燦然と輝く勝利の加護 作:光車
超短め。
あと別に更新再開したわけじゃないです()
12月21日、ラジオたんぱ杯ジュニアステークス。
二度目の重賞である僕だけど、やっぱり緊張する。
少しだけ手が震えるくらい。
『ドラドが負けるとは思えないけど、一応言っておくわ。勝ってきなさい』
ユニちゃんの応援に応えるためにも、僕は絶対に勝たなければならない。
そう考えると、少しだけ震えが落ち着いた。
『5枠9番、エルドラド。1番人気です』
『前走では有力ウマ娘のブルーイレヴンを相手に7バ身差で圧勝しています。今日のレースも期待ができますね』
ターフに立つとやはり落ち着く。
そして少しずつ、調子が戻ってくるような気がするのだ。
ゲートに入ると同時に体がぽかぽかと暖かくなってくる。
ついには熱を持ち、けれど頭だけは妙に冴える。
『18番トムミラクル、ゲートに入りました』
『ラジオたんぱ杯ジュニアステークス、スタートします』
今日は1番人気。
3戦目にして初めての1番人気だけど、それを知った時は想像以上にプレッシャーがかかった。
けれどさすがは
すでに緊張などどこかに消えていた。
『スタートしました』
ガコン、とゲートが開いた。
ダッシュをつけようとして、けれど前方に一瞬で壁ができた。
仕方がないからその位置にとどまったけれど、とてつもなくスローペース。
僕のことを警戒したのか、それともたまたまか。
とくかく、走りにくいと思うほどにスローペースだった。
ゆっくり、ゆっくりと進行していくレース。
周りのウマ娘たちも走りにくそうだけど、それでも我慢して走ってる。
その姿を見て、少しだけ。
ほんの少しだけ、苛立ちが生まれた。
だけど関係ない。
この遅々としたレースも終わるのだ。
だってこうやって考えているうちに、第3コーナーに差し掛かっているのだから。
『第3コーナーを抜けてようやく第4コーナーに差し掛かります』
『1番人気エルドラド、これまでの勝ちパターンが炸裂するでしょうか』
さぁ、このフラストレーションの溜まるレースをぶち壊しに行こうか。
全身が何か暖かいものに包まれる感覚と同時に、ギアを1つと言わず2つほど上げる。
急に加速した僕にギョッとするウマ娘もいるけれど、これで驚くというのならそれは情報収集が足りてないんじゃないかな?
ウマ娘達を避けるため大外に移動し、そこから全部ぶち抜いて先頭に。
この程度の作戦で勝てると思ったら大間違い、安い常識で僕を測るんじゃない。
そこからは、コスモス賞と同じだった。
僕が前に出たのを許さないと言わんばかりに加速するウマ娘達。
けれど、僕の方が更に加速する。
そして当然後ろより前の方が良い足を使っていたら抜けるはずもなく。
『エルドラド、いつも通りの危なげないレース内容で他ウマ娘を完封です!やはりこのウマ娘は何かが違う!』
『やはり実力はジュニア級の中でも飛び抜けていますね。来年のレースが楽しみです』
当たり前のように1着。
6バ身差の圧勝だった。
〜-〜-〜-〜
「良いレースだったぞ、エルドラド」
「ん、ありがと」
僅かに苛立ちもあるが、それはトレーナーに向けるものでもない。
そもそもこういう展開も普通にあるだろうし。
こんなことで苛立っていたら先が思いやられるな、なんて少し冗談気味に思う。
けど実際それはあり得ることで。
僕というウマ娘を低速バ場という対策で対抗する場合、またこんなことになってもおかしくはないし。
なんなら包囲網で勝利を止めにくる可能性もあるのだから。
「……ねぇ、トレーナー。ストレス耐性ってつけられると思う?」
「ん? どうした急に」
「……ちょっとね」
まぁ、それならそれでレース中だけ我慢すればいいか、なんて思ったりもする。
思うように走れない時もきっとこの後あるだろうし、それならばレース中は我慢して終わってからストレスを発散すれば良い。
自分の中で、とりあえず納得しておいた。