乱れた髪と、ボロボロな服。しかし鈴谷自体には大した怪我は無く、その様は何処か惹かれるような光景だった。目線を下ろし、呪霊を見る姿……
「…………」
乙骨と狗巻は鈴谷を見るなり黙り込む。
「ん?どうしたのさ⁉︎人を見るなり黙り込んで!タチが悪いぞ!」
鈴谷はプンスカ2人に怒る。
「ご、ゴメン‼︎別に悪気は無いんだ!ただ……」
「…………ま、良いや。ちょっと憂太くんに見てもらいたくてね。この呪霊の事でね」
鈴谷は早々と話題を変えた。
「『呪物』から成る『呪霊』。この2体はそのパターンだよ。見ててね」
そう言うと、鈴谷は動けなくなった呪霊に手を置いた。
途端に呪霊の身体がボロボロと壊れて消えてゆく──
「まだ本格的には見せてなかったね。これが僕の術式。触れるものの呪力を元ある場所に還す──。呪霊は呪力の塊だから、呪力が減ったり、無くなると、こんな感じに崩れていくんだ……」
最期に残ったのは、小さい腕の木乃伊と、人の指の木乃伊──
鈴谷がそれを拾い上がるなり、帳が開いていった。
「ヨシ‼︎これにて一件落着!僕と棘君の術式も見れたし、呪霊祓えた!最高の出来じゃあないか?憂太くん?棘くん?」
「しゃけしゃけ」
狗巻は頷き、手で伊地知さんが待っている出入り口を指差し、先に行ってしまった。
「『先に行くので、ごゆっくり』……って感じなのかな」
乙骨はポツンと呟く。
「そんな感じだねー。で、なんかあるの?」
鈴谷は呪物に布を巻いている。慣れているのか、その作業は1分とかからなかった。
「と、言いますか……憂太くん。さっき僕の事を『鈴谷‼︎』って、言ったね〜?心配してくれて居るのは嬉しいけれど、なんかこうさ……『綾波ッ‼︎』て感じで。いやー、アニメとかで言ってるのを見たりしてるけどさ、実際に言われると……、なんだか嬉しいね」
鈴谷は笑って見せた。
「でも、君が僕に追いつけるのは、相当先だから。そこまで深刻にならなくても良いよ。だって僕、サイキョーだからね」
グルグル巻きにした呪物をポケットの中にしまい込み、鈴谷は歩き始める。
「あぁ、僕の事、女性だとでも思って言ったんでしょ?」
鈴谷が振り返りケタケタ笑う。
「え"っ!ま"ッ!…………。うん。でも、髪もいい感じに長いし……。……ワザとなの?」
乙骨の核心めいた言葉が鈴谷に刺さる。
鈴谷は2、3秒ほど黙り込み、「なんでだろうなぁ?僕にも分からん!」と乙骨に背中を向けて言った。鈴谷ふと思い浮かべた記憶は、数少ない『嬉しい記憶』。心から大好きだった、30代目との出来事──
喉に詰まる色々と混ざった感情を、寂れた商店街の空気と共に飲み込んだ。
006
翌日──
ハチミツや、シロップの甘い香りと、コーヒーの良い香りが漂う喫茶店でティラミスを口に運ぶ。
ほろ苦いビターが口を占領し、その後、うんと甘いレアチーズの風味が広がる。その後、ホットミルクで整える。
つまりは、メチャクチャ美味いって事だ‼︎‼︎
「良い顔で食べるね、キミは……。まるで悟と一緒だ……」
湯気が立ちあがるコーヒーを口につけながら彼はそう言った。
「僕、五条先生嫌いだから、一緒にされるの死ぬほどイヤなんですけど……。あ!次はコレ!ミル・クレープ!注文しますね〜」
僕はすかさず、定員呼び出しのボタンを押し、追加の注文をした。
プルルルル──
急に彼の電話が鳴る。「失礼」と一言入れ対応する。
<
呪術高専を追放された、最悪の呪詛師。五条先生とタメで、尚且つ元特級呪術師──
追加したミル・クレープを崩れぬように食べつつ、僕は夏油さんを見つめる。
もうかれこれ20分は居る。夏油さんの目線配りや、客の増減で、店内にどのぐらい夏油さんの部下が居るのかわかった。
まずは、1番目立って居る肌黒い男。アフリカ系?漂う気配がまず面倒臭そう。そもそも、気配自体を隠していない。強者の余裕?強力な術式持ちか、呪物持ちか……
2、3番目は、前回食べ歩きしていた時に着いてきた、あの双子(?)ちゃん。
相変わらず殺意ダダ漏れ。僕、何かしましたか……?
4番目は、かなり微妙……。長い黒髪の女性。どう見たって一般人の可能性がメチャクチャ高い。殺気なし、嫌な気配なし。でも、僕が喫茶店に入る前から居る。
そんなに長居するのか?気になる……。あと、あんなにコーヒー飲んで良いのか?10杯目だぞ?
5番目は、喫茶店の外。道路を挟んだビルの屋上。性別は不明。喫茶店に入る前に人影が見えた。
僕が高専の応援を呼んだかどうか監視しているのだろうか?
僕が捉えられたのはこの5人だ。きっとまだ居そう……。戦闘はしない。会話だけ。会話だけ……
「あー、ごめんごめん。私の部下から連絡あってさ。鈴谷君、約束守ってくれてありがとう」
「別にお礼はいらないです。僕はただ、『一般の方と、タダ飯を貰いに』来ただけです」
カチャカチャと、僕は食事を進める。
「こんな感じの状況さ、2回目だよね。ほら、学校に乙骨君と行った時さ」
夏油さんはコーヒーを飲み、話を続けた。
「どうして、あんな『恐ろしい存在』をほっといて、『一般人を避難させず』、君と悠々と食事していたか分かるかい?」
「…………」
言われてみればその通りだ。当時はかなり驚いた記憶がある……
「きっと、悟は君の『本気』が見たかったんじゃ無いのかな?いつか殺し合いになった時、少しでも情報が欲しいからね。幾ら六眼でも、事前の情報の有無で、かなり戦況は変わるだろうさ」
「僕が、高専を裏切るとでも?」
「あぁ、君はそうする。きっと、必ず。高専だけではなく、全人類の敵となる日が来るだろうさ」
「何故?」
「それは勿論──」
君は、六神通の全てをいずれ取得する『妙漣寺の最高傑作』だからね、と告げた。
僕は少しだけ気分が悪くなり、フォークを皿に置く。
口直しに、グラスに入った水を飲み反論する。
「意味が分からない。何故、そう思う?僕が知る限り、神通力を取得しただけで、人類の敵とまで言われた存在は居ない。ただ、小さな謀反を起こしてるだけだ」
全て失敗に終わったけれど、と小声で継ぎ足した。
「そんな過去の出来事をなぞった理由ではないよ。君が持っている呪物、そしてその『持ち主』の君が関係しているんだ。このとこは、最近仲良くなった呪霊が教えてくれた事だけどね」
「くだらない。帰ります、さようなら」
僕は両手をテーブルにつけ立ち上がる。
何故か腹がたってしまった。僕の心の奥底をまるで、みられているようで……
「待て待て待て……。
この事を回避できる可能性が有るとするならば?
君の願う世界が実現できるなら?
鈴谷君、キミはあの時、修験者と呪詛師を殺して何か思うことがあったんだろう?
ほら、話し合いをしようじゃないか?
だってまだ話し合いは、始まったばかりなのだから」
妙漣寺の修験者、そして呪詛師。彼等を殺害して、思うところは多々有った。
割り切れない気持ちも有った。
僕は再び座り直し、夏油さんに言った。
「あと30分だけ。僕からは何も言わない。聞くだけ聞いてやる」
夏油さんはニヤリと笑い、夏油さんの1人語りが始まった──
お疲れ様でした!
いかがでしたか?
サブタイトルの『分岐点』とは、ここから、いろんな√が展開される重要なキーポイントだと思いましたので、付けてみました‼︎
でも、ほかの√は書く気が無いので……。勘弁してください…。
〜めちゃくちゃ蛇足な後書き〜
にしても、鈴谷くん。夏油さんに見事に釣られましたね〜。
美味しいご飯を食べさせてくれるなら、基本誰でも釣られます。
(五条となら、一瞬考える。だけど行く)
書いてる中、なんだこの魚は…と、多々思いました。
僕の頭の中では、この後、適当にドンパチした後、1ヶ月間鈴谷は冥冥さんに『飼われます』。美味しいご飯に釣られて……。
もし、本編も交えて書く機会とやる気が有りましたら、鈴谷はずっと何かを食ってるような存在になってるイメージです。
今回はここまでです。
かなり間が空いてしまいました。
この先も、自分のペースで出来るだけ早く投稿したいです。
最後まで読んで頂いてありがとうございます‼︎‼︎
ではまた〜