転生したらダイワスカーレットの兄になっ………えっ!?姉ですか!?   作:ミレニア

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デビュー戦

「…やっべ緊張してきた大丈夫大丈夫自分を信じろ私ならやれる私ならやれるちゃんと走れるから安心しろくそぉ震えるな!この足め!」

 

「…メジャーでも、緊張することってあるんだね」

 

「当たり前だろ、サブトレーナー。私をなんだと思ってたんだ」

 

「…割とわがままで暴れん坊なウマ娘……」

 

「結構言うね…。いや、そうなんだけど」

 

20××年 12月 28日。中山4R 芝 1600m 右 外 晴 良。

 

チームシリウス所属、ダイワメジャーのデビュー戦。

現在のチームシリウスに優秀なウマ娘がいる、というトレーナー達の間では話題が上がるメジャー。

だが、そのウマ娘をチームのサブトレーナーがメインに育成するという問題が発生。

しかも、それをチームトレーナー自身が言い出すものだから、それはもう混乱がトレセン学園に訪れた。

そのうえに、無駄に長くトレーナー業をやり続けたからか、相手を丸め込む方法が上手く、信頼もあるものだから「まぁ、あの人が言うなら…」というふうに落ち着いていた。

流石のサブトレーナーも、これにはびっくり。

なんせ、自分が言ってもどうにもならないだろうからと放置した結果、まさかの周りも何も言えなくするという、前にトレーナーが言った通りになってしまった。

 

「…はぁ、どうしてこうもあの人は」

 

「まぁまぁ、いいじゃん。私で経験積んどけば、後々楽になるよ?」

 

「メジャーもよくok出したな。目の前に確実に実力はあるトレーナーとトレーナーとしての力も未知数で、誰かを育て上げた実績もない俺とで」

 

「結構私は信頼してるよ〜?サブトレーナーにはちゃーんと力はあるってね」

 

「どこからその自信が…」

 

別世界から。なんて言う訳にもいかず、ただ黙ってその話は終わらせる。

ただ、メジャー自身の想いに懸命に応えようとしてくれてるのは間違いなく、そういった部分も含め初見だとしてもこのトレーナーの事は信頼していただろう。

 

「まぁ、いいか。さて、そろそろパドックに向かった方が……メジャー?」

 

「な、何かな。あぁ私の事は気にしなくていいよ何あれだ武者震いがまだ続いてるだけだからねあっははは」

 

「まだ緊張してたのか…」

 

ブルブルと子鹿のように震える足でパドックまで向かい、それでも解けぬ緊張。

 

「さぁこのレースの一番人気!チームシリウスの期待の新人、ダイワメジャー!」

 

ガッチガチに固まったメジャーはゆっくりでありながら中央まで向かいつつ、頭の中で何をすればいいか何度も繰り返していた。

そういった事に気が向いていたせいか、事件は起こる。

 

「あっ」

 

「「「「「「あっ」」」」」」

 

メジャー自身も観客も皆揃って言葉を吐く。

ズルっと足を滑らせ、そのままパドックで寝転ぶというオチ。

どんどん赤くなる顔を出来るだけ無視し、せっせと裏へ戻っていく。

サブトレーナーがなんとも言えない顔で。

 

「…あ〜。……大丈夫?」

 

「………大丈夫に、見えるか…」

 

顔を隠したまま、どうにか絞り出した一言。

だが、この出来事で逆に吹っ切れたのか緊張もさっぱり無くなり、目の前のレースに集中出来るようになった。

そんなこともあったが、いよいよレースは始まりを迎える。

 

「さぁ、始まります。新たな伝説が生まれるその一戦目となるのか今スタートです!

まずは先行争いとなりました、一番手に5番、二番手10番、3番手に12番と言った展開。

一番人気のダイワメジャーは後方11番手ですね」

 

(さっきの事が頭にチラついて出遅れちゃったけど、今のところは大丈夫。このまま少しずつ前に向かって行こう。だけど少し早めに仕掛けとこうかな)

 

ほぼ先頭勢の順位は変わらず、ただメジャーは黙々と前へ向かってスピードを上げ始める。

 

「ダイワメジャーと2番が上がってきた!5番手から一気に先頭を捉えにかかる!先頭5番、これは無理か!ダイワメジャーと2番が捉えた!抜かした!そのまま離す!ダイワメジャーが前に出た!2番も追いかけるが届かない!一着ダイワメジャー!」

 

「…これが、レースか」

 

初めてのレース。小っ恥ずかしい事も起きたりはしたが、今は一着を、レースに勝てた事を喜ぼう。

観客席の方を見れば、流石に人の数は少ないがそれでもメジャーに歓声が届く。

 

「いやぁ、ありがたいね。…おっ、シリウスの皆。来てくれてたんだ」

 

「メジャーおめでとー!」「いいレースだったー!」「ナイスー!よくやったー!」

 

「あはは、なんだか照れるな。──ありがとうみんなー!観客の人達もありがとうー!」

 

手を振りながら感謝する。

待機室まで戻って、ウイニングライブ用の衣装に着替えて待ったりしていれば、ノックがかかる。

 

「どーぞー」

 

「メジャー!!!一着おめでとう!!!!」

 

「ちょっとうるさいけど、ありがとうサブトレーナー」

 

「出遅れた時はどうなる事かと。メジャーは先行が得意だから本当にヒヤヒヤした」

 

「パドックの事が、ね。でも、あれのおかげで冷静になれたってのもあるし、恥をかいたのもこれでチャラかな。デビュー戦、勝ててよかったよ」

 

「あぁ、おめでとう。最初の一戦目、よくやった」

 

「もういいよ、サブトレーナー。私はそろそろライブに向かわせて欲しいな」

 

「あ、そうだったな。それじゃあ、頑張って!」

 

「それレース前に言う事じゃ…?」

 

ダイワメジャー デビュー戦 一着。

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