リサに歌えない事を告げた次の日学校の屋上で友希那に謝罪する
「昨日はごめん!俺の中でまだ切り替えられてないっていうか、触れてほしくない事だったんだ、だから声を荒らげてほっといてくれって言ったんだ」
俺の言葉に友希那はため息をついてから話し出す
「最初からそう言ってくれたら良かったのよ、まだ折り合いがつけられていないことだから触れないでくれって」
「その通りだと思うよ、本当にごめん!」
「もう、良いわよ、でも、これだけは聞かせなさい、これからどうするの?」
「音楽は続けるよ、一応もう一度ギターは弾いていくつもりでいる」
「歌の方はどうなの?」
「そっちはまだ、歌えないんだ、俺」
「詳しく聞いてもいいかしら?」
「俺にも詳しい事は分からない、でも、なんでか歌えないんだ、多分まだ自分の中で折り合いをつけきれてないからだと思うんだけど…そこもはっきりしなくて」
「そう、わかったわ、なら、尚のこと一緒に音楽をやってみる気は無いかしら?」
「今のままじゃちょっと…」
「なら、決意というのかしら?まぁ、とにかく意思が決まったら教えてちょうだい、待っているわ」
「ありがとう」
俺がお礼を言うと友希那は満足そうな表情で戻って行った
「歌よりもまずは演奏だよな、どうにかしないといけないことは」
そう呟いてから俺も教室に戻ると同時にチャイムが鳴り先生が教室に入ってきてホームルーム始まる
先生は今日1日の予定を告げて授業の準備があるとかですぐに教室を出ていった
「ホームルームってもっとなんか長いイメージがあるんだけど、こんなものなのかな?」
「基本はそうだね、今日1日の流れというかを伝えて終わりだよ朝はこんな感じ」
「そうなんだ」
隣の席の子とそんな会話をしながら俺は授業の準備をしてから教室を出て廊下の端まで行き窓を開け風に当たる
「風が気持ちいいな」
「まだ寒くない?」
「え!?」
俺は独り言のつもりだったが呟きを拾われ驚き声の方向に顔を向けると人懐っこい笑みを浮かべた女の子が横にいた
「えっと、誰?」
「あたし?あたしは氷川日菜だよぉ」
「氷川日菜さん?」
「日菜でいいよ〜そっちはなんて言う名前?」
「俺は神永優也だよ漢字はこうだよ」
そう言って俺はメモ帳に自分の名前を書き出して見せる
と日菜は顔を寄せて俺の書いた名前を見る
「優也君か、じゃあ!優くんだね!」
「優くんって…まぁ良いか!じゃあよろしくね日菜」
「よろしくね〜優くん」
そう言って握手を交わすと日菜は俺の手をペタペタと触る
「くすぐったいんだけど」
「優くんもしかしてギターやってる?」
「え?まぁ、一応ね正確にはもう一度始めたって言うのが正しいんだけどね」
「そうなの?」
「うん、ちょっと事情があってしばらく音楽から離れてたんだ」
「そっか〜じゃあ今は再スタート中なんだね」
「そういう事」
なんて話しているうちにチャイムが鳴ったので俺は教室に戻る
ために日菜に声をかける
「チャイム鳴ったし戻るね」
「うん、また後でね〜」
そう言ってスキップしながら日菜は教室に戻っていく
「また後でって…まぁ良いか!」
そう言って教室に戻りながらさっきの会話を思い出す
「優くんか…」
俺を優と呼んだのなんてあいつ以来だなとユウのことを思い出す。
「なんでかな、あの子に優って呼ばれる事は不思議と嫌な気分にならなかったな」
そんな事を呟きながら教室に戻っていく
教室に戻り授業を受けそれからしばらくしてお昼休みを迎えたので俺はそそくさと屋上に向かい昼食をとりその後音楽を聴きながらぼーっとしていると屋上の扉が開く音が聞こえた
俺はまたリサが呼びに来たかと思っていたら屋上に来たのは日菜だった
「優くん見っけ!」
「どうしたの?」
「どうしたの?じゃないよ!優くんとお話しようと思って優くんのクラスに行ったら優くんいないんだもん!」
「屋上以外と人来ないから、1人でぼーっとするのにちょうど良いんだよね」
「ふ〜んそうなんだ、でもさ〜それって寂しくない?」
「寂しくはないよ!一人の時間が好きなんだ、誰とも関わらなくて済むしね」
「なんで?」
「失いたくないからかな?」
「どういう事?」
「う〜ん1人でいたい時ってあるじゃん?俺、お昼とかは1人でゆっくりしてたいんだ」
「でも、あたしと話してるじゃん」
「そうなんだけどね」
そう言って俺は苦笑すると日菜もつられるように笑った後
少しシュンとした表情で話し出す
「あたしね、1人はあんまり好きじゃないんだ」
「何となくそうじゃないかとは思った」
「わかるよね!あたしはるんってする事が好きだしさ、それに皆でいるのも好きなんだ」
「それだけじゃあないって顔だね」
「うん、あたしね、お姉ちゃんがいるの、でも、そのお姉ちゃんと最近上手く話せないんだ」
「喧嘩…って訳じゃなさそうだね」
俺はなんとなくだがそう感じた、多分反りが合わないとかそういうのともちょっと違うだろう、多分向き合い方が分からないとかそういう事だろうなと思った
「俺はさ、上にも下にも兄弟、姉妹はいないけどさ、家族の絆って大切にするものだとは思うよ」
「優くんなら、人と上手く話せない時どうするの?」
「俺はその人が自分にとって大切な人なら、たとえ喧嘩になってもぶつかっていくな、そうしないと伝わらないこともあるしさ」
「あたしは人の気持ちってよく分からないんだ」
「じゃあさ、分からないなりに考えてみなよ」
「どういう事?」
「日菜はお姉さんとどうなりたいの?」
「また一緒に笑ったり泣いたり昔みたいに仲良しの姉妹に戻りたい」
「答え出てるじゃん!なら、どんなに拒絶されてもぶつかるしかないんじゃない?」
「できるかな?」
「できるできないじゃなくてやらないと!じゃないとなんにも変わらないよ!日菜は会ってすぐだけど俺なら何か答えをくれるって思ったから話したんだよね?」
俺の言葉に日菜は小さく頷いた、俺はそれを見て立ち上がって言った
「何回拒絶されてもさ本気で自分なりに自分の思いをぶつけ続ければきっとお姉さんも答えてくれるよ、たとえそれがどんなに酷い言葉だったとしてもね」
俺の言葉に日菜は1度は暗い表情になったがすぐに笑って言った
「そうだよね!あたし頑張ってみるよ!応援しててね!」
「あぁ、いい報告が聞けることを祈ってるよ」
「うん!」
「じゃあ、戻るか!」
「そうだね」
そうして俺達はそれぞれの教室に戻って行った
教室に戻るとリサが声をかけてきた
「今日も1人でお昼済ませたの?」
「昼食は1人でゆっくりとりたいから」
「たまには賑やかなのも悪くないじゃん!」
「たまにならね」
「ほんと、呆れるよアタシみたいな美少女がせっかくお昼に誘ってあげてるのに、今なら友希那っていうクールな美少女も着いてくるのに」
俺はその言葉を聞いてちょいちょいと手招きしてリサの額にデコピンをかます
「いったーい!なにすんの優也!」
「自分で美少女言うな!それにお前はどっちかって言うと美人だろうが!それに友希那は付属品でもなんでもないぞ!」
「喜んでいいのやら怒ったらいいのやら…」
「普通にしてなよ!」
などと話していると友希那が俺の席にやってきて話し出す
「じゃれている所申し訳ないけれど、そろそろチャイムが鳴るわよ」
言われて時計を見るとチャイムが鳴る3分前だった
「本当だ!じゃあまた後でね2人とも」
「あ〜はいはい」
「また後で」
そう言ってリサは自分の席に戻って行く
「優也、今日はどうするの?」
「放課後?すぐ帰るけど?」
「なら個人練習に付き合ってくれないかしら?」
俺はどうしようか考える、演奏だってまだはっきり言って雑音にしか聞こえないレベルであり何より歌えないのにどうしようかと思ったがとりあえずそのままを伝えて判断を仰ぐことにした
「演奏も全然だし、歌えないよ?それでもいいなら付き合うけど…どうする」
「構わないわ、現状を教えて欲しいのよ、ちょっとした事なら力になれるかもしれないじゃない」
「わかった、良いよ、その代わりさ場所は俺の家にしてもらえない?」
「どうしてかしら?」
「言ってなかったけど、練習部屋として地下室と屋根裏があるんだよ、屋根裏は天井低いけどね」
「そういう事なら了解よ、放課後お願いするわ」
「わかった」
俺の返答を聞いて友希那は頷いて自分の席に戻って行った
それから5、6限と授業を受けた後放課後を向かえた
「さてと、帰るか」
荷物を持って立ち上がると友希那がやってきた
「優也、帰るわよ」
「練習付き合うって約束だもんな!行こう」
「珍しいね今日は2人で帰るの?」
「練習に付き合って欲しいんだってさ」
「そうなんだ、アタシはこれからバイトなんだ!またね2人とも」
「またな」
「えぇ、また」
そう言って俺達は学校を後にして俺の自宅に向かった
そして自宅に着くと鍵を開けて家に入り友希那を招き入れる
「どうぞ」
「お邪魔するわ」
「階段上がっていけば屋根裏に続く梯子あるから行って待ってて、着替えてギター持って行くよ」
「わかったわ」
俺は一度部屋に行きブレザー等の上着を脱いでラフな格好に着替えた後ギターを持って屋根裏に行く
「お待たせ」
「そんなに待ってないから気にしなくていいわ、それよりもマイクとかもだけれど一通りの機材は揃ってるのね」
「まぁね、全部父さんが俺のために揃えてくれたんだ」
「そうなの、とりあえず練習したいところだけれど、優也は私達の曲知らないわよね?」
「1曲だけ知ってるよ」
「どの曲かしら?」
「確かLOUDERだっけ?あれだけは知ってるよ」
「じゃあ、他の曲も聞いて練習に付き合ってくれないかしら?」
「わかった、とりあえずLOUDERだけ先にやる?」
「お願いするわ」
「OK、じゃあ準備するから待ってて」
そう言って俺はギターを手に取りチューニングしてからOKのサインを出す
「じゃあ、LOUDERをやるわ」
そう言って友希那が歌い出すのに合わせギターを弾いていく
俺は友希那の声を聞きながら演奏していきとりあえずはミスなく演奏を終える
「それなりに出来るじゃない」
「全然ダメだよ!ミスなく演奏は出来たけど、まだ昔のようにはいかないよ」
「優也の昔の演奏はそんなに凄かったのかしら」
「なんなら聞いてみる?昔録音したヤツあると思うし」
「是非お願いするわ、その間に他の曲も覚えてくれるかしら?出来れば2曲は覚えて欲しいのだけど」
「まぁ、拙くてもいいなら、最低限は弾けるようにするよ」
「とりあえずそれで良いわ」
「じゃあ、ちょっと待ってて」
俺は一度屋根裏を後にし一度部屋に行き引き出しを開けて1枚のCDを手に取り写真の向こうにいるユウに話しかける
「俺達の歌、聞いてもらうな」
そう言って俺は屋根裏に戻った
「持ってきたよ!はいこれ!」
「借りるわね、ヘッドホンするから何かあったら肩を叩いてちょうだい、後、これに私たちの曲が入っているわ」
そう言ってウォークマンを俺に渡してくる
「借りるね、ちなみにさ覚えておいた方がいい曲はある?」
「そうね、とりあえずFIREBIRDとBLACKshoutかしら?とりあえずその2曲を覚えてくれたらいいわ」
「OK!俺もちょっと練習するね」
そうして俺はまず友希那達の曲を聞いていく
曲そのものは今まで聞いた事がないくらいのクオリティだ
演奏もおそらくプロと遜色はないだろうと思うだけど、それだけだ、それ以上もそれ以下も感じない
俺はギターを手に取り演奏していく、自分なりにこうだと思うように演奏をしていく
友希那視点
ヘッドホンをつけてプレイヤーに入れたCDを再生する
「何よこれ!これが優也の曲なの!?初めて聞いたけれど、言葉が出ないわね」
これは多分優也ともう1人が歌うためだけの曲ね
そう思い1曲目を聞き終えたタイミングで少し離れたところにいる優也の肩を叩き声をかける
「優也、ちょっといいかしら?」
優也はヘッドホンを外してから答える
「どうかした?」
「この曲はあなたが書いたのよね?」
「そうだけど、それがどうかした?」
「あなたはもう一度歌を取り戻すべきよ!」
「いや、まぁ、そのつもりではいるけど、いきなり何?」
「この曲はあなたともう1人が歌う為の曲よね?もう一度ソロで歌っていけばいいじゃない!」
「そうは言っても、正直曲も書けないからね今の俺は」
「どうしてよ?」
「多分、全てを一度に失ったからかな?」
「よく分からないわ!とにかく早く声をそして歌を取り戻しなさい!」
「やれることはやるさ」
「信じているわよ!」
「あぁ、きっと取り戻すさ」
「優也、他の曲もあるのよね?」
「そのCDに5曲は入ってるよ」
「借りてもいいかしら?」
「いいよ、まだ他にもあるし、1枚くらいなら」
「これは借りておくわね」
「はいよ」
「私はまだ後2.3曲聞かせてもらうわね」
「俺もまだもう少し1人で練習しておくよ」
そうして頷き合い私は曲を聞くことに集中し始める
それから数分後練習を再開しLOUDER、BLACKshout、FIREBIRDの順番で演奏する
「優也、こんのものじゃないわね!」
「もちろん!まだ付き合うよ」
「ならもうしばらく付き合って貰うわね」
そうして俺達は1時間程休まずに曲を繰り返し練習した
「今日はこれくらいにしておくわ」
「1時間以上弾いたのは久しぶりだよ!」
「普段はどうしているの?」
「普段は30分くらいで休憩入れてるんだよ」
「そうだったの、ところで優也はいつから歌えなくなったの?」
「気付いたのはつい最近だよ!だってずっと音楽から離れてたんだよ!それに、あいつがいなくなってからどこに向かえばいいのかわからなくなったから離れてたんだ」
「あなたの言う''アイツ''の存在はあなたにとってそれほど大切な存在なのよね?」
「あぁ、まぁね」
「そう、とりあえず、これ以上は聞かないでおくわ」
「ごめん、それとありがとう」
「あまり触れてほしくないのでしょ?」
「あぁ、まだ折り合いつけて話す事は難しいんだ」
「なら、良いわ、今日はこれくらいにしましょ!これは借りてくわね」
「うん、とりあえず、玄関まで見送るよ」
そう言って俺は友希那を玄関まで見送ってから部屋に戻り写真の存在に話しかける
「ユウ、俺、歌えなくなっちまったよ、どこに向かったらいいんだろうな…」
そう呟いてからまた部屋を後にして気分転換に外に出ることにした
しばらく歩いていると公園が見えてきたので寄ることにした
近所の公園よりも少し広めで小さいが運動場のようなスペースもあった、俺は人がいない事を確認すると声を出すがやはりかすれて思うように声が出ない、俺はなんとも言えない気持ちになり思わず叫ぶ
「うあぁぁぁぁぁー!」
そうして叫んだ後俯いて呟く
「情けねーな俺」
そう言って俺はその場を後にしようとした時後ろから声がかかる
「あの、すみません」
声の方を振り返ると日菜と同じ髪色のクールな印象を受ける女の子がたっていた
「日菜…じゃないよね?」
「違います。私は氷川日菜の姉で氷川紗夜と申します」
「君が日菜が言っていたお姉さんか!それで、俺に用事?
もしかしてさっき叫んだの聞こえた?」
「えぇ、それで、いくら人がいないとはいえ住宅が近いのであまり大声で叫ぶのはどうかと思い注意しようかと思いまして声を掛けさせてもらいました」
「そうだったんだ、なんか、ごめんね、自分でもなんて言っていいかわからない気持ちになって思わず叫んじゃったんだ」
「そういうのはご自宅でやってください!近所迷惑を考えてください」
「だよね、本当にごめん以後気をつけるよ」
「まぁ、そうしてください、それで、何をされていたんですか?」
「ちょっと考え事、氷川さんは?」
「紗夜で構いませんよ、日菜を知っているのであれば名字で呼ばれるのは紛らわしいので」
「じゃあ、紗夜さんで、紗夜さんはどうしてここに?」
「家がこの近くでして、日菜との事で私も少し考え事をと思いまして」
「会っていきなりだけど、事情を聞いてもいいかな?日菜にもお姉さんの紗夜さんの事を相談されたんだ」
「そうでしたか、なら私の話も聞いていただけますか?」
「俺で良ければ」
それから俺は紗夜さんからも事情を聞いた
紗夜さんにとっての日菜はコンプレックスの対象らしい
紗夜さんが努力して出来るようになった事を日菜はコツを掴んですぐにできるようになってしまうようでそれが紗夜さんにとってはそれがとても辛い事でどうしても日菜に辛く当たってしまうようだ
「なるほどね〜多分日菜は何事もコツを掴むのが早いんだな、天才肌な日菜に対して努力家な姉って感じなんだ」
「その通りですね、私は何事も努力が肝心だと思いますけど日菜はそれを軽々と超えていきます。なので私はどうしてもやるせないと言うのでしょうか?なんとも言えないというか私も憤りを感じてしまっていまして」
「そうじゃないかとは思った」
「わかるんですか?」
「いや、俺にはわからないよ!劣等感とかそういうのはね
俺にはわからないよだってそういうのは俺とは無縁だったからね、まぁ、考えないようにしてただけかもだけど」
「私はどうしたらいいのでしょう?」
「さぁね、それは俺が出していい答えじゃないからね
でも、俺から言えるのはちゃんと向き合ってあげてって事だけ」
「向き合うですか?」
「そう、親を除けば紗夜さんにとって日菜は大切な家族でしょ?」
「そう…ですね、確かに両親を除けば大切な家族です、だからこそどう向き合えばいいのかわかりません」
俺はその言葉を聞いて日菜が言っていた事を思い出し紗夜さんに伝える
「日菜がさ、言ってたんだ、お姉ちゃんとまた昔みたいに一緒に笑ったり泣いたりしたいって」
「でも、すぐには無理です!それに今更昔のようになんて…」
「じゃあ、再スタートしたら?」
「再…スタート?」
「そう、もう一度ゼロから1つずつやっていくの」
「具体的には?」
「そうだな〜無難に挨拶から?おはようとおやすみ、ただいまとおかえりを日菜にちゃんと言ってあげたらいいんじゃないかな?」
「そんな事で良いんですか?」
「再スタートを切るなら十分じゃない?」
「それでいいんでしょうか?」
「いいんじゃないの?多分今は糸がグチャグチャに絡まってるんだから1つずつ解きほぐすみたいに再スタートすればいいんじゃないの?」
俺の言葉に紗夜さんは何かを考えているようだった
少ししてから紗夜さんは肩の力を抜いて話し出す
「神永さんの言う通り挨拶から始めて見ることにします」
「いいんじゃない?紗夜さんがそれでいいなら」
「そうですね、でも、不思議ですねあなたの言葉は1つ1つが胸に刺さりますどうしてなのでしょうね」
「それは多分俺が大切な絆をそして繋がりを失ってしまったからかな?」
「どういう事ですか?」
「あぁ〜詳しくは言えないんだけど、俺にとって大切だったものを一度に失っちゃったんだ、だからこそ俺が手を伸ばして届く範囲では絆や繋がりを失うのを見たくないんだ、だからじゃないかな?」
「そうですか、だからなんですねあなたの言葉が刺さるのは」
「そうなのかな?そうだと良いな」
「少なくとも、私はそう感じました。ありがとうございます神永さん」
「あのさ、せめて神永君って呼んでくれない?優也君とかでもいいけど、さすがに日菜みたいに優くんって呼ぶのは勘弁して欲しいけどね」
俺がそう言うと紗夜さんはくすくすと笑って言った
「では、とりあえずは神永君と呼ばせてもらいますね、もう少し仲良くなれたら優也君とお呼びします」
「俺もとりあえずは紗夜さんで打ち解けたなって思えたら紗夜って呼ぶ事にするよ」
「わかりました、なんだか、胸のつかえが取れた気がします。本当にありがとうございます神永君、私は今日のところはこれで失礼しますね」
「うん、またね、紗夜さん」
「はい、また」
そうして紗夜さんは帰って行った
「また小さな繋がりができちゃったな…」
そう言って俺も帰路に着いた
紗夜視点
神永君と話した後帰路につき私は家の前に着く、そして一度深呼吸してから家に入る
「ただいま」
「お姉ちゃんおかえり!」
「えぇ、ただいま」
私が挨拶を返したのが不思議だったのか日菜がキョトンとした表情を見せる
「そんな顔してどうしたのよ」
「な〜んか、お姉ちゃんがお姉ちゃんじゃないみたい!今まであたしがおかえりって言っても頷くか、えぇってだけ言ってすぐに部屋に戻ってたじゃん!」
「挨拶くらい返すわよ、私も色々考えてはいたのだけどあなたとどう向き合えばいいのかわからないのよ、だからまずは挨拶からまた始めてみようと思ったのよ」
「そうなんだ、でも、嬉しいな、お姉ちゃんにちょっとは歩み寄れたかな?」
「どうかしら?私も分からないわ」
「最初の1歩だよ!」
日菜がそう言ったので私はさっきの神永君との会話を思い出して思わず笑ってしまう
「なんで笑うの?」
「いえ、別に深い意味はないのよ、あなたがとある人と同じ事を言うから、可笑しくて」
「誰の事?」
「あなたも知っている人よ、神永君の事よ」
「優くん?お姉ちゃん優くんとあったの?」
「えぇ、本当にたまたまね、でも、あの人はどこか悲しそうだった」
「優くんね、なんか大切なものを失くしたんだって、だからじゃないかな?」
「きっとそうなのでしょうね、彼自身がちゃんと自分自身と向き合える時が来るのかしら?」
「優くん自分の事ってほとんど話さないからね、りさちーか友希那ちゃんなら同じクラスだし、優くんの事何か知ってるかもだし、聞いてみたら?」
「そうね、それだけじゃなく彼の印象も聞いてみることにするわ」
そう言って彼が言っていた言葉を思い出す
「再スタートね」
「何か言った?」
「なんでもないわ、リビングに行きましょう」
「うん」
それから私達は2人であれこれ話し合った今までの時間を取り戻すように、これが再スタートの最初の1歩だと思いながら…
1人と仲間の絆の3話目になります。
会話が多めでストーリーが進んでいきました。
一応主人公は全ガールズバンドのメンバーとは出会う予定ですのでその辺はお楽しみに。
次回「姉妹と仲間の絆」
ifルートの執筆も考えています。どっちがいいですか?
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すぐにお願いします。読んでみたいです
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読んでみたいけど、後々お願いします