技術高校のリン!   作:第三のケモナー

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第3話:初戦闘後!

 

 

 

 

 

 

 

『…ハァ、みっともな』

 

 

 

 

 

「…何が…あれ…?」

 

 白い天井が見えるのとベッドに寝かされている事で、ここが病院だという事が分かった。あの氷男との初戦闘後、気を手放した自分が病院に運ばれたんだろう。

先ほど声が聞こえた気がするが、周りに誰も居ない。それもそのはず、そもそもこの部屋は個室であり、他の患者は居ないし、ベッドも自分が寝ている一つだけである。

 

(とにかく、ナースコールを…)

 

 看護師さんを呼ぶために、ナースコールを押そうとしたところ、個室のドアが開いた。

 

(っ…母さんか…)

 

ドアには泣きそうな、嬉しそうな複雑な顔で入ってくる母親が居た。ドアが開いた瞬間、あの氷男が入って来たと思い、身構えたが杞憂に終わった。

 

「輪ちゃぁぁぁん!ごめんなさぁぁい…」

「うわぁ!?急に技術で転移しなくても…」

 

余程心配だったのか、空間技術で近付いて抱きしめてくる。

 

(く、苦しい…あ…でも柔らぁ……じゃなくて!)

 

「母さん!全部説明してもらうから。」

「…うん。分かったわ…」

 

 

そして母さんは事の顛末を話す。

 

「昔、私と守さんがコンビ組んでいて、たくさん事件解決してきたのは知ってるでしょ?」

「知ってるけど…昔というか今もそうなんじゃ…」

「あら、恥ずか…こほん。ま、まあその影響で逆恨みも多い訳よ。」

 

「つまり、昔の事件の逆恨みで、娘である私を狙ってきたって事ね…」

 

「そうなのよ!私たちのせいで…ごめんなさい…」

「いいよ!そんなの母さん達が悪い訳ではないし…」

 

親の逆恨みで娘が狙われるというのはあるが、体験したのは初めてだった。何故この時期に襲って来たか分からない。もっと私が幼いころに来れば、反撃される心配もないはず。

 

…覚えていないだけかもしれないが。

 

 

「輪ちゃんが小さい頃も同じような事あったけど、それはあらかじめ予防できたのよ。

 

ただ…」

 

「ただ…?」

 

 

「昔捕まえていた犯罪者が、今ちょうど刑期を終える頃なの…」

 

 

 

 

●技術を悪用した犯罪、『技術犯罪』について。

 

 技術による犯罪は、年々と増えていった。力の秩序によって、警察も動きづらくなり反撃され、それにより法の秩序が乱れていったのだ。政府も警察も信用を失いかけていた。

 

そこで対策の一つとして決定したのが、『技術犯罪及びその刑期について』

 

簡単に説明すると『技術を使って犯罪を犯すと罪が重くなりますよ』というもの。

他にも対策は挙げられたが、実際に技術による犯罪を減らしたとも呼ばれている。

 

 

 

 

「なるほどね…

あっ…ということは、これからどんどん母さん達が捕まえてきた逆恨み技術犯罪者が来る確率が高い…」

 

「そうなるわね…本当にごめんなさい…」

「いやいや!いいって!」

 

(そうなると私の高校生活がままならないんじゃ…)

 

 

 下手すると、学校に乗り込んだり、他の生徒を巻き込む可能性がある。そんな爆弾みたいなもの、学校は抱え込みたくないはずだ。

 

「そして…これが本題ね…輪には、ツラいかもしれない…」

「な、なに…?」

 

 急にしんみりとなり、そのあとに続く言葉を待つ。

 

 

 

 

 

「私達と輪ちゃんの名字、住所別にしようって決まったの…」

「……」

 

 

 

(まあ、そうじゃなかったら危険だから仕方ない所もあるけど…でも…)

 

 学校や周りの人を巻き込みたくない気持ち、自分が技術者として未熟なのは分かるが、何より家族を否定されたかのように、心に突き刺さったのを感じた。

 

 過去に両親が捕まえたということは、両親レベルの技術者じゃないと太刀打ちできないということ。

 

(やっぱり…)

 

自分自身の未熟さと技術に悔しさを感じていたが、

その時、抱きしめられるような感覚。

 

「かぁ…さ」

 

 

「でも、これだけは言わせて…

私達の自慢の娘よ。愛してる…」

 

 

 

 頭の中でその言葉を整理した時、はっきりと心に決めた事がある。それは

 

 

 

(絶対に守り抜けるような最強の技術者に!)

 

 

 

「ああぁやだやだ…しんみりするのは終わりにしましょ!」

 

相変わらず切り替えが早い母親に、笑顔が出てくる。

 

「そうだ!輪ちゃん、あの氷人形どうやって乗り切ったの?私苦戦して守さんが居なければ結構危なかったのに。」

「そ、そうなんだ…それはね…」

 

戦闘について話すと母親は驚いたように

 

「ま、魔法瓶とエアコンで…?うっそん…恐ろしい子!」

「ははは…」(褒められた…)

 

「そういえば、氷男どうなったの?」

「きちっとお灸添えて突き出したわよ。ふふ…久しぶりに会ったけど変わってなかったわねぇ…」

 

(こ、怖ぁ…)

 

 

 

その後、退院したら一緒にお風呂に入ろうと言われて、また一悶着あるのだが、それは別の話…

 

 

 

 

 

 

 

「髪型ヨシッ!制服と鞄ヨシッ!」

 

 現場よろしく、身だしなみを鏡でチェックする女子高生。新しい部屋、新しい町で過ごすことになった『時田 輪』改め、『姿目 リン』、今日から技術高校生だ。

 

(あれから4月になったけど…本当に大丈夫かな)

 

 今、学校の駅の隣駅に住んでいる。名前と名字については市役所や警察、学校などに理由を話し、了承を得ている。その情報はトップシークレット扱いとなり、知っている者は片手で数える程だ。

 

 そして、こんなスムーズに事が済んだのは、両親のおかげである。技術者としていろんな所、というか重鎮のコネクションを持っている両親。申し訳ないが、それに甘えた形になる。

 

「あっ、もうこんな時間…入学式遅れたらシャレになんないもんね…」

 

 外に出る準備を行い、ドアを開ける。ここから『境介駅』まで徒歩5分、電車は10分程で『技術高校前』まで着く。

 

 やはり、学校に行く生徒が多いのか、同じ制服がほとんどである。携帯をいじっている者や音楽を聴いてる者、はたまた外を見て感動している者まで居る。

 

(ん?感動して…?)

 

 特徴的過ぎて注目を浴びている女子技術高校生。先輩らしき人が驚いて見ているため、同じ新入生だと考える。

 

(田舎の方から来たのかな…珍しい)

 

 今時、未開の地はなく田舎も見られなくなった。との記事は読んだが、実際に見たのは初めてかもしれない。

 

『まもなく、技術高校前~技術高校前~お出口は左側です。』

 

 

(これからどんな事を学ぶんだろうか、まあ行けば分かるさ!)

 

 

 

 

 

 電車が止まり、ドアが開く。輪…いやリンは目標に向かって一歩外に出る。それは目標だけなのか…それとも

 

 

 

 一歩一歩と『秘密』に近付いている。

 

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