転生したらダイワスカーレットの兄になっ………えっ!?姉ですか!?   作:ミレニア

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ワクチン三度目打ちました。







助けて


第64回 GⅠ 皐月賞 芝 2000m 晴 良

「…はぁ、遂にこの日が来たか」

 

外で鳴り響く観客の声が屋内に居るにもかかわらずここまで届く。

これだけの観客が来る程のレースと言えば、一部例外を除けばGⅠレース以外他ならない。

そう、ダイワメジャーは遂にクラシックレースの一つに挑む。

最も速いウマが勝つと呼ばれるクラシック三冠レース。

 

「…大丈夫か?メジャー」

 

カタカタと震えるメジャーを横目で見る。デビュー戦の様に緊張でもしているのではとサブトレーナーの脳裏に思い浮かぶ。

確かにメジャーはGⅡでも問題なくレースに勝った。だが、これはGⅠレース。GⅡとは比べ物にならない程の歓声、名誉がここには詰まっている。

そのようなプレッシャーに押し潰され本領を発揮出来ず、何も無く終わったウマ娘も何人もいた。それほどにGⅠレースというのは重い。

メジャーはサブトレーナーの発言に首を振った。

 

「大丈夫か、と言われると大丈夫じゃない。サブトレーナーも聞こえるだろ?この歓声が」

 

『わぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』

 

空気が揺れ、大地も揺れる。そのような錯覚を声だけで引き起こされる。

 

「…聞こえるよ。凄い歓声だ、いつ聞いてもね」

 

「うん、本当に凄い。…まだ始まってもない、それなのに私や他のウマ娘達の名前を呼ぶ声が聞こえる。空気が重く感じる。こうして座っているだけなのに既にレースは始まってるような気分になる。これがGⅠレース、なのかな」

 

「なるほどね。確かに大丈夫じゃ無さそうだ。…早くここから出たくてたまらない?」

 

サブトレーナーからの問いに、ニッと歯をむき出す。

 

「…そうだね。落ち着かない。早くここから出て走りたい。私はライバル達と早く走りたい。頭で知っても、この目で見ても、結局は走らなければ分からない。何が起こるか分からない。ただ、それでも私は言うよ。悪いけど私の勝利は揺るがない」

 

「…なら、俺から言えるのは一つだけだよ。勝つぞ、皐月賞。このレースは俺たちの物だ」

 

「はは…当たり前」

 

 

 

 

 

 

 

 

「最も速いウマ娘が勝つと言われるGⅠ 皐月賞!今年も集った優駿達が、一体どんなレースを見せてくれるのか!」

 

流れる実況の声に歓声はより轟く。

各ウマ娘に付いたファン達がパドックに現れる存在に、またも声を上げた。

やはり人気が高いウマ娘はその声も一際大きくなる。

 

そして遂に出てくるダイワメジャー。

勝負服のお披露目とあって、他のウマ娘達と同様にカメラを向けられる。

黒色のキャップを被り、前の方に白色の四葉のクローバーが描かれ、スナップバックからポニーテールを垂らす。

青をベースとしたジャンパーを着て、袖と中央横一線に白を取り入れたもの。

堂々と前を開け、胸を白いスポーツウェアで隠したが後は適当なのかお腹は普通に見え、白みがかった灰色のスカートを履いていた。

 

メジャーとて高人気のウマ娘である為、その歓声もまた凄かった。

そして、そんなメジャーを最も応援する者の一人。アグネスデジタルのテンションは既に振り切っていた。

 

「メジャーしゃぁぁぁぁん!!!頑張ってくださいぃぃぃぃぃぃ!!!このアグネスデジタル、全身全霊をもって応援させてもらいますぅぅぅぅぅ!!!」

 

彼女もウマ娘の為、高い身体能力を無駄に活かし、ぴょんぴょん飛びながら『メジャーLove』のお手製うちわを振っていた。

無論、それだけしてしまえば目立ちに目立つわけでメジャーからもあっという間に見つけられた。

ただ、もうすぐレースも始まる為わざわざ会いに行けない。そうして思い付いた行動は、(主に見てくれてるだろうスカーレットとデジタルに対して)投げキッスだった。

こちらも学ばないようでその行為に大勢の女性ファンは叫び、デジタルは死んだ。

何となく、スカーレットが溜息を吐きながら頭を抱えてるのが見えたのは気のせいか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

観客席近くのゲートに続々とウマ娘達が集まり出す。

 

「はは、歓声すご」

 

メジャーは呑気にそのような感想を零していた。だが、彼女とてこの地では2番人気。更に無敗という事もあり、睨むようにこちらを見る目もちらほらと感じる。

 

「あ、あの、貴方がダイワメジャーさん、ですか?」

 

「んー?そうだけど、君は…あぁ」

 

振り返ればそこには一方的に知ってる顔の一人。

 

「はい、コスモバルクと申します」

 

「うん、知ってる。それで、何かご用が?」

 

「はい。私、ずっと貴方に見られていたのを知ってました。ですから、私も貴方をずっと見ていました。何が得意でどんなトレーニングをしていたのか」

 

そう淡々と語る彼女に問いた。

 

「私、直球が好きだなぁ。…何が言いたいのさ」

 

「…人気もレースも譲ってもらいますから、よろしくお願いします」

 

いつものおどおどとした雰囲気は感じられず。寧ろその逆のものを感じさせるコスモバルク。確かに、彼女ならこの皐月賞も制すかもしれない。だが──

 

「あっは。…残念、元々私のものだからさ。譲れないかなぁ」

 

それでも、ただ彼女は笑うだけ。

 

「18番コスモバルクゲートイン完了です。さぁ始まります、第64回皐月賞今スタートします!好スタート切ったのはマイネルブルック、内からメイショウボーラーが飛び出していく。そして外からダイワメジャーが2番手に上がってきた──」

 

メジャーが得意とする先行策。なるべく早い段階で内に入り込むようにする。

メジャーの後ろに二人のウマ娘が追走していた。

 

(コスモサンビームが5番目、宣戦布告してくれたコスモバルクがその後ろ。ブラックタイドとハーツクライはここからじゃ見えない、とすると最後方か)

 

「前半1000mは59秒台のペース。先頭集団は変わらずメイショウボーラー、ダイワメジャー。その後ろに2番と13番、二人のウマ娘。4番人気のコスモサンビームと1番人気コスモバルクは4.5番手──」

 

1000mを過ぎ、第3コーナーに差しかかるその直後。

 

(仕掛けに行ったか)

 

3コーナーを回ってメイショウボーラーとの距離が3.4バ身離れていく。

 

(それなら私も仕掛ける!)

 

(貴方だけには行かせません!)

 

「4コーナー回ってメイショウボーラーが逃げるがダイワメジャーも上がってくる!コスモバルクも既に2番手を伺う脚色!ブラックタイドは未だ中団!直線入ってダイワメジャーが先頭に立った!コスモバルク2番手!メイショウボーラーも内で頑張っている!」

 

(っ!予想より速い!…届か、ない!)

 

(追いつかせない!私なら行ける!見ててよ、スカーレット。これが君に贈る最初の栄冠だ!)

 

「コスモバルク凄い足で上がってくるが2番手まで!ダイワメジャー先頭!コスモバルクもまた上がってきたが届かない!ダイワメジャー!!!ダイワメジャー1着!ダイワメジャー1着!ダイワメジャーなんと言う速さ!しかもレコードタイム!1:57.8!」

 

わっとアガる観客席。耳が痛くなるほどの歓声。何より泣いて喜んでいるデジタルや少し離れた場所で応援してくれていたチームメンバーの声にメジャーはニッと笑い腕を上げた。

 

「…まさかレコードとは。皐月賞をレコード勝ちねぇ。()を、()が超えた、なんてね。しかし、まぁ……中々どうして、込み上がるものがあるなぁ、はは」

 

1着 ダイワメジャー 1:57.8 R

 

2着 コスモバルク 1:58.0 2バ身




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