怪しさMAXの陰陽師は、奈落の底を目指すようです 作:S・DOMAN
「ではお二人とも、行きますよ!そォーれ!!」
拙僧がそう言うと式神が5、6つほど拙僧の服の袖から飛び出し、お二方の服に貼り付くと、たちまち宙に浮かせました。
子供の適応力というのは凄まじいですなぁ…
「わあ!スゴーイ!ねえレグ!私、紐も無いのに浮いてるよ!それになんか紫色の光も……って、れーぐー。何やってんの…」
「おわわわわわわわわわァ!!亅
「れぐー…もうっ、そんなに慌てなくってもいいのにー」
「いや、自分で飛んだりするのは、怖くないんだが、自分以外の人に、ゆっくりと浮かせられるのは、ちょっと……怖いぞ。予想の倍ぐらい」
「おやおや!どうやらレグ殿は空中浮遊が恐ろしいご様子。でしたら拙僧が抱えて行きましょうか?」
「ッ、いや、このままで大丈夫だ!やってくれー!ドーマン!!」
「ええ、分かりましたとも。ではお望みのままに!そォれ!」
「ッええ?!わぁッちょっドーマンンンンンンンンン??!!!!!!」
「うヒャアアアア!!???」
ンンンンン!どうやら少々魔力を込めすぎた様です。お二人は弾丸の如き速さで監視基地に向かって吹っ飛んで
残念ながらあの様子では、おそらく今頃は潰れた柘榴のように……
「なァンて事にはなりませぬとも!もちろん!それでは興醒めですからねェ!!」
「ハァ、はぁ、はぁ」
「も、もう……」
「ソソソー?どうされましたか?」
「もう二度と、ドーマンには頼まないぞ、ボクは!」
「ンンンンン?!度し難アい!!」
『『こっちのセリフだー!!!!』』
「ウルサイねぇ……声が大きいよ、君たち。漫才なら他所でやりな」
お二方のどうしようもないモノを見るような視線を一心に受けておりますと、入り口から声が聞こえます。どうやら何者かが入口までワザワザ出迎えに来てくれたのでしょう。
―――ンん?それにしてもこの声は……ああ、遂に!遂に来ましたねェ!!
「全く、中に入ろうともせず喋り続けて、やっと来たかと思えば赤笛が1人に機械の少年、オマケに不審者かい?これはこれは……随分と愉快な来客だねぇ…」
―――って、
「ンンンンン?!お待ちなされ、オーゼン殿!拙僧は決して怪しいモノなどではありませぬ!!」
「そ、そうです!ドーマンは性格は度し難いし、見た目も胡散臭いし。さっきも私達をふっ飛ばしたけれど……」
「リ、リコ殿……そこまでおっしゃりますか…?」
「で、でも、なんやかんやで私達の隊のメンバーなんです!」
「……ふうん、そうかい。ま、とっとと上がっていきなよ。玄関でずっと立ち話されると迷惑だ」
ンンン!実に良い事です!拙僧もどうやら、彼女らの隊の一員として数えられるようになったようで!
ええ、ええ。いい感じですねェ……上手く取り入っているようで。拙僧安心しました!
まだ見ぬ感想を求めて失踪します。