怪しさMAXの陰陽師は、奈落の底を目指すようです 作:S・DOMAN
「あっ!来てナナチ!ドーマン玉の様子が変わってるよ!」
「んなっ!?本当か!……ッん、んなぁ~。すまねぇリコ~、目ぇ閉じるから連れてってくれー…」
ドーマンがあの玉に閉じこもってから、今日でキッカリ三日が経った。
「わわっ、すっごい震えてる………え、なんで震えてるの?」
「いや、オイラに言われもよくわかんねーけどさ……多分、生まれようとしてるんじゃねぇのか?」
「……ふむ、たしかに。言い得て妙だな」
この空中に浮いている玉がどうして震えるのか気になりながらもそんなふうに私達が話していると、遂にこの玉に亀裂が生じ始めた。
紙でできた玉なのに、なんで割れるんだろう?
「うわぁ!!なにこれ!」
「は、離れるぞ皆!ナナチ、すまない!掴むぞ!」
「ん、んなななななあああ?!」
玉のヒビ割れはどんどん大きくなり、そこからドロドロしたナニカが溢れ始めた。
しっかりとした粘性を持ちながらも光を通さないその液体っぽいものは、色が透明であればきっと卵の白身によく似ているのだと思う。
未だ粘液を吐き出し続ける玉の中から、黒い人が落ちてきた。
その腕の中には例の黒い粘液で覆われた子供サイズの物体があった。
「ンンン!ただいま戻りました!リコ殿、レグ殿。そして、ナナチ殿?」
「…うん。おかえり、ドーマン」
「ンンンンン?どうされましたかな?」
「そ、その。ドーマン?ちょっと水浴びしてこない?すっごいドロドロだよ……それに、なんかクサイ…」
「………ンンン、これは失礼。少しばかり体を清めてきまする」
「ああ、ですがその前に。こちらを」
そう言うと、ドーマンは抱えていた子供を私に手渡した。
「うえぇ、ヌメヌメするぅ…この子がミーティなの?なんかチクチクしてるけど」
「ええ、ミーティ殿はナナチ殿と同じ姿に成られたのですよ。チクチクするのは濡れているからでしょうな」
「そっか…よかった……ナナチの友だちが、人に戻れて」
「ンンンンン、本当ですなァ!」
視界の端でレグがナナチをもふもふしてるのを眺めながら、私も川の方へと向かった。
もちろん、ミーティをキレイにするためにね!
予め用意しておいたお湯にミーティを浸ける。べっとりと黒い液体で濡れた体はナナチによく似てふわふわで、その毛の一本一本に粘液が絡みついていたから、レグに三回も替えの湯を汲んできてもらうハメになった。
「凄い粘液……監視基地のマルルクちゃんの部屋にあったやつよりもベトベトしてる…」
「……ンンン?!リ、リコ殿?いつの間にそんな事を…」