怪しさMAXの陰陽師は、奈落の底を目指すようです 作:S・DOMAN
私のお気に入りはトーレイテアです。名前の響きが好きなんですよねー
「皆様方、早く穴までお逃げくだされ!ここは拙僧が食い止めまする!」
「何言ってる!?キミも一緒に逃げるぞ!」
「ッああ、これを!」
袖から式神をいくつか取り出し、内二枚をレグ殿に持たせます。
これは皆様が普段FGOで見ているようなものとは形が少し違いまするが、一応れっきとした式神。
所謂『ヒトガタ』―――そうですねェ。何かしらの祝い事の際に飾られる、人の姿を象った白い紙……などと言えば良いでしょうかね?
この型の式神はどちらかといえば、かの阿倍晴明が使うモノに近いので、拙僧あまり作るのは得意ではないですが……
まあ?別に?拙僧作れないワケではありませぬので?
「これはいったい?」
「拙僧が監視基地にてお二人を部屋に戻したものです!それを持っておればどれだけ離れていてもすぐに追いつけますので!さあ早く!」
「…分かった!気を付けてくれよ!」
……もう行かれましたね。
幾ら物語の主人公と言えどもやはり子供。緊急事態だからとはいえ詰めが甘うございまする。
拙僧ならばこの程度の数すぐに鏖殺できますのに。監視基地にて、かの“白笛”たるオーゼン殿を圧倒した事をもう忘れられたのでしょうか?
まあちょうど良いタイミングで一人になることが出来ましたので、折角です。式神の補充のついでに試したいこともありますので……ねえ?
『ギチ…………ギイィッ』
ンフフフフ!おやおやァ?物言わぬ獸であれども怯えはするのですなァ。ああいけませぬいけませぬ。知らず知らずのうちに殺気を振りまいておったようで、今にも逃げ出しそうな様相ではありませぬか!
いやはや何とも、野生の勘とはスバラシイものでありますな!何の役に立たぬのは考え物ですが。
さァて、コレからはいくつ
いつもと変わらない日常、いつもと変わらない景色。あれほどまでに見たいと願っていた奈落の風景も、ずっと住み続けていればだんだん新鮮さが薄れていくもんだ。
このデケェ湯の貯まった植物も初めて見る分には面白いけど。オイラはその
歩くたびに足回りの毛が濡れそぼって、思わずタオルみたいに絞りたくなるんだよ。まぁできねぇけどさ!
……もしも。もしももう一度。記憶を消してからこの景色、アイツと一緒に見れたらなぁ…
「……んなぁ~。ま、いいや。サッサと飯集めてもどろーっと」
「…なんだ、これ」
タケグマを何匹か〆て、〆たついでに香り付け用のトコシエコウも摘んだ。そう、いつもこなしている日課だ。
だが、アジトへの帰り道にあったあまりにおかしいブツがあったもんだから、少しばかり寄り道をしてみた。
それは、白い紙だった。
驚くべき点は二つあった。一つは、それが宙に浮いてるってことだ。
独特な形に切られているそれは、風で舞い上がってる様子はない。空中で微動だにせず、静止している。百歩譲って風のせいだったとしても紙って垂直に浮くモンなのか?
そして二つ目は、
「力場が、凪いでる?」
この奈落のものの周りには力場がある。奈落に
「まったく、ない。っていうか……スっゲェ落ち着く~…」
さっきから妙に気分が穏やかだ。何かいいことがあった後のような、トイレに行った後のような……なんだかんだで
んなぁー……なんかだんだん、ひきよせられるー……触りたい、さわりたい…?
「…さわってみっかなー」
まー、だいじょうぶだろー。むずかしいことは、さわったあとでかんがえりゃーいーかなー?
「んななななぁ?!なんだコレ!ぞわぞわするぅぅぅ…」
オイラの手が紙に触れた瞬間、体が急に
んなぁ?頭ン中に、声が聞こえる?
「ンンン……聞こえておりますかな、ナナチ殿?拙僧は蘆屋道満と申す者。今、貴方様の頭の中に直接語り掛けておりまする」
ナナチを吸ってくるので失踪します。