まどマギ世界に転生したけど幼馴染を救いたい   作:唯野婆華

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波乱万丈のNew semester

「はぁ〜〜、緊張するなぁ…。」

 

「もう、大丈夫よ。先生にも事情は知らせてあるし、クラスだって私と同じだったんだから。ね?」

 

 4月8日、月曜日。巴……じゃない。マミの部屋で始まった共同生活にも少しは慣れてきた中、とうとうこの日が来てしまった。

 

 始業式、つまり約半年ぶりの学校である。

 

 いや、違うんだよ。勉強の方はマミに教えてもらったからなんの問題もない。だがな、中1の夏。普通ならある程度仲良くなった友達同士でグループが完成し、その中で遊ぶことも多くなるらしい。前世はぼっちだったから知らないけど。その時期床に伏していた俺はと言うと、マミ以外の友達などいないのだ。

 要するに、クラスどころか学年で浮くのは確定演出な訳で………。

 

「入りづらい、とても。」

 

「もう、しょうがないんだから。」

 

 そう呟くとマミは俺の手を掴んでいた。

 

「へ?いやちょっと待てマミ。何をする気だ!?」

 

 い、嫌な予感しかしねえ!

 

「そろそろ周りの目も気になるし、ね。」

 

 扉に手をかけ、そんなことを言ったマミは次の瞬間には教室の扉を開け、無慈悲にも俺を教室に引きずり込んだ。

 

「おはよう、マミ!」

 

「おっはーマミ。」

 

「おはよう玲奈、綾奈。久しぶりね。」

 

 えっと、どちら様?多分マミの友達なんだろうけど。顔つきとか雰囲気とかよく似てるし双子かな?

 

「ところでところで、もしやマミの後ろに控えるは噂の彼氏さんかね?」

 

「だから!か、彼氏じゃなくて幼馴染み!!」

 

 あゝ、怒ってるマミも可愛いなぁ……。じゃねえよ。なんで俺のこと知られてるんだよ。

 

「ねえ、彼氏くん。」

 

「彼氏じゃない、猿渡だ。」

 

「ふ〜ん。で、猿渡くん。久方ぶりの学校だと言うのに、そんな装備で大丈夫か?」

 

「大丈夫だ、問題ない。」

 

「音也くん!?」

 

 あ、つい乗っちまった。

 

「オタク同士は惹かれ合う、か。ボクは綾奈、名護綾奈。アヤでいいよ。」

 

「凄い……。双子の私でもついていけないアヤのノリについていくなんて……。あ、私は名護玲奈。気軽にレイでいいよ〜!」

 

「さっきも名乗ったが、猿渡音也だ。こっちも音也でいい。」

 

 そっかぁ。名護、かぁ〜。そりゃ変人になるわ。

 

「にしてもマミが言ってた通りイケメンだね〜〜。どう?私と付き合わない?」

 

「レイ、私が先に目をつけた。私が付き合う。」

 

「いや俺は恋愛とか興味ない……。マミさん?何してるの?」

 

 柔らかいのあたってるんだけど。

 

「ゎ、私の音也くんだから!!」

 

「いや待てマミそれは問題発言過ぎるぞ!!ここ教室だからぁ!」

 

「……時既にお寿司、だね。」

 

「ヒュー!マミってば大胆〜〜!!」

 

 クラス中の視線が俺達に向けられ、隣で俺の腕を掴んでいるマミの顔がみるみる間に真っ赤に染まる。

 

「いや、その……。わ、わすれてくだしゃい……。」

 

 このあと滅茶苦茶質問攻めされた。

 

 

 

 

 

 

「確かなのか、マミ!」

 

 始業式特有の午前授業が終わり、名護姉妹とも別れて帰路についた筈の俺とマミは自宅と逆方向に走っていた。

 

「ええ!さっきすれ違った自転車の男の子に魔女の口づけが付けられてた!放っておくとあの子が魔女に殺されちゃう!」

 

「そりゃあ不味いな!」

 

 自転車が止まった?正気に戻った……訳じゃないはずだよな。いや、あれは……!!

 

「まさか、路線に誘い込む気!?」

 

「みたいだな!なんでこんな時に限って列車って早く来るんだろうな!!」

 

 タイミング良く…いや。この場合は悪く、か。カンカンカンと警告音が鳴り、踏切の赤いランプが点滅。遮断機が降りてくる。踏切までの距離は約20メートル。普通に走っても巻き込まれる……なら!!

 

「マミ!俺の体にリボンを巻き付けろ!!」

 

「任せて!」

 

 返事を聞きマミが魔法少女に変身するのも確認せずに踏切まで走り抜け、少年の制服の襟を掴む。

 

「今だ!引け!!」

 

「分かってるわ!」

 

 その言葉と同時に腰の当たりから後ろへと引っ張られ、眼前を列車が通り過ぎる。そうして尻から着地した俺は、少年が無事なのを確認してため息をつく。

 

「間一髪、だな。大丈夫か?少年。」

 

「あ……。今……、おれ、俺は!あァ……あァァァ!?」

 

 「大丈夫、これは悪い夢。目が覚めたら、全部終わってるから。」

 

「あ、あ。」

 

 首元にある黒い紋章が消え、混乱した少年を宥めるマミを見ていると、彼女が急に振り返った。

 

「音也くん…。見つけたわよ。」

 

 見つけた、というのは恐らく魔女の結界だろう。つまりはここが俺の初陣になる訳だ。

 

「オーケー。それじゃあ……。」

 

 自分のリュックを枕にして少年をその場に寝かし、決意を新たにマミの隣に立つ。

 

「やるぞ、マミ。」

 

「ええ。」

 

 言葉を交わし魔女の結界へと足を踏み入れ……る直前でいつの間にか合流していたキュウべぇが俺に問いかけてきた。

 

「ところで…音也はどうやって戦うんだい?見たところ武器なんて持ってないようだけど。」

 

「……あぁ〜、やっべ。先に呼んでおかないとな。てかお前何処から湧いてきたお前。」

 

「僕は君に興味があるんだ。何故素質のない筈の君に僕が見えるのか……ね。」

 

「おいコラ話聞けはんぺん。」

 

「ま、まぁまぁ。ともかく、行くわよ。」

 

「……わかったよ。」

 

 マミの言葉に、ブレザーの裏ポケットに入れてある蒼色の笛を取り出し、リコーダーを吹きそこねたような音を奏でる。直後、高速で飛来した蒼色の彫像を左手で掴み、独りでにブレード部分が展開される。

 

「そ、それは……?」

 

「ガルルセイバー。俺が『ある人』から借りている剣だ。恐らくだが、魔女や使い魔だって斬れる。」

 

「本当に斬れるの?」

 

「うん。どうやら本当みたいだね。魔力とは違う別の力が宿っているみたいだ。音也、君は本当に戦うつもりなんだね。」

 

「そういう事だ。」

 

 マジでいけるみたいだな。はんぺんに証明されたのはムカつくが。

 

「……分かったわよ。でも、危ないと思ったら逃げてね。」

 

「まったく、心配症だな。まあ、安心しろ。俺は死なない(コイツは死なせない)。」

 

 歩を進めると、景色がぐにゃりと変化し、絵の具をぶち撒けたような色調の世界へと入り込む。直後、道の脇から三又槍を構えた気色の悪い羊が無数に飛び出し、俺達を取り囲む。

 

「熱烈歓迎って感じか?どうやら俺よりもマミの方を警戒しているようだが。」

 

「みたいね。もしかしたら前に取り逃がした魔女なのかしら?」

 

 

 

 待ち切れないと言わんばかりに正面の羊が襲い掛かってくるが、その攻撃が届く前に銃声が一つ鳴り響く。そうして一匹の使い魔が崩れ落ち、戦いの火蓋が落とされた。

 

「話してる場合じゃない、二人共!くるよ!!」

 

 キュウべぇの声と共に、奴らが一匹目の仇と言わんばかりの勢いで我先にと俺達に突っ込んでくる。時間を掛ければ押し負けるのはこっちだろう。と、なればだ。

 

「マミ!掩護頼む!」

 

「ちょっと音也くん!?」

 

 驚くマミの声を置き去りに正面の使い魔共へと走り出し、左手のガルルセイバーを逆手に持ち替える。加速と共に体を前へと傾けていき、すれ違いざまに使い魔を斬り伏せていく。

 

「どうした、羊共!その程度か!!」

 

 急ブレーキと同時に反転し、叫びつつも再び加速し更に使い魔を狩っていく。が、使い魔共も黙って狩られる訳では無く、盾を構えた一体によって俺の突撃は防がれる。

 

「まじかよ!?」

 

 そのまま鍔迫り合いになり、足の止まった俺の背後から3体の使い魔が襲いかかる………事は無かった。

 

「音也くんったら、あんまり無茶しないでよね。」

 

 一発の銃声と、真後ろから聞こえる使い魔共の断末魔。再び響いた銃声と共に盾持ちの抵抗が消え、バランスを崩して膝をつく。そんな俺の前に立ち、手を差し出すマミの手を取って立ち上がる。

 

「悪いな、マミ。少々奴らを舐めすぎたようだ。」

 

「もう。ほんとに気をつけてよね?」

 

「あぁ!」

 

 ガルルセイバーを構え、マミと背中合わせになる。

 

「一気に行くぞ!」

 

「ええ!」

 

 そこからは一方的な戦闘だった。動いた奴からマミに撃たれ、撃ち漏らしは俺が斬る。そんな作業じみた戦闘を続けていた中、俺達は等々結界の最深部へと辿り着いた。

 

「こいつが、羊共の親玉か。………なんか眠そうだな。」

 

 石畳の広場の中心に存在する巨大ベットに寝転んだ、全長7メートルのドス黒い羊。左のヒヅメで目を擦り、こちらを睨む奴は、それでも俺達に殺意を向けていた。

 

「それでも魔女だ。油断はしない方がいい。」

 

「んなこと分かっとるわ。このはんぺん。」

 

「二人共!そんな場合じゃ……!」

 

 マミの言葉が途切れ、バタリとその体が倒れる。

 

「マミ!!」

 

 倒れたマミの体を支え、胸に耳をあてる。

 

「心音は……ある。呼吸もしている。というかこれは、寝ているのか?」

 

dositenemurenaindarou

 

「あ………。」

 


(やはり魔法少女でもない成長期の男性個体では耐えられないか。)

 

 そう、インキュベーターは思考する。魔法少女を生み出す()()にとって、個体名―猿渡音也は新たな可能性を持つ実験体である。いや、だった。巴マミの精神に干渉し、眠りの魔女の強制昏倒へと()()()()陥りやすくしたのは、一重にイレギュラー猿渡音也の能力を測定する為である。もっとも、眠りの魔女の魔法すら耐えられないのであれば問題はない。そう結論づけた()()はその場を離れる。

 

 ()()にとってこの個体は数多の端末の一つにすぎないが、それでも無駄な消耗は避けようとするのが利己的な思考回路をもつ()()である。高い素質をもつ巴マミを失うのは惜しいが、この状況を打破する能力は()()には無いのだ。よって既にこちらへ照準を合わせた魔女の攻撃範囲より脱するのが最善である。

 

 ガギン!と、金属音が鳴り響く。()()は予想外の音に疑問を抱く。眠りの魔女が猿渡音也もしくは巴マミを喰らったのならば骨の粉砕音や肉の切断音が聞こえる筈だ。だが先程聞こえたのは金属音であり、どう思考しても想定外の事象が起こっていると想定される。

 

(どうやら、猿渡音也にはまだ不確定要素が多いようだね。)

 

「残念だったなぁ……。こちとら半年も寝てたんだ。今更強制昏倒如きじゃ寝れないんだよ。」

 

 そう言って眠りの魔女のあぎとを剣で受け止めた猿渡音也は、お返しとばかりに魔女の頬を蹴り飛ばしその勢いを利用して魔女の側面へと回り込む。そうして眠りの魔女の黒い羊毛を掻き分け、その剣でその体を斬り裂いた。

 

I'm already sleepy Patrasche

 

「………これからはゆっくり眠りな、嬢ちゃん。」

 

(やはり君は危険だ、猿渡音也。)

 

 魔女の結界が消えた時、そう最終結論を出したインキュベーターは既にその場にはいなくなっていた。

 

 

 




音也「あのはんぺんどこいった?」

ガルル「そんなことより早くお嬢ちゃんを運ぶぞ。」

 あ、サブタイはビルド風とキバ風を使い分けていきます。
追記
 オリ魔女の設定置き忘れてたので置いときます。
眠りの魔女
 全長7メートルの黒い大羊。普段は名の通り眠っているが、自らのテリトリーに外敵が侵入すると途端に目を覚まし、攻撃してくる。彼女の鳴き声は鈴のように響き、聞いたもの全てを眠らせる。その後、眠りについた外敵を鋭く尖った牙で噛み砕く。
 彼女は睡眠の必要がない体を望んだが、だんだんと眠れないのが苦しくなり、魔女へと変貌した。
 音也は舌を噛んで耐えた(何それ)。
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