怪しさMAXの陰陽師は、奈落の底を目指すようです 作:S・DOMAN
「リコ殿ー!レグ殿ー!此方に出口がありましたぞ!」
「わかったー!今行くー!!」
さてさて、ただいま拙僧らは『大断層』の只中にて、迷路のように入り組んだ穴の中を行ったり来たりしております。
リコ殿やレグ殿は体が小さいですからまだよいものの、拙僧は身長200cm程度、体重110kgという恵体でありますから、この穴は少々窮屈に感じまするなぁ。
「あっみんな見て!マドカジャクだ!」
「リコ!顔出すと危ない…」
「…しかしどうする?もうドーマンの術で岸壁を降りてくか、『呪い』を覚悟で上に戻るしかないぞ?」
「もしもし御二方?あそこの穴なぞ如何でしょう。都合の良い事に我らのいる穴の真下にありますので!」
「―――ホントだ!」
レグ殿の腕を崖際に固定し、お二人は緩やかに下って行かれます。かく言う拙僧はレグ殿にぶら下がるわけにも行きませぬので、これまで通り式神で以って空中を浮遊しながら(次いでに獣避けの呪詛も撒き散らしながら)降りておるのです。
「しかし……やはりドーマンはすごいな。空を飛べるなんて。オンミョージュツとは便利なものなんだな」
「ンンン!お褒めに預かり恐悦至極に存じまする!」
「ん…?ああっ!レグ!ドーマン!やったよー!この巣すっごい深くまで続いてる!」
「おお、やりましたなリコ殿!……ところでレグ殿はどちらへ?」
「―――あっ、今行く!」
さてさて、この会話はなにやら聞き覚えがありまするなァ。と、いうことは?そろそろ『ベニクチナワ』なる大蛇もどきが襲ってくる頃合いでしょうか?
ここまでほとんど何事もなく進んで来れましたからねェ……ンンン?そういえば、アニメ版と漫画版でこの場面の展開が違ったような気がしましたが。
たしかアニメ版だとこの愛らしい生物―――ネリタンタンなどと言うそうですが―――の群れから逃げている最中に、何々という原生生物の腹の中に落ちてしまうのだとか。ンン?いや……どちらがアニメ版でしたかな?
まあどちらにせよ、拙僧の目の黒き間はそのような事させませぬとも!
「ドーマン?そんなに持って大丈夫なのか…?ここで少し減るとはいえ少しは捨てていってもいいんだぞ?」
「いえいえお気にせずとも!些か多く見えるかもしれませぬが、これらの八割は食料でありますゆえ、見た目以上に軽うございまするぞ」
「でも飲み水も持ってるだろう?」
「まあ。そこは拙僧鍛えておりますれば」
現在、食料等の荷物は拙僧がすべて運んでおります。幼子らに持たせるものでもないでしょうからねェ?荷物の中身は都合五日分の食料、水。寝袋に鍋、その他諸々ですな。
他ではどうかなど拙僧には知りえませぬが、こと奈落において原生生物とやり合う等という行為は百害あれども一利無し!無用な戦闘は兎に角避けるべきでありますれば!
等と思索に耽っておりますと、何やら木の腐った様な香りが拙僧の鼻孔を擽ります。
「おー!これ昔の船だよー!スゴイなー、遺物とか残ってたりしないかなー?」
「ッ!リコ殿、お待ちくだされ!そちらに行かれてはなりませぬ!」
「えっ?……ウウっ、ナニコレぇ。うんち?」
考え事に耽っていたために気づくのが遅れてしまいました。
まさかもう違う場所―――作品で言う所の"場面が変わる"というもの―――に出ていたとは!
ンンン……不味いですねェコレ。まさかココは漫画版ではなくアニメ版だったとは。拙僧の記憶が正しければ、今リコ殿が踏まれたのは『マドカジャク』なる飛竜のフン。
そして、フンがあるということは……
「うわっ?!や、ヤバい!マドカジャクだ?!」
「リ、リコー!」
―――当然、それを
サア?隊長殿の尻拭いは、隊員たる拙僧の役目でありましょう。
拙僧の出番ですなァ。