「あ!今日も来てくれたんだバイトちゃん!」
「はい!高田ちゃんのためなら終末の日でも参ります!」
ああ高田ちゃんの笑顔です!良い!良き!素晴らしい!名前を覚えていてくれて恐縮至極の極みです!この手はしばらく洗いません!
「いつも応援しています!次回の握手会も絶対行きますのでこれからも頑張ってください!」
「ありがとー!!」
おっふ!もうここで果てても良いです!
でもまだです!
「あ、あの…高たんビームを!」
「うん!じゃあいっくよ〜♡たんたかたーーん☆」
我が生涯に一点の悔いなしですぅうう!!
ありがとう高田ちゃん!さよなら高田ちゃん!
私はここで果てます!いえまだ死ねませんね!次回も必ず行かねばなりませんから!
だからぎりぎり果てる寸前の高揚感をキープしつつ帰りましょう!ああ!この幸せが永遠に続けばいいのに!!
と、思っていました……。
「待て。どこに行く気だ」
出口で声をかけられました。
東堂葵さんです。
「ではこれで」
話したくないので早々立ち去ります。
この人の距離感は苦手です。
「待て待て。そう早まるな」
「気安く触れないでください。アナタの第一印象は最悪でした」
「いや、それは…」
気まずい顔をつくる彼。
ですがいきなり殴りかかってくる人に優しい私ではないです。
────***────
「どうして追ってくるんですか」
姿を消しても追ってくる。
ビルの上を走っても逃れられない。
やはり彼は只者ではありませんでした。
「さすがに見過ごせねぇんだよ」
「呪霊でしたっけ?知りませんよそんなの」
「お前は自分がどんな存在か知ってるのか?」
そこそこ理解しているつもりです。
「少女たちの怨みの塊です。人間に災いを起こす悪いもの。そうだと思っていますが」
「そこまで分かっているのか」
たまに人間を殺したくなる自分が現れます。
でも理性が働いて手を染めたことをありません。
そんなことすれば高田ちゃんに会わせる顔がなくなってしまいます。
「そろそろどこか行ってください。じゃないと酷い目にあわせますよ?」
「ほー?そこまで拳に自信があるんだな?いいぜ。だったら」
「いえ、もう戦うのは御免ですので」
言ってる間に赤い赤色灯のある建物に到着した私です。
彼らは人間ではない私にも味方してくれます。
「お巡りさん助けてください!この不良がずっとつきまとってくるんです!!」
「なにぃいい!?」
さらば東堂葵。恨むなら男に生まれた自分を恨んでください。
そして願わくば、もう全握で会いたくないものです。