転生したらダイワスカーレットの兄になっ………えっ!?姉ですか!? 作:ミレニア
いやぁ、この景色も見慣れたなぁ。どうした?妹に色々言ったくせに妹離れ出来てない奴を見るような目で俺を見やがって。忘れちまったか?
俺だよ俺!
ダイワメジャーだよ!
はい。
本当にすいませんでした。
人とは失ってから初めて気づくものです。ウマ娘ですけど。
人は愚かな者です。特に俺。ウマ娘ですけど。
スカーレット成分が無くなるにつれて禁断症状ではじめてまして、要はめっちゃくっちゃ寂しくなる。ベッドの上で体育座りですよ。
しかも一人部屋なもんだからよりさみしい。
ホームシックってやつなんだろうな。ちょっと泣いちゃう時ある。
ゔあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ス゛カ゛ー゛レ゛ッ゛ト゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛(泣)
ふぅ…スッとしたぜぇ。
まぁそんなことはいいんですよ、いやよくない。
何はともあれトレセン学園に来てから三ヶ月位かな?
それでね、分かったことが一つ。この学園不思議過ぎるわ。学年とかそこら辺。三女神やらなんやらウマ娘って結構オカルトじみてるからさ、触れすぎたらどうなるか怖くて気にしないようにしてるんだけどさ。
それはそうと、俺もトレーナーを探そうかなと思っている次第でございます。
といっても、選抜レースに出てスカウトされる位しか方法ないと思いますけど。
まぁ〜それよりですよ。トレーナーの話も大事だけど、飯の事も気にしないとね!ここの飯、うめぇんだわ。さすが何千のウマ娘を食わせるだけの腕、料理の多さもだけど何より味が学食のレベルじゃねぇんだな。
ほんとに感謝、Thank you、Gracias、Спасибо、いただきます。
もぐもぐ。もぐもぐ。あぁ〜、おいしー。にんじんハンバーグ、ウマ娘にとってありきたりだがシンプルイズベスト、これが最高なんだよね。ん〜美味美味。
あぁ、そうだ。そういえば俺がなんのレースを出るか考えてなかった。
元々ダイワメジャーって何勝ってたっけ。
皐月賞、安田記念、天皇賞・秋、マイルチャンピオンシップ二連覇。
…いや、強いな。もうこのまま流れに身を任せて何もしなくて良くないか?
ちゃんとやるけどさ。
んあー、そうだなー。まぁ、クラシック級の目標は前に言った通りに無敗二冠、要はキングカメハメハ相手に勝つ。
因みに探してみたら普通に居たから安心していいよ。俺は出来ないけど。
だが、その上でNHKマイルカップも出る?まぁ、そこを決めるのは後回しでいいや。
後は宝塚記念やジャパンカップも勝ちたいなぁ。
あーもう、出たいレースが多いんだよなー!
めっちゃワクワクするなホントに。おかしい、俺はこんな戦闘狂みたいなキャラでは無かったはずなんだが…これもウマ娘化による本能からなんだろうか。
ともかく、何のレースを出るかは結局はトレーナーが出来てから決めないとだし、少なくともダイワメジャーが勝ったレースは出る方針で行こう。
何ならG1勝利数も皇帝を越してやろうか、夢は大きく持たないとね。
っと、気がついたら食べ終わってました。ご馳走様でした。
さてさて、それじゃあ選抜レースの出走予約でもしに……ん?
おー、チーム募集の張り紙があるじゃん。
ほへぇ、色々なチームがあるんだな。お!チームリギルがある。
そうなるともしや…あった、チームスピカ。
確かこの辺りのスピカって何か色々不安定だったよな…その点リギルの安定感。『皇帝』シンボリルドルフや『女帝』エアグルーヴの生徒会組やフジキセキ、ヒシアマゾンの寮長達がいる。
あれ、でも『怪物』といったらのブライアンどこ行った?…分かんねぇ。
少し変わっている、だが、つまりこれはアニメ時空のウマ娘じゃな?はい、完全に理解した。
とはいっても別にアニメチームには入る気は一切無いですけどね。あえてね、あえて。
べ、べつに実はアニメをそんなに見たことなかったんだ、てへっ☆って訳じゃないんだからね!本当だから!
んじゃま、どうするんですかと言いますと。
知らぬ。時に身を任せる。
ごめんて、何言ってんだこいつみたいな目で見んといて。
でも、実際にチームに入れてって言っても入らせてくれないなんてありそうだし、だったら向こうから来てくれって感じ?
何かめんどくさいなとか全然思ってないからね。
ともかくね、まずは選抜レースに出て良い結果を残し、トレーナーの目に付く。
後は良さそうな人見つけて頼む、完璧だな!
よし!それじゃあその日までトレーニングだ!
とある夕暮れ時。
赤く染まる太陽が沈みかけ、辺りも段々と暗くなる時間。
そこに一人のウマ娘が歩いていた。
「ふぅ、お腹いっぱいだ。やはりトレセン学園のご飯はとても美味しいな」
『芦毛の怪物』オグリキャップ。
笠松の地方レース場で活躍し、その強さから中央にスカウトされ、その勢いのままに連勝を続け、同じ芦毛のウマ娘であるタマモクロスとの激闘の果てに有馬記念を制した実力者。
今後のレースにも期待ができると関係者及びファン達は楽しみにしている。
「うん、外の空気もおいしいな。風も気持ちがいい。…ん?」
オグリキャップが歩く場所はトレセン学園の敷地内ではあるが少しばかり外れにおり、暗くなる時間帯でもある為、人っ子一人も存在しない。
事実そう思っていたオグリキャップは誰かがこんな時間に走っている事に驚いていた。
「驚いた。こんな遅くにまでトレーニングを積んでいるウマ娘がいたのか。…うん、流石に心配だ。止めよう」
そう言い出し、彼女に向かい歩き始めようとした時。
彼女から溢れ出る覇気のようなものにあてられて、歩みを止める。
「っっ!?」
あのオグリキャップの足を止めさせる程のプレッシャーを、デビューどころか名前すら知らないウマ娘が出している。
ふと、彼女が何かを喋りながら走っていることが分かる。
「今のままじゃ全然ダメだこの程度じゃ私の前に立ち塞がる奴らには絶対勝てないだから私はもっと強くなるなってやる勝つ絶対勝つ絶対負けない誰が相手だろうが最後に勝つのは私だそれになにより……ダイワスカーレットに私は勝ちたい。スカーレットの為に強くてかっこいい所を見せたい」
きっと、彼女の想いだろう。確かに凄まじい覇気を持つ彼女だが、その裏にはものすごく熱く燃える闘争心と彼女なりの優しさが垣間見える。
「…………走りたい」
ただ、純粋に思ったことが口から出ていた。
何もかもが謎で名前も知らないウマ娘。
だと言うのにオグリキャップはただ彼女と走りたくて仕方なかった。
「…なぁ!君!」
「っ!?えっ、あ、オグリキャップさん…?」
「お願いだ、私と走ってくれ。頼む!」
「えっ?え?あー、あの、話が全然見えないと言うか…?」
「むっ、すまない」
どうやら色々と困惑されているらしい。
一旦落ち着きを取り戻そうと少し深めに息を吸う。
「えと、謝らなくても大丈夫ですけど…。その、何故オグリキャップさんが私なんかと?」
「君の熱に当てられた。君と走りたくなった。きっと楽しいレースが出来るだろうと」
「そう言って貰えるのはありがたいですけど…ごめんなさい。流石に疲れ果てていて…」
それもそうだ。このような時間にトレーニングを始めるウマ娘などいない。
ならばずっと続けていたと考える方が自然だ。
ただどうしても気になるのは、いつから始めていたのだろう。
スピードはとてもありそうだがスタミナがあるとはあまり思えない。
そんなスタミナを絶対克服してやるという気迫を感じる。
だが、色々と思う前にまずは謝ろう。
「ああ、確かに、そうか…。すまない、自分の事だけを考えてしまった」
「だ、大丈夫ですよ。それにほら!今度!今度私と併走しましょう!」
「本当か!ありがとう!君と走れる日を凄く楽しみにしている!」
「…併走ですよ?まぁそれだけ楽しみにしてくれるのは嬉しいですが」
「うん、とても楽しみだ。そういえば、まだ名前を聞いてなかったな。私はオグリキャップ、よろしく頼む」
「…ダイワメジャー。いつかあらゆる壁を破り、運命を超えるウマ娘ですよ」
睨むようにこちらを見る目は「絶対にお前と並び、超えてやる」と訴えかける。
このままではまずい。このままここに居ればきっとオグリキャップはメジャーが疲れている状態でも今すぐ走りたいと思ってしまう。
だからこそ、少し慌ただしく離れようとする。
「っ。す、すまない。私はもう行く。ではな。…………ダイワメジャー、か」
「あ、ではまた〜。………行った?…はぁ、びっくりしたが?まさかのオグリキャップとエンカウント…しかも走る約束まで…。まー、あのオグリキャップ相手にどれだけ通用するのか試せるからいいか。…オグリキャップ、俺と同じマイル適正が強いはずなのに有馬記念を走りきれるスタミナ。絶対お前に食らいつく。それに他にも数多くのウマ娘がいる。まだ把握しきれてないがきっといる。でも、観ててね、相手が誰でもスカーレットのおねえちゃんはすごいよって所…愛してる、スカーレット」