転生したらダイワスカーレットの兄になっ………えっ!?姉ですか!?   作:ミレニア

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もしかしたら覚醒スキルに八方にらみ、あるかも

 

『レースに勝つ』と心の中で叫び続けるッ!絶対に勝ってやる!

 

マジで首洗って待ってろ本気で刈り取ってやる。ここまでプッツンしちゃったのは生まれて初めてだなァ〜?

今の俺はガチだぜ。俺を止められる奴なんて相手が『怪物』か『皇帝』か『ダイワスカーレット』じゃない限りは行けるぞ。

あー、もう。怒りだけはふつふつと沸き上がってるのにトレーナーが何もさせてくれない!

 

「何でトレーニングさせてくれないんだ!」

 

「何があったかは聞いたが、今のメジャーに許可したらオーバーワークしそうだからだ!」

 

ぐぅ、ごもっとも。きっと今のままトレーニングしてたらそうなってるかもな。

 

「それでも!私は走りたい!頼むよトレーナー!」

 

「…ダービーまであと三週間しか無いんだ。この期間は貴重だからある程度追い込むようにトレーニングはしつつも、休みをメインにして欲しいんだが。……メジャーは引かないよなぁ」

 

「よくお分かりで。…お願いだよ、走らせてくれ。ほんの少しでも、0.1%でもアイツに勝てる可能性を高めたいんだよ」

 

真っ直ぐトレーナーの目を貫く。

その紅色の目に少しばかり見惚れながらも、顎に手を当て考える。

 

(メジャーは引く気が無いが、本当ならダービーには万全を期して挑んで貰いたい。が、逆にここまで闘志を燃やしているのならそれを解消させない方がストレスを溜めさせるかもしれないな…)

 

「分かった。メジャーの自由にしていい。だが、最低でもダービーの一週間前からは安息にする事、いい?」

 

その言葉にぱぁっと顔を明るくさせ、抱きつく。

 

「ありがとうトレーナー!いよっし、あと二週間。頑張るぞー!待ってろよキンカメ!」

 

意気込みを叫びながら出ていくメジャーに若干呆れてため息を吐くも、自身もメジャーに許可を出した手前、何もせずとはいられる訳もなく。

 

「…仕方がない。もう少しキツめのトレーニング内容を考えないとな。頑張ろう、メジャー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁぁぁぁぁ!!!」

 

夕暮れ時。太陽が沈みかけ、辺りがゆっくりと暗くなる。

 

「はぁ、はぁ。だぁ、もう無理ー」

 

トレーナーに許可を貰い、本能のままに走り続けて早三時間。

もはや立っていられる体力すらも残っておらず、考え無しに走っていた。

荒い息を整えつつ、こんな状況に何処か既視感を覚えていた。そうして、思い出すはオグリキャップと出会い、チームとしてシリウスに勧誘された一年前の出来事。

そして現在に至るまでに出来ることは全てやってきたと思う。

オグリキャップやシリウスのメンバー達との併走、模擬レースの数々。トレーナーとも相談し、トレーニングをこなして最低限のスタミナの確保。無論その他も怠らず。

 

「やる事やった。あと二週間もとことんやる。ダービーが何でここまで特別かが今なら身をもって理解出来る。運も、速さも、スタミナも、全て必要で、クラシック級の頂点を決めるための一度きりの勝負」

 

メジャー自身も分かっていた。分かっていたつもりだった。それでも、こうして本人達の立場になる事で、それがどれだけ大きなものかが理解出来た。

 

「ダービーは特別。だけど、私にとってはそれ以上に。何せ相手はキングカメハメハなんだから。油断出来ない、出来るはずない。確実に私以上の相手なのは明白。…それでも、私は勝つから。絶対、絶対に」

 

ダイワメジャーとして生を受け、競走バとしての道を歩み始めてずっと意識していた壁。

それを乗り越えるべく想いを馳せる。

すると、胸ポケットにしまっていたスマホが震える。

 

「ん?なんだ?…電話、スカーレットからか。──もしもし?スカーレット?」

 

『あ、お姉ちゃん。今大丈夫?』

 

「全然平気だよ。というかスカーレットが相手ならいつでも大丈夫にするから安心して?」

 

『いや、それ全然大丈夫じゃない…。まぁいいや、ねぇお姉ちゃん。お姉ちゃんは次の日本ダービーに出るんでしょ?』

 

「もっちろん。ここまで来てダービーに出ませんとか、トレーナー達やファンの皆に怒られるな。スカーレットも見ててよ?私が日本ダービーを勝って、一番になる所をさ」

 

『それで盛大に負けたらどうするの?…なんて、大丈夫。お姉ちゃんの強がりっていうのはもう知ってるけど、それでもお姉ちゃんなら勝てるから。だから頑張ってね』

 

「ちょ、強がりって…。……うん、頑張るさ。スカーレットに応援されて、勝てないレースは無いよ」

 

『そっか。うん、アタシが言いたい事はそれだけっ。でも、何度でも言うけど頑張ってよ、お姉ちゃん。またね』

 

「分かったよ、また」

 

プー、プーと電話が切れた音が鳴る。

スマホをしまい立ち上がり、体力も少しは回復しただろうと芝の上で構える。

 

「…もう一本、行くか」

 

「ダイワメジャー」

 

走ろうとする直前に自身の名を呼ぶ声に反応し、その声の主に視線を向ける。

 

「君は…ハーツクライ、か。全く、こんな時間によく出会うな、ほんと」

 

「…?僕は貴方と会うのは初めてですよ?」

 

「いや、気にしないで。ちょっと芦毛の先輩を思い出しただけだから…。それで?何かご用?」

 

「そう、僕は貴方に。ダイワメジャーに話がある」

 

「メジャーでいいよ。…で、話とは?」

 

辺りは暗く、二人が立つコースの上には月の光でのみ光源が保たれる。

春の季節とはいえ、夜に吹く風は少々冷たいものであった。はずなのだが、ハーツクライから感じるものによってその程度の風など気にもしなくなった。

 

「なら、遠慮なく。……メジャー。僕を忘れるな」

 

「っ!?」

 

「これから走る相手の事くらい、調べもする。リギルのキングカメハメハだっけ。強いよね。皐月賞で二着に入ったコスモバルクもそう。メジャー、貴方も。でも、誰も彼も皆見てない。僕のことを、ハーツクライを。いいかな、メジャー。貴方がキングカメハメハだけを見るのは全然構わない。寧ろそうさせた方が良かったんだろうね。だけど、いても立っても居られなくなってから。だから言うよ。前ばっかり見てさ、後ろから差されても知らないからね」

 

語るハーツクライ。その闘志を受けるダイワメジャーは、キングカメハメハにしたように笑うだけだ。

 

「…あは、大丈夫だよ。君の事を忘れた事だって、一度もないから。それに…今日の事はちゃんと頭にこびり付いて余計に忘れられなくなったから安心しなよ。キングカメハメハもハーツクライも皆、私が倒す」

 

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