怪しさMAXの陰陽師は、奈落の底を目指すようです 作:S・DOMAN
さてさて。オーゼン殿による想定外の(原作通りとも言いますが)特訓もありましたが。いよいよ拙僧らはこの眼下に広がる深界三層『大断層』に侵入します。
結局オーゼン殿は見送りには来られず遠目からこちらを覗き見るだけ。この場所におられるのは、監視基地で度々すれ違った程度の面識しかないオーゼン殿の探掘隊『
拙僧との戦闘がよほど響いたのか、そもそも初めから別れの言葉なぞかける気が無かったのか……今となってはどうでも良い事ではありますが。
「じゃあね、マルルクちゃん……元気でね」
「はい、皆さんも。どうかご無事で」
「…………で、でも、やっぱり。ボク、こんなこと言うの嫌なんですが」
「『やっぱり無理だ』って帰ってきてくれたら、どんなにうれしいか…ボクと同じぐらいの年の子供が奈落に挑むなんて…」
「ボ、ボク……いろんな人たちを見送ってきましたけど、今日が一番悲し―――わぶっ?!」
ああ、何と悲しげな表情で泣かれるのでしょう!拙僧は何もせず立ち去ろうかと思いましたが、つい抱きしめてしまいましたなァ?
お見苦しいところをお見せしてしまい申し訳ありませぬ。ですが拙僧は、このように泣いておる幼子をこのまま捨て置いて行きたくありますぬので!
―――ええ。本当ですよ?
「ド、ドーマンさん…?」
「ええ、ご安心召されよマルルク殿。拙僧らはどこにいようと奈落にてつながっておりまするゆえ。貴方のお師匠殿をあのようにした拙僧が言う事ではないかもしれませぬがねェ?ですが、ええ。拙僧は常にあなた様の傍におりまするぞ!ですから………そのように涙を流されるな。せめて笑顔で見送ってくだされよ」
「ど、どーま゛ん゛さ゛ん゛ん゛ん゛ん゛」
「おやおや。もっと泣いてしまわれましたなァ!フフフ、存分に泣いてくだされ。ここで涙を枯れ果てさせてしまわれよ。ええ、ええ。マルルク殿が泣き止むまでこうしておりましょうや」
「なんだー?お前さん見た目に似合わず優しいじゃん!」
「ンン゛ン゛ッ゛。お、おやめなされ!拙僧の肌の露出している部分を叩くのはおやめなされ!ああっ!イイ音を出そうとするのもおやめなされ!!」
大断層の淵にて旅立とうとする
普段は鬱陶しいぐらいに立ち込めている濃霧も、この日ばかりは綺麗に晴れていて、遠目からでもあの三人組がハッキリと見える。
「ああ、不安だ……あの子たち。私はここから動くことができないからあの子らの旅について行けないが」
「あのドーマンとかいうヤツ………
(……もし、もしも
(ドーマン……アイツはいったい?)
「はあ。まあ今更どうしようもない。せめて幸運があるよう祈っとくかね」
「―――チッ、これじゃあまるで私が『祈手』みたいじゃないか。全く、度し難い、度し難いねぇ……」
おてがるカートリッジ作成キットを作ってくるので失踪します。