禍群重弩衆   作:ヘビィ・ニンジャ

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 謎のモンスター災害、百竜夜行に見舞われたド辺境、カムラの里。

 食卓に並ぶは毎日毎日毎日米米野菜野菜米野菜米。
 そして切り身になっていない魚。
 里民の半分は苗字が同じ。
 ひとつの家は、みんなの家。
 乙女の秘密は全て筒抜け。

 田舎特有の垢抜けない日々と狭く深い人間関係は、ついにひとりの里娘をブチギレさせた。

「アタシはハンターになる!こんなクソ里、出てってやるッ!!」
「百竜夜行がきているのよ」
「そうだ、百竜夜行がきているからダメだ」
「百竜夜行、殺す!」
「どうするのよ」
「そうだ、どうするんだ」
「知らねぇよッ!ヘビィボウガンでも担いで、ファッキン百竜夜行の頭吹っ飛ばせば終わるだろうがッ!」

 始まりは、たいてい、勢い任せ。



禍群重弩衆【祟られた狙撃竜弾】

「禍群重弩衆!禍群重弩衆はいるでゲコか!?」

 

 ギルドマネージャーのゴコクが、怒鳴りながら集会所に入ってきた。太鼓奏者のドンとドコは顔を見合わせ、『勇まし狩人』の演奏を中断する。ゴコクの顔面は紅潮しており、ヨツミワドウの体に怒ったゴシャハギの頭をくっつけたような風体であった。

 

「いるでゲコな!?全員、こっちに来るでゲコ!!」

 

 ゴコクは湖畔に面したテラス席に座っている4人のハンターに向かってそう叫ぶと、その肥満体からは想像もつかぬ軽やかな回転跳躍でテツカブラのテッカちゃんに飛び乗った。テッカちゃんはグエ、と鳴いた。

 

「エイム・E、また何かしでかしたか」

 

 黒染めのインゴットメイルを来た短髪の男が、立ち上がりながら隣の女に小声で問うた。

 

「ア?知らねえよ」

 

 エイム・Eと呼ばれた女は刺々しく返す。薄水色のココットショートに紫色の唇。装備しているアルブーロメイルの胸元には『狙 い が 良 い』の文字がデカデカと刺繍されている。

 

「まだ叱られると決まったわけではないぞ。緊急クエストの依頼かもな!」

 

 向かいの席では頭だけ金ピカのインゴットヘルム、体は真紅のダマスクシリーズを着用した怪人がガチャガチャと音を立てながら、準備体操と思しき奇怪な手足の曲げ伸ばしを数度行なった。男と女とも判別がつかない声。

 

「ランマルスあぶないやめて」

 

 突然始まった奇怪体操に、レイアメイルを着た小柄な女ハンターが仰け反った。彼女がもし齢13歳程と冒涜的な虚偽申告をしても、騙される人は騙されるだろう。

 

「ム、すまない!ヘビィチャンは背が小さい故に、ヘルムのスリットから見えづらくてな」

「アホなの?ずっと隣に座っていたでしょ」

「そうだったかな」

「アホなの?」

 

 4人は急ぐそぶりもなくぞろぞろとゴコクの前にやってくると、横一列に並んでゴコクの言葉を待った。ゴコクは4人を見渡したあと、杖を肩に載せて口を開いた。

 

「…お前たち、どうして呼ばれたか分かってるでゲコか?」

「わかんね」「わかりません!」「わかんないです」

 

 エイム・E、ランマルス、ヘビィチャンが同時に返事をする。

 

「お前はどうでゲコか?ガ性ガ強太郎」

 

 ゴコクは短髪インゴット男を見る。

 

「…いえ、わかりません」

 

 ガ性ガ強太郎は答えた。

 

「ガード特化のヘビィボウガンが大好きとは言え、安直すぎる変なハンターネームだニャ」

「シールド外したくなったらどうするんだろうニャ?」

 

 ドンとドコが囁き合う。ギルドストアのマイドは((キミらは人のことが言えないニャ!))というツッコミを我慢した。受付嬢のミノトは表情ひとつ変えず、なんらかの書き物を続けている。

 

「では、質問を変えて単刀直入に訊くでゲコ。先日、おまえたちが大社跡に現れたオサイズチの討伐から帰ってきた後のこと。エリア4のガルク地蔵さまの頭が破壊されているが発見されたでゲコ。さて…やったのはおまえたちでゲコか?」

「「「エイム・Eがやりました」」」

 

 3人が一斉にエイム・Eを指差す。

 

「ア?オイオイオイありゃ事故だろうが!」

 

 エイム・Eは目を見開いて抗議する。

 

「6尊ぶん、頭だけがまとめて吹き飛んでいたでゲコ!あの惨状が事故でゲコか!?」

 

 ギルドストアのマイドは((お地蔵さまは1尊2尊と数えるのニャ!))と感心した。受付嬢のミノトは表情ひとつ変えず、なんらかの書き物を続けている。

 

 エイム・Eは弁明を行った。あの日、彼女はオサイズチの背後から狙撃竜弾を放ったが、同じタイミングでランマルスが竜撃弾でオサイズチを吹っ飛ばしてしまった。狙いの逸れた狙撃竜弾は、偶然にも並んだガルク地蔵たちの頭部に貫通ヒット。哀れにも地蔵の頭は全て爆発してしまったのだという。

 

「狙撃の合図はしたのに、ランマルスが無視したんですよ。悪いのはアタシじゃなくてランマルスです」

 

 エイム・Eはランマルスを指で差し返す。

 

「事前の打ち合わせなしの狙撃であった。そもそも、オサイズチに狙撃竜弾を使うとは思わない!」

「あいつクッソデカかっただろ!?適応サイズだよ!おまえは機関竜弾しか使わねえからわかんねーんだよ」

「私のテオ=フランマルスを愚弄するな!」

「確かにあれは大物だったな」

「最大金冠だったよね!」

「愚か者どもッ!話の途中でゲコーッ!」

 

 ゴコクが一喝し、杖で4人の頭を打擲!

 

「ヌゥッ」「いてぇ」「ぬ」「きゃ」…静かになった!

 

「あのガルク地蔵さまは、人間とガルクの共存と繁栄を願ってお前たちの先祖が作り、代々お祀りしていたものでゲコ!それを狙撃竜弾で吹っ飛ばした!?罰当たりにも程がある!」

 

 ゴコクの語尾からゲコが消え始めた。彼は永い時を生きた竜人族である。あるいは、ガルク地蔵を作った者とも面識があるのかもしれない。

 

「しかしゴコク様、アレは狩りの最中のアクシデントだったんですよ?不可抗力っつーか…まあ、悪かったとは思ってるけど…」

 

 エイム・Eが頭をさすりながら答えた。

 

「たかだかオサイズチの1匹に、里のツワモノが4人総出で狩りに出るからだろう!過剰な力が小さな点に集中すれば、行き先を失うのは当然の理!…でゲコ!」

「でもね、ゴコクさま」

 

 ヘビィチャンが口を挟む。

 

「あのオサイズチはとても大きかったの。危険な相手よ。それに、コミツちゃんが可愛がってたガーグァを…」

「無論、あのオサイズチの出した被害については把握しておる。里の皆に愛された働きものの荷車ガーグァが、どんな最期を迎えたかも知っているでゲコ」

 

 ゴコクは少し語調を落ち着かせ、話を続ける。

 

「おまえたちにとっては、弔い合戦のつもりであったのであろう。だが、当のコミツは涙ひとつ流さず、次の荷車ガーグァの訓練資金として、飴の売上金を丸鳥宿舎に寄付したのでゲコ。コミツは怒りに任せてオサイズチを袋叩きにしたお前たちよりも、カムラの里の民として為すべきことをよっぽど理解しているでゲコ」

 

 ゴコクは元ハンターであり、ギルドマネージャーでもある。いくら巨大で凶悪な個体であろうと、手練れのハンター4人によるオサイズチの狩猟は明らかにオーバーキルであり、貴重な人的リソースの浪費であった。ゴコクはそれを見抜いていたのだ。4人は反論の余地もなく、口をつぐむ。

 

「…とはいえ、お前たちを呼びつけたのは叱りつけるためではないのでゲコ。お地蔵さまの損壊も前例がないわけではない…ミノト。例のクエストについて説明を」

「はい。それでは、わたくしからご説明いたします。先日、皆様がクエストでお吹っ飛ばしになられたお地蔵さまを修復しようと、里の石工が大社跡に向かわれました。しかし、石工はモンスターの遠吠えを聴いて撤退。ハンターズギルドでは現在、他のいくつかの情報も併せて遠吠えの主を雷狼竜ジンオウガと断定し、狩猟クエストを発行しています」

 

 ミノトは説明が以上である旨を目で語ると、ぺこりと頭を下げた。

「…さて、このクエストは勿論、受注条件を満たせば誰でも受けることができるが…事の発端はお前たちゲコ。優先的に受けさせてやっても良いでゲコ。さらに…これを受けるならば、今回の件は不問とするでゲコ」

「不問とは?受けなかった場合は?」

 

 ガ性ガ強太郎が問うた。

 

「お地蔵さまの修繕費用をカムラポイントとして支払ってもらうでゲコ。ひとり120000ポイント。不足がある場合、完済するまで探索ツアー以外のクエスト受注を原則的に禁じるでゲコ」

 

 ハンターズギルドがクエストを発行する条件は、モンスターによる被害が発生しているからとは限らない。モンスターの個体数、素材の需要と供給のバランス、生態調査など、挙げればキリがない複合要因を総合的に勘案し、狩猟に利益があると判断されれば、何の実害のないモンスターの狩猟が許可…ないし、推奨されることはままある。

 

 このクエストにおいても、地蔵設置の障害排除というのはもちろん建前であった。ギルドが欲しているのはジンオウガそのものである。よって、ジンオウガが去るのを待ってからあらためて地蔵の設置に向かえばよい、という解決策の提示はナンセンスだ。

 

 この手のクエストの斡旋は、百竜夜行の脅威に晒され続けるカムラの里ギルドとしては極力受けたくない厄介ごとである。だが、ハンターズギルド本部との折衝、力関係の維持のためには、避けられないコストであった。

 

 地理的に外界と断絶しているカムラの里には、狭く深く複雑な人間関係が構築されている。ハンターの不名誉な噂は、里民の士気を低下させ、防衛力に瑕疵をもたらしうる無視できないリスク因子であった。ゴコクは『やらかしてしまった』ハンター達に罰則的にクエストを押し付けているように見えて、後腐れの無い弁済の機会を与えているのである。

 

「人畜無害なジンオウガ狩りか」

「バチ当たりだな!」

 

 ガ性ガ強太郎とランマルスは既に狩る気満々である。

 

「探索ってクソ寒い海で牡蠣とか集めンだろ?やってられっかよ」

「多数決ね」

 

 エイム・Eとヘビィチャン。

 

「準備ができたら、すぐに出発するでゲコ。それから…」

 

 ゴコクはエイム・Eに風呂敷包を差し出した。

 

「これはコミツから、おまえたちに差し入れでゲコ」

 

 風呂敷包を解くと、中からはりんご飴が4本。飴の部分を包むテロテロとした質感の紙には、草原を楽しげに走り回る荷車ガーグァの絵が描かれている。そして串には、弾丸の形に折られた折り紙が結ばれていた。

 

「…おまえたちの背中のヘビィボウガンは、里民の笑顔を守る為に在るのでゲコ。ゆめゆめ、忘れるなかれ」

「ゲェエエエエエップ!!」

 

 テッカちゃんが大きく、鳴いた。

 

 

 

 

 

××××××【禍群重弩衆】××××××

 

 

 

 

 

 

 大社跡。エリア1。夕暮れ時。

 

 連れ立って歩く4人の狩人が、草地に歪な長い影を落とす。それぞれの背には、よく手入れの施されたヘビィボウガンが吊り下げられている。

 

 それらは、存在する空間に緊張をもたらすような、洗練されたフォルムのヘビィボウガンであった。その銃口は沈みゆく太陽の断末魔めいた斜光を受け、鈍く、美しく、輝いていた。

 

 妃竜砲【飛撃】…扱いは難しいが高い狙撃精度が売りの、雌火竜素材のヘビィボウガンである。持ち主のエイム・Eは狙撃竜弾や毒弾によって長距離から一方的にモンスターを弱らせる戦法を得意とするが、通常弾による中距離戦も難なくこなす。

 



 ガ性ガ強太郎の背には毒妖砲ヒルヴグーラ。散弾特化型のヘビィボウガンであり、彼の信念である頑強なシールドが取り付けられている。彼はこの盾でモンスターの攻撃を往なし、懐に潜り込んで甲殻を撃ち砕く戦法を得意とする。



 

 ランマルスは、テオ=フランマルスを溺愛している。爆発系の弾丸や機関竜弾による恐るべき攻撃性能を秘めた、炎王龍素材のヘビィボウガンである。否が応でも周囲の目を引くこの武器の存在は、禍群重弩衆の実力の証左であり、それがランマルスの誇りでもあった。

 



 さまざまなヘビィボウガンを使いこなすヘビィチャンが今回クエストに持ち込んだのは、通常弾に特化した改造を施された百竜重弩【機知縦横】だ。使い手に寄り添うとされる、変幻自在の拡張性を誇るヘビィボウガンである。見た目は愛らしい鞄。『リーサリィ・ジェリィ』に似せた特注品である。

 

 隊列の先頭を往くのはガ性ガ強太郎、後衛はエイム・Eだ。ベースキャンプから出発した4人は、まずは事の発端となった首無しガルク地蔵を拝んでから、狩りを始めることにした。ヘビィチャンの提案であった。

 

 移動は徒歩である。4人はある事件を境に、オトモをクエストに同行させるのをやめた。あの日、『ボム太郎』が見せた屈託のない笑顔が、4人の記憶から消えることは無い。4人はこの話をしたがらず、詳細を知るものはごく僅かだ。

 

 太陽はほとんど沈み、空は紺色に変わりつつあった。西の空にあかるい星がひとつ。

 

「なあ、悪かったな」

 

 エイム・Eが口を開いた。クエスト受注から今まで、4人はほとんど会話をしていない。それぞれが顔を背け、あるいは浅い眠りに落ち、あるいは愛用の重弩を磨き、ガコガコと荷車に揺られて移動する…クエストへの出発前は、4人ともいつもだいたいそんな具合だ。

 

「なに、気にするな!私にも非があった。それに、いい小遣い稼ぎだ」

「おれも牡蠣拾いは好かん」

「つまみ食いしてもいいなら、あたしは牡蠣でもいい」

「腹を壊すぞ」

「私は壊さん!」

「ランマルスは殻ごとでもいけそうね」

「アタシは駄目だ。貝類なんか見ただけで下痢しちまう…」

「アルブーロメイルを着てるのに?」

「下し続けてるのだろう」

「括約筋が鍛えられてンのさ」

 

 4人はいつもの無駄話を再開した。駄弁りながら、地蔵を目指す。緩慢な歩みであった。

 

 石造りの鳥居のあたりまで来たところで、ヘビィチャンが宙を指差し、あれ。と呟いた。青白い輝きを放つ雷光虫が1匹、北の崖上にある竹林へと、吸い込まれるように飛んでいった。その先はエリア4、ガルク地蔵のある丁字路の辺りである。

 

「居るな」

「ンン…にしては静かっつーか、気配がねぇな」

「寝てるのかな?」

「寝ながら虫を集めると思うか?」

「誰に訊いてんの?」

「要偵察だな。どっちが行く?」

 

 エイム・Eがベースキャンプから飛ばした茨木地獄Ⅱ世(フクズクの名だ)は、未だ報せをもって帰らない。ジンオウガの位置は既に掴んでいるはずだが、エリア全域のスクリーニングを終えてから帰還するように訓練してある。このまま待っていれば、いずれ相手の現在地は分かるだろう。しかし、目視によって得られる情報の質は、フクズクの持ち帰る断片的な情報の比ではない。ランマルスの言う通り、偵察の価値はあった。

 

 偵察はエイム・Eとガ性ガ強太郎のどちらかが受け持つことが多かった。もしその場で戦闘開始となり、待機メンバーと合流の必要が生じた場合、『相手を味方の待つ有利な地形に誘き寄せる』のには、軽装で長射程の重弩を持つエイム・Eに適性がある。反対に、『その場でおっ始めて味方の到着を待つ』のは、鉄壁の防御能力を誇るガ性ガ強太郎が適任だ。

 

「アタシが行く。このままサブエリアへ昇って、竹林から覗く」

 

 エイム・Eはそう言いながら妃竜砲を地面に突き立てると、慣れた手つきで狙撃竜弾を装填し、納刀し直した。北側の崖を登った先、エリア4にいると思われるジンオウガを竹林から観察…場合によっては先手を撃って狙撃し、このままエリア1に誘い出す腹づもりである。彼女は3人に異論が無いことを目で確認すると、岩壁を軽やかに昇っていった。

 

 残る3人は下で待機である。ヘビィチャンはその辺に生えていた芒を摘むと、ランマルスのインゴットヘルムに挿して遊びはじめた。ガ性ガ強太郎は壁に寄りかかって腕を組むと、沈黙思考に入った。

 

 

 

 

 

 

 

××××××【禍群重弩衆】××××××

 

 

 

 

 

 

 エイム・Eが最初に抱いた感想は『デカいな』であった。予想通りエリア4に居たジンオウガは、雷光虫由来の電撃を纏い、既に超帯電と呼ばれる戦闘形態をとっている。しかし、他の大型モンスターの気配は無く、聴こえてくるのは竹の葉が風に撫でられる音と、ジンオウガが時折発するバチバチという放電音のみであった。不可解なことに、ジンオウガは北側の岩壁のほうを向いたまま項垂れて、じっと動かない。

 

 エイム・Eは観察を続ける。気がかりであったのは、ジンオウガの視線の先にあるものであった。首から先がなくなり、断面部に石材本来の色を曝け出しているそれは、まさに先日エイム・Eが狙撃竜弾で吹っ飛ばしたガルク地蔵であった。つまり、ここが4人の当初の目的地である。

 

 エイム・Eは眼前の光景を前に、ほんの一瞬、荒唐無稽な妄想を抱いた。『頭を失った地蔵の怨念がジンオウガを喚び寄せ、自分たちに差し向けて同じ目に遭わせようとしているのではないか』と。静かに佇む雷狼竜の姿は、そう思うのは無理もないほどに、不気味だ。

 

 彼女は音ひとつ立てずに後ずさると、エリア1に戻り、崖上から顔を出して下の3人に状況を伝えた。

 

「いた。例の地蔵の真ん前…様子がヘンだ。既に超帯電に入っちまってる。だけど周りには何もいねえし、奴もジッとして動かねえ…例えて言うなら、『静かにキレてる』」

「地蔵の怨念の化身だったりしてな」

「…」

 

 エイム・Eが眉間に皺をよせて黙るのは『まじでやめろ』の意思表示である。ガ性ガ強太郎は肩をすくめた。

 

「他のモンスターの気配を感じて殺気立ってるってセンはどうだ?」

「…ナシじゃねーけど、結構デカかったからな…」

「他にも何か居るとしたら、そっちも相応の大物ってワケね。フクズク、待つ?」

「賛成…」

 

 ランマルスが言いかけたそのとき、エイム・Eの背後から物音が聞こえた。エイム・Eは反射的に岩壁を降り、後ろを振り返る。直後、その表情は驚愕に変わった。

 

 全身に電撃を漲らせたジンオウガが、竹林を真っ直ぐに突っ切りこちらに向かってきている!弾性に富む竹は絶妙にしなり、ジンオウガの移動をまるで阻害していない。ジンオウガは先程までエイム・Eのいた岩壁の上から、全身のバネを使って勢いよく跳躍した。唖然とする4人を飛び越えて、草地に着地する。

 

 百竜重弩を抜刀し、迎撃しようとするヘビィチャンの手をランマルスが抑えた。エリアの中央付近まで走り去ったジンオウガは4人には見向きもせず、西の空に向かって遠吠えを始めた。

 

((あれ?気づかれてない…?))

((エイム・Eのドジではなさそうだな))

((いまのはアタシを茶化す目だ))

((アイコンタクトでケンカしないで!))

 

 ヘビィチャンが口をへの字に結ぶ…どうやらふたつみっつ、言葉を交わす余裕はありそうだった。4人は顔を近づけ、小声で手身近な作戦会議を行う。

 

「ここでやるか」

「やっちまおう」

「プランEでどうだ」

「うん」「妥当」「応」

 

 プランEのEとは即ちエイム・EのEであり、彼女の狙撃竜弾を主砲に据えた狩猟戦術である。ガ性ガ強太郎がモンスターの至近距離で陽動を行い、ランマルスとヘビィチャンは遊撃手として中距離で戦闘。エイム・Eは指定のポイントに潜伏し、狙撃竜弾でモンスターの意識外からの必殺射撃を狙う。エイム・EのEが何かはよくわかっていない。

 

「この石鳥居、狙撃に丁度いい」

「よかろう。おれとランマルスで対角に回り込む」

「応」

 

 ランマルスが頷いた。インゴットヘルムが前に傾く。頭の突起に挿さっていた芒の穂がはらりと落ち、ヘルムのスリットに吸い込まれていった。

 

「んんッ…!?ふぇくしゅいっ!!」

 

 だめだった。ジンオウガは遠吠えをやめ、4人を見た。そして、低い唸り声を上げながら牙を見せた。空気がどろりと濁る。明らかな敵意である。

 

「おお………すまない!」

「否、ヘビィチャンが悪い」

「はい、ヘビィチャンがわるいです…ごめん…」

「やむ無し!だが、そうだな…あとで牡蠣を奢ってもらおう!」

「下痢が…」

 

 禍群重弩衆は各々の得物を抜刀した。4匹の矮小存在が己の眼光を受けて撤退する気がないのを察知すると、ジンオウガはその場でくるりと錐揉み回転を行った。遠心力で甲殻から振り解かれた雷光虫たちが球電めいた塊を作り上げ、弧を描きながら4人へと飛び来たる!

 

「惰弱!」

 

 ガ性ガ強太郎は一歩前に踏み出ながら毒妖砲ヒルヴグーラを振りかぶり、類まれなる動体視力を以てシールド面を雷光虫球に叩きつけた!

 

 ヂジッ!という嫌な音と共に雷光虫球は爆散!ガ性ガ強太郎は墜落してばたつかせる雷光虫を踏み躙った。

 

 4匹の矮小存在が己の雷光虫弾を受けて無傷なのを察知すると、ジンオウガはその場でくるりくるりと錐揉み回転を2度行った。遠心力で甲殻から振り解かれた雷光虫たちが球電めいた塊を4つも作り上げ、弧を描きながら4人へと飛び来たる!

 

「笑止!」

 

 ガ性ガ強太郎は半歩右に寄ると毒妖砲ヒルヴグーラを腰だめに構え、類まれなる弾道予測能力を以て雷光虫球をガードした!ヂジッ!ヂジッ!2連続!ガ性ガ強太郎は大地を踏み締めてびくともしない!ガ性ガ強太郎だからだ!

 

 残る3人は連続前転で散り散りに回避!目標を逸れた2発の雷光虫弾は、岩壁に当たって爆散した!

 

 ジンオウガは散開した生物たちを瞬時に見比べると、一番小さいやつを攻撃対象に選んだ。四肢に力を溜め、突進を開始する!

 

 狙われたヘビィチャンはこれをスレスレで側転回避!勢い余って標的を通り過ぎたジンオウガはしかし、太く鋭い爪を強引に地面に突き立てて急停止を敢行!地を覆う雑草が文字通りに根こそぎ剥ぎとられ、土埃が舞う!

 

 無双の狩人の双眸は、Uターンしながら獲物の位置を捉え続けていた。自身にかかる慣性を殺し切るのと、その巨体を空中…ヘビィチャンの頭上へ撥ね上げるのは、ほぼ同時であった。雷光虫ネストと化し触れるもの全てを電撃で苛む背中の甲殻を、大跳躍から直接獲物に叩きつける大技、殺人電撃フライングプレス攻撃である!

 

「見慣れてるんだよね」

 

 ヘビィチャンはジンオウガの跳躍を眺めながら呟くと、右手で百竜重弩を保持したまま、左手でレイアメイルの胸元をずらした。中からは2つの丸みを帯びた物体がぽろりと顔を出す。…然り、翔蟲である!

 

「おねがい!」

 

 ヘビィチャンはジンオウガに背を向け、左手で前方を指差した。翔蟲の1匹がブウンと飛び立ち、その腕に鉄蟲糸を巻き付けると、腹部の排出孔から爆発的なガス噴射を行って前方へと飛翔した。ヘビィチャンは引っ張られてその場を離脱!鉄蟲糸技、自在鉄蟲糸滑走である!翔蟲は鉄蟲糸でパンパンだった腹部を萎びさせると、もぞもぞとヘビィチャンの鎧の下へと収まっていった。

 

 一方のジンオウガは背中から地面に激突し、草地にクレーター状の焦げ跡を作った。大ぶりな攻撃は当たらなければ何の価値もない。それどころか致命的な隙を晒しかねないことを、かの竜は身をもって知ることになった。

 

 エイム・Eは妃竜砲の二脚銃架を展開すると、石鳥居から半身を出し、地面に伏せて狙撃竜弾発射の態勢をとった。灯蟲をくるりと回転させ、3人に狙撃の合図を送る。

 

 狙撃竜弾の中身は螺旋状に巻かれた爆薬である。着弾の慣性により螺旋がほどけてモンスターの体表に付着し、連鎖的に爆発する仕組みとなっている。狙いさえ正確ならば、牙竜種の尻尾への着弾でも頭部にまでダメージが届き、衝撃で脳震盪を引き起こすことすらも可能だ。

 

 尻尾をこちらに向け、仰向けにもがくジンオウガは、まさに狙撃竜弾の絶好の標的であった。エイム・Eは引き金を引いた!

 

 着弾!尻尾の先から頭部までの連鎖爆発にジンオウガは悲痛な叫びをあげた!頭部への強い衝撃によりうまく四肢に力を入れること叶わず!横向きに転がってバタバタと激しくもがく!

 

 「失礼する」

 

 自在鉄蟲糸滑走でガ性ガ強太郎がジンオウガの頭部に接近すると、散弾の接射を始めた。血飛沫とともに、かつて角や牙であった欠片が弾け飛んでいく。

 

 ガ性ガ強太郎を誤射しないよう、ヘビィチャンは通常弾で背中の雷光虫を潰すことに専念した。嫌な放電音が断続的に響き、帯電毛からは輝きが徐々に失われてゆく。

 

 ランマルスは後脚付近に陣取ると、テオ=フランマルスの砲口から青白い炎を噴出させた。炎はジンオウガの身を焼き、ピキピキと甲殻をひび割れさせる。しかしこれは、この後に来たる破壊のほんの下拵えにすぎない。

 

「受けてみよ!」

 

 ランマルスは高らかに叫び、腹筋に力を込めた。直後、砲口から爆炎が放たれた。ランマルスの切り札のひとつ、竜撃弾である。ジンオウガの左後脚の甲殻は痛々しく消し飛び、焼け爛れた筋組織が顔を覗かせる。

 

 狙撃を終えたエイム・Eも空の大型薬莢を放り捨て、斬裂弾で尻尾に攻撃を加え始めた。もはや、大勢は決した。

 

 

 

 …否!

 

 ジンオウガは死に物狂いで前脚を振るい、眼前に爪による攻撃を繰り出した。

 

「ヌゥッ!」

 

 ガ性ガ強太郎はシールドで受けた。ギャリリと火花を散らし、シールドが悲鳴を上げる。彼は敢えて衝撃に逆らわずに後退し、受け身を取った。ひとまず眼前の障害を取り払ったジンオウガは、無事な右後脚をバネに回転跳躍し、尻尾で周囲を薙ぎ払った!危険を察知したヘビィチャンはもう1匹の翔蟲を駆って既に距離をとっていたが、ランマルスは未だに竜撃弾の射程に陣取っている。ランマルスは上体を大きく逸らして強引に回避行動を取り、そのまま後方に倒れ込んだ。その鼻先3寸を尻尾が掠めていく。

 

 体勢を立て直したジンオウガは、もはや獲物を吟味することはしなかった。血まみれの視界に最初に映った生物に飛びかかって、殺す。竜の生存本能は、ズタズタの身体を強引に動かした。破壊された左後脚の筋肉がパンプアップし、血飛沫が吹き出す。

 

 狙われたのは、最も遠い距離にいたエイム・Eである。ジンオウガは驚くべき跳躍力で彼女まで一気に距離を詰めると、右手に雷撃の力を込めて叩きつけた!

 

「速ェ…!」

 

 側転で交わすエイム・E!しかし間髪入れずに左手が襲う!

 

「んああッッッ!!!」

「「「エイム・E!!!」」」

 

 エイム・Eは絶叫とともに後方に吹き飛び、石鳥居に背中から叩きつけられた!ジンオウガはトドメの右手を振り上げる!漲る雷光で周囲は一瞬、真昼の如く照らされた。

 

 右手が振り下ろされることはなかった。睡眠弾の射撃を終えたヘビィチャンが銃口を下ろす。ジンオウガは昏倒し、その場に身を横たえた。

 

 3人はエイム・Eに駆け寄った。彼女は力なく斃れ、起き上がらない。

 

「アタシ…やられちまったのか…」

「エイム・E…そんな…!」

「ヘビィチャン、強太郎、ランマルス…アタシ……」

 エイム・Eの目に涙が滲む。

 

「見たくねェけど、アタシの腹から下、どうなっちまったか、わかる…」

「喋るな」

 

 ガ性ガ強太郎はエイム・Eを抱き抱えると、ポーチから回復薬グレートを取り出して蓋を開け、自らの口に含んだ。

 

「そんなの、効くのか?…苦しまずにすむってやつか?おやすみのチューかよ?」

 

 涙はとめどなく溢れ、視界がぼやけはじめた。

 

「……なあ……雑にやんなよ」

 

 エイム・Eは掠れた声で呟き、ガ性ガ強太郎から目を逸らした。紫色の艶かしい唇が半開きになり、ふっふっと吐息が漏れた。ガ性ガ強太郎は回復薬グレートをごくごくと飲み干した。エイム・Eは3度瞬きした。

 

「実にうまいな。回復薬と回復薬グレートの違いを知っているか?回復薬グレートの方が味がいい。薬効とかでは無いんだ。味が良いものを飲んで、心が元気になる。その作用が体にも活力を与えるんだ。わかるか?気のせいというわけだ。お前、自分の体を見ろ。お前は奴の攻撃に当たってなどいない。気のせいだ!ほら、立て!」

 

 ガ性ガ強太郎はエイム・Eを突き飛ばした!

 

「あうッ…!」

 

 エイム・Eはふらつきながら立ち上がる!そのアルブーロメイルには傷ひとつ無し!足元を見ると、そこにはなんと、ガルク地蔵の生首が転がっていた!爆散を免れたひとつが、こんなところにまで吹っ飛んできていたのであろう!彼女はジンオウガの攻撃を躱した後に、これにつまづいて派手に転倒したのだ!発散された電撃への感電により、多少の感覚麻痺はあったが…被弾は気のせいであった! 

 

「なんと、これは…祟りは本物であったか!」

 

 ランマルスが地蔵生首を拾い上げながら呵呵と笑う。

 

「アッ…アアアアアア!?畜生、お前ッ!弄びやがったな!?」

「いったい何をだ?主語が無いようだが」

 

 ガ性ガ強太郎はジンオウガの直下にシビレ罠を設置しながら答えた。

 

「クソがーッ!バカ!バカ!バカ!死ねッ!!!!」

 

 怒れる乙女は妃竜砲を抜刀した。大社跡エリア1に、2発の銃声が響き渡る。…喉元に捕獲用麻酔弾を受けたジンオウガはキュウと鳴き、そのまま動かなくなった。

 

「ねー!見て見て!コレ碧玉かも!?」

 

 既に落とし物拾いに興じていたヘビィチャンが、遠くで手を振った。

 

 

 

 

 

 

××××××【禍群重弩衆】××××××

 

 

 

 

 

 

 カムラの里。集会所。湖畔に面したテラス席。テーブルの上には、巨大な牡蠣の殻が山積みとなっている。

 

 長椅子に仰向けに寝そべる女が1人。

 

「ああ、美味かったけど…さすがに食い過ぎたかな」

 

 エイム・Eがポッコリと膨れた腹をさする。ジンオウガの狩猟から半月ほど経った頃。ヘビィチャンは約束通り自費でグンカンガキを買い付け、皆に振る舞う機会を設けた。彼女も一端の上位ハンターである。これしきの出費はさほど痛くもない。

 

 下痢に怯えていたエイム・Eであったが、ジュワジュワと音を立てて運ばれてきたオテマエ謹製の焼き牡蠣を前にした時、食という欲の扉を開かずにはいられなかった。「しっかりと火を通せば大丈夫と伺っています」というミノトの助言を受け、安心しきった彼女は調子に乗り、あの巨大牡蠣を4個も食べた。

 

「ゴコク殿の話によると、捕獲されたジンオウガについては面白いことがわかったようだ」

「ふうん?」

 

 ガ性ガ強太郎が切り出すと、隣に座るヘビィチャンが食いついた。

 

 ランマルスは欄干を越えた先、桜の木に背を預けてスヤスヤと寝息を立てている。お気に入りの昼寝ポイントなのだ。

 

「エイム・Eは、あのジンオウガは壊れたガルク地蔵をじっと見つめてたと言っていたな?そこで試しにジンオウガの飼育ケージにガルク地蔵を入れてみたら、ベロベロ舐め回したり、自分の餌を地蔵の前に置いてみたり…明らかな関心を示したそうだ」

「え、オイオイ…あいつ、マジで地蔵爆発にキレてたってコト?」

 

 エイム・Eが身を起こし、会話に加わった。

 

「可能性はあるとのことだ。モンスターが偶像に関心を持つことについて、その道の研究者が大興奮しているらしい」

 

 しばしの沈黙。禍群重弩衆は、ヘビィボウガンをこよなく愛する4人が集まって結成されたハンターコネクトである。モノへの執着や、それを奪われたことへの悲哀という点では、何かしらの共感があった。

 

「ちょっと食い過ぎた…つーか、吐きそう」

 

 エイム・Eが急に立ち上がった。

 

 「おい、吐くなら雪隠へ行け。水路にぶちまけるなよ?牡蠣の毒は水を汚染するからな」

 

 ガ性ガ強太郎が釘を刺す。集会所の床下には湖から引いた水が流れ込んでおり、里民の生活用水にもなっている。ここに汚染物質が流れ込むことは、カムラの里の壊滅を意味していた。

 

「う、うぷ…」

「エイム・E耐えて!」

 

 ヘビィチャンが叫ぶ。エイム・Eは口元を抑えながら駆け出した。クエスト出発口の暖簾の向こうに雪隠はある!急げ!エイム・E!!

 

 エイム・Eは全てを悟っていた。もう何もかもがおしまいであることを。牡蠣にはどれもしっかり火が通っていた。だが、もしも、万が一、牡蠣にあたっていたのだとしたら…?床だけは…その下を流れる水路だけは避けなければならない…!カムラの里を守るツワモノとしての矜持が、彼女の身体を突き動かした。

 

「お゛っっおおおえええええええ!!!!!」

 

 彼女は暖簾の直前で華麗なクイックターンをきめると、共用のアイテムボックスに顔を突っ込み、全てを解き放った。

 

 集会所は静まり返った。人も、アイルーも、竜人も。その場にいた全員が、エイム・Eを見た。ガ性ガ強太郎とヘビィチャンは無言で顔を覆う。

 

「ニ゛ャアアアーッ!?!?!?」

 

 ギルドストアのマイドが絶叫した。アイテムボックスは平時は空であり、ハンターの申請に応じてアイルー達がアイテムを運び入れる仕組みだ。集会所のボックスを取り仕切っているのはマイドであった。

 

「な、な、!?なんてことをするニャーッ!!ヒドイニャ!!クサイにゃ!!あんまりだニャーッ!!」

 

 すとんと尻餅をつき、シクシクと泣き始めるマイド。ミノトは顔を青ざめさせ、口元を覆って無言で退出していった。

 

 漂う異臭と突然の大騒ぎに驚いたテッカちゃんは、ゴコクを振り落とすとべたべたと這って集会所を抜け出してしまった。慌てて追いかけるはウツシ教官だ。

 

「あ、待って!うわァーッ!?」

 

 外からウツシの悲鳴が聞こえる。

 

「嗚呼、なんということでゲコ…」

 

 テッカちゃんから転げ落ち、尻餅をついていたゴコクは起き上がり、エイム・Eまで歩み寄ると、えずく彼女の背中をさすった。

 

「もう、調子に乗って食べすぎるからでゲコ!ヘビィチャン、ゼンチに言って胃薬もらってくるでゲコ。ガ性ガ強太郎は、外のウツシを助けてくるでゲコよ。多分、テッカちゃんのヨダレにまみれておる。エイム・E、おまえは…」

 

 ゴコクはため息をついた。

 

「ちゃんとお掃除をして、あとでマイドに謝るでゲコよ…」

「はい…」

 

 エイム・Eは力なく答えた。

 

 

 

××××××【禍群重弩衆】××××××


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