セキエイリーグチャンピオン(合法ロリ転生者)の憂鬱   作:大小判

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原作キャラから見たチャンピオン・タチバナのお話は今後も投稿しようと思います。読者の皆様が気になる原作キャラとの絡み、出てきてほしい好きなポケモンがあれば、是非とも活動報告に設置したアンケートに答えていただければ幸いです


傍から見たロリチャンピオン(シロナ編・前編)

『さぁ始まってまいりました! 本日はここ、イッシュ地方のホドモエシティで開催された一大バトル大会、チャンピオンズトーナメント! 世界各地から最強の称号、リーグチャンピオンが結集し、遂にその雌雄を決しようというのです!』

 

 イッシュ地方、ホドモエシティの南に建設されたバトル施設。そこには世界中から観客やトレーナーたちが隙間も出来ないほどに集まり、これから始まる戦いの一部始終を見ようと熱気を放っていた。

 おそらく人類史でも五本の指に入るほどの盛り上がりを見せるこの大会の名は、チャンピオンズトーナメント。世界中のファンが長年に渡って熱望してきた要望に応え、世界各地のポケモンリーグの頂点に立つ最強トレーナーたちが集まり、真の意味での最強を決めようという、ポケモン協会企画の一大決戦である。

 

 ある者はチャンピオンたちの戦いを己の糧にしようとし、またある者は純粋なファンとして応援に駆け付け、またある者はチャンピオン打倒のための偵察の為と理由は様々だろうが……まず間違いなく、この大会が見た者全ての記憶に残ることが間違いはないだろう。

 そんな世紀の決戦の場に立つのはいずれも世界に名を轟かせる者たちばかりであり、実況席からの紹介と共にチャンピオンたちが1人ずつ舞台に上がるたびに、観客席からは爆発のような歓声が上がる。

 

 ホウエンリーグチャンピオンにして大企業デボン・コーポレーションの御曹司。鋼使い、ツワブキ・ダイゴ。

 

 古代と神話を追い求める考古学会のホープにしてシンオウリーグチャンピオン、シロナ。

 

 今大会の最年長。過酷なポケモンリーグにあって、ギネス級の在籍記録を持つイッシュリーグチャンピオン、アデク。

 

 芸術の都、カロス地方のリーグチャンピオンにして世界的大女優という、世の女性の憧れを一身に集めるカルネ。

 

 10歳にしてリーグ制覇を果たし、それ以降の公式戦では無敗の記録を誇るガラルリーグチャンピオン、無敵のダンデ。

 

 その他のチャンピオンたちも、ポケモンバトルという世界的興行を牽引してきた、頭に超が3つは付きそうな一流トレーナーばかり。リーグファンであるならば、誰もが一度は共演を夢見るスーパースターが一堂に会し、観客の興奮は最高潮に達するが、未だに真打が残っている。

 

『そして最後はこのお方! カントーとジョウトが誇る歌姫にしてポケモンリーグ総本山に君臨する覇者! 妖精の如き可憐さで戦場を舞う天才少女! 他地方の王者をも喰らい、最強の座へと君臨するのか!? セキエイリーグチャンピオン、タチバナァァァァァァアアアッ!!』

 

 舞台装置から噴き出る花火とドライアイスと共に現れる、長い銀髪と湖畔のような碧眼が特徴的な、この世の者とは思えないほどに整った容姿をしている小さく、華奢な姿に会場は一瞬だけ静かになり…………そして、万雷のような歓声が上がる。

 特にカントーとジョウトから来た観客からの歓声は凄まじいが、それはタチバナが地元を代表するチャンピオンであるからというだけが理由ではないということを、シロナは感づいていた。

 

(……彼女がセキエイリーグチャンピオン、タチバナ。こうして相まみえるのは、初めてね)

 

 黒を基調としたパーティードレスに身を包んだ、どこか浮世離れしているチャンピオン・タチバナのメディアに対する露出は、他のチャンピオンと比べても圧倒的に少ない。

 年に1度開催されるポケモンリーグの予選トーナメントでタチバナの元まで辿り着けないトレーナーばかりであるというのもそうなのだが、当の本人は関心がないのか、単に忙しいのか、テレビ出演のオファーなどを悉く断っているのだ。

 それどころか、リーグ以外の公式戦でも出てくること自体が非常に稀で、このような企画でもなければ誰もタチバナとバトルが出来ないほどだ。

 

 ネットに流れる映像も彼女の歌唱力と演奏力を活かしたものばかり(ちなみにシロナはよくタチバナの曲を聴いている)で、数多くのバトルファンはヤキモキしていたに違いない。

 そんな謎に包まれた部分が多い異色のチャンピオンのバトルが見れるだけでもファンの盛り上がりは否応が無しに高まるだろう。中には余りの露出の少なさからタチバナのバトルの実力を疑う者も多くいるようだが……少なくとも、この舞台に上がったチャンピオンたちに、そのような油断を抱く者は1人もいない。

 

 なぜならば、タチバナは全チャンピオンの中で最もポケモン犯罪の解決率が高いという、世間で公表されることのない記録の持ち主だからだ。

 

 チャンピオンを始めとする、ポケモン協会所属のトレーナーにはポケモン犯罪の解決を義務付けられる。強いトレーナーが世間に味方するだけでも抑止力となるからだ。平和のため、強者としての義務の為、事件の際には解決のために積極的に動く者は多い。

 そんなトレーナーたちの中にあって、タチバナの非公式の功績は全ての協会所属トレーナーの中でも頭1つ分は飛びぬけている。

 

 仔細は不明だが国際警察すらも上回っている凄まじい情報網を有しているのか、はたまたそう言ったものに吸い寄せられる因果の持ち主なのか、密猟を主な活動とする数多くのポケモンハンターや、非合法なポケモン売買、ポケモン誘拐犯や虐待犯の摘発と逮捕を始めとし、カントーのロケット団、ホウエンのマグマ団・アクア団、カロスのフレア団……主に伝説のポケモンを狙って各地方で勢力を活発化させていた巨大組織を、チャンピオン就任からわずか2年足らずで壊滅に追いやっているのがタチバナだ。

 シロナの管轄ともいえるシンオウ地方においても、協会や国際警察よりも先んじてリッシ湖を爆破しようとしていたギンガ団の野望を阻止し、これもまた壊滅へと追いやっている。

 

 メディア受けはともかく、間違いなくバトルではない実戦では最高峰の実力の持ち主だ。それがルールありきのポケモンバトルでどれほどの力を発揮するかは未知数だが、間違いなく強敵であることに違いはない。

 いずれにせよ、故郷で起こった事件を解決してくれたことへの感謝も含め、同じチャンピオンとして色々と話してみたい相手だ。

 

(……ただ、穏便な会話になるかは分からないけれど)

 

 協会の上層部などからは悪の組織壊滅に大きく貢献しているからか、かなり好意的に扱われているが、その一方でタチバナとバトルをしたトレーナーの多くが引退に追い込まれているという、黒い噂もある。

 実際、タチバナに挑んだ某有名トレーナーは、バトルの末に敗北し、トレーナーを引退することをSNSに投稿している。彼女に纏わる黒い噂に信憑性を持たせるには十分だった。

 

 ポケモンバトルは勝ち負けよりも、いかに楽しむかどうか……それがシロナの価値観だ。見極めなくてはならない。もしもタチバナが未来ある若いトレーナーたちの夢と希望をポケモンバトルで砕き、楽しむ心を奪っているというのなら止めなければならない。チャンピオンとしてだけではなく、1人のポケモントレーナーとして。

 

『さぁこれよりトーナメント表を発表します! 皆様、スクリーンにご注目ください!!』

 

 司会進行役の言葉に反応し、チャンピオンたちと観客が一斉に大型スクリーンに視線を向ける。そこには第1回戦の組み分けが左端に記されていた。

 

 

 シロナVSタチバナ

 

 

 思ったよりも早く彼女の真意を知ることが出来そうだ……シロナは戦意が滾る鋭い視線をタチバナに向けるのだった   

 

 

   =====

 

 

 予選トーナメントの振り分けも終わり、いよいよ試合開始前となったわけだが、こういった大会ほど待ち時間やら余興やらが長い。呼び出されるまで手持無沙汰になったシロナは自販機からコーヒーを購入し、静かな場所で試合前の精神統一をしようと、人気のないバルコニーへと足を運んだのだが、そこには先客がいた。

 

「あら……?」

「…………あ」

 

 シロナの対戦相手であるタチバナである。その手にはモーモーミルクの紙パックが握られていることから、彼女もここに一服しに来たのだろう。

 

「そっちも一服? お邪魔しちゃったなら他を当たりましょうか?」

「あ……いえ、大丈夫です……」

「そう。なら私もお邪魔しようかしら」

 

 コーヒー缶のプルタブを開け、タチバナと並ぶようにバルコニーで風に当たる。横目で隣の様子を見てみると、タチバナもストローに口を付けているところで、両手で紙パックを持っている姿が幼く可憐な容姿と相まって、どこか微笑ましくて可愛らしい。

 

(それにしても……こうして並んで立ってみると、本当に小さいのね)

 

 チャンピオン就任から3年が経ち、今は17歳と聞いているが、とてもそうには見えない。シロナ自身が女性としては長身であるというのもあるが、並んで立ってみるとまるで子供のような身長……少なくとも、トレーナーとして旅立つ10歳の平均を下回っているのは間違いないだろう。

 正直、シロナも最初に写真を見た時は彼女の実年齢を信じられなかったものだ。

 

「遅くなってしまったけれど、貴女にはお礼が言いたかったの」

「……お礼、ですか?」

「ギンガ団の件。リッシ湖に爆弾を落とそうとした奴らを倒してくれたと聞いているわ。チャンピオンとして、シンオウに住む1人の人間として、心からお礼を言わせてほしい。本当にありがとう」

「あ……いえ、仕事の一環ですから……」

 

 表情は変わらないが、少し顔を赤くして照れたように顔を背けるタチバナを見て、シロナは思わず笑ってしまう。

 浮世離れしているように見えて、こういう普通の少女のような一面も併せ持っているのはかえって好感が持てた。初めて顔を見た時はどこか冷たく、とっつきにくい印象を与えられただけに、身近で見た時のタチバナのギャップも相まって余計にそう思える。

 

(特に悪い子には見えないけれど……だったらあの噂は何だったのかしら?)

 

 噂の内容が真実であるとは限らないとは思うが、火の無いところで煙も立たない。いずれにせよ、タチバナに黒い噂が立つ何かがあるのは間違いないだろう。

 研究者としての性か、気になることがあれば何事であっても知りたくなるシロナだが、こう言ったプライベートに関わりかねないことに関しては、流石にどういう風に詮索すればいいのか悩む。

 

(…………いえ、もういっそのことストレートに聞いてしまいましょう)

 

 だがそんな悩みなどすぐに振り払った。元々遠回しに聞いて真相に辿り着いたり、僅かな機微も見逃さないほどの交友があるわけでもないのだ。そもそもこのようにウジウジと考えるのは自分の性分ではない。

 

「でも少し意外だったわ。色々と黒い噂のあるチャンピオンだと聞いてたから少し身構えていたのだけれど、結構穏やかそうな性格だったから」

「……黒い噂」

「心外かもしれないけれど、色んな情報ツールを通じてシンオウにまで伝わってるわよ。若いトレーナーを何人も再起不能にまで追いやっているって」

「…………」

 

 タチバナは何も答えなかった。代わりに瞳に滲み出てくるのは、ほんの僅かな罪悪感の感情。

 

「その顔は、心当たりがありそうね」

「…………はい」

「なぜそのような事を? リーグチャンピオンなら、全てのトレーナーたちの憧れとして、彼らを導くような立ち振る舞いが求められるでしょうに」

 

 噂が真実だと分かってしまい、シロナは沈痛な面持ちになるが、また結論を急ぐようなことはしない。落ち着いた口調で静かに問いかけると、タチバナは少しだけ逡巡してから、ゆっくりと口を開いた。

 

「……道を歩くだけで、私は多くのトレーナーたちに勝負を挑まれます。……どうやら私は、あまりチャンピオンとして認められていないようでして。そういったトレーナーほど、私と戦えば暗い顔をするんです」

「それは……」

 

 それは仕方ないことかもしれない。メディアへの登場も少なく、実力を世間に示していないチャンピオンと聞けば、実力を疑い、邪推する者も多くいるだろう。

 

(特に彼女は見た目が幼過ぎる……チャンピオンとしての威厳が出しにくいのも無理はない)

 

 だが実力も無く、協会に媚びを売るだけでなれるほどチャンピオンの座は安くない。それを知らない者たちが油断と慢心を抱きながらタチバナに挑み、そして心が折れるほどに打ち負かされる光景を想像するのは容易だった。

 恐らく、この大会への出場はタチバナというトレーナーの実力を世間に示し、ポケモン犯罪への抑止力として完成させるために、協会が仕組んだことなのではないのか……シロナは半ば確信にも近い予想を抱いた。

 

「……煌びやかな印象とは裏腹に、チャンピオンはとても危険なことをしなくてはならないから。憧れだけでなってしまえば、きっと後悔するから……」

 

 きっと生来、喋るのが苦手なのだろう……たどたどしいが、それでも必死に紡がれた、確かな実感が籠った言葉にシロナは何も言えなくなる。言葉少なさはあるが、タチバナの言ったことにはシロナ自身にも覚えがあったからだ。

 

「……だから、ただ闇雲に頂点を目指すだけの人に、簡単にチャンピオンの座を譲るわけにはいかないんです」

「貴女は……」

 

 丁度その時、2人のスマホから音が鳴る。どちらも試合開始のための準備をしてほしいとの連絡だった。

 不本意ながら、この会話だけで全てを知るには至らなかったが、それでもいい。後はバトルを通じて、彼女の真意を確かめよう。自分とは別の登場ゲートへと向かうタチバナの背中を見送ってから、シロナも歩み出したのだった。

 

   =====

 

『さぁ観客の皆様お待ちかね! ついにチャンピオンズトーナメント第1回戦の始まりです! ルールは手持ちポケモン3匹まで。持ち物は自由、入れ替え禁止の変則勝ち抜き戦とさせていただきます!』

 

 爆発的な歓声と司会進行役の声と共にシロナはバトルフィールドに向かって歩き出す。地面の装置から噴き出る花火と共に姿を現し、ドライアイスをかき分けながら進むと、そこにはすっかり馴染みがあり、それでいて今までにないほどの規模を誇る公式戦の空気が充満していた。

 

『東から現れたのは北の地が誇る才媛! 今宵はどんな華麗な戦いを私たちに魅せてくれるのか!? シンオウリーグチャンピオン・シロナァァァァ!!』

 

 歓声を上げる観客たちに片手を上げながら笑顔で応え、シロナは自分が潜ってきたゲートとは真逆……西の登場ゲートを見やる。

 

『そして西から現れるのは《銀色の砂塵姫》! 未だ謎の多い実力、そのベールを遂に脱ぐ時が来たか!? セキエイリーグチャンピオン・タチバナァァァァ!!』

 

 ポケモンバトルとは楽しむべきものであると同時に、相手への敬意と共に臨むべきもの。そのことを一般トレーナーの誰よりも理解しているシロナとタチバナ。相対する2人の王者は、バトルフィールドを挟み、真剣な顔でモンスターボールを構える。

 

『両者ともに若くしてポケモンリーグという1つの頂点を極めた美しい女性トレーナー! 彼女たちの戦いに、会場の期待は大いに盛り上がっております! …………それでは第1回戦、シロナVSタチバナ! バトル……スタートォオオオオオオオオオオオッ!!』

 

 




今月歯石取りに行ったら「お前の歯石ポリ2並みに硬ぇww」と言われて草。
というわけで次回はがっつりバトル回となっております。タチバナの強さの他にも、シロナの人の良さとかも描写できればと思っております。

そして本日、レジェンズアルセウスが遂に発売! 私は早速買ってきましたが、皆様は御三家は何を選びましたか?
私はヒノアラシ即決です。何故なら最終進化のビジュアルが一番期待できるから。

ゲームでポケモンやってる時も、性能よりもビジュアル重視しちゃうんですよね。化石ポケモンとかだとカセキメラとオムナイト以外を育てますし、エースバーンやゲッコウガを含めたガラル御三家やアローラ御三家、カロス御三家も一切育てませんし、シンオウ御三家ならドダイトス一択ですし。

他にも伝説ならビジュアルの好みから外れるザシアンは育てずにドストライクなルギアやギラティナ(オリジン)を育てたり、600族だとバンギラスとボーマンダとジャラランガとサザンドラと好みの外見をしたのだけ育てて、環境トップのドラパルト含む他の600族は見向きもしない。

 やっぱりモンスター育成ゲームなんだから、見た目こそが一番重要だと思っちゃうんですよね。

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