怪しさMAXの陰陽師は、奈落の底を目指すようです   作:S・DOMAN

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忘れもしませぬ。あれは拙僧が黎明卿と一緒にカートリッジを作っていたころ・・・30

「オイラが来たのは深界五層最下部、ヤツらが『前線基地(イドフロント)』と呼んでる場所だ。人が()のまま戻れる最終地点、ボンドルドの箱庭…その中に白笛が『絶界行(ラストダイブ)』に使う、六層唯一の侵入口がある……まあ、あのボンドルドがオイラ達をみすみす通してくれるとは思えねぇ…遭遇は避けられないぜ?」

 

 

 

 

拙僧らが今後の方針について話しておる時、ナナチ殿はそうおっしゃりました。

 

 

 

 

「ンンン、恐らく拙僧であれば撃破も容易でしょう。何も気にすることなどありませぬぞ?」

 

 

「んぅぅ、オマエなー…オメーはボンと会ったことがねぇからそんなデケェ口が―――んなぁっ?!」

 

 

 

 

ナナチ殿が拙僧に小言を言おうとしたとき、突如外で轟音が鳴り響きました。

 

 

 

 

「んなぁ…支え水が崩壊したんだ。びっくりしたぁ…おいオマエら、道ができたぜー。休憩はここまでにして、先に進むぞ」

 

 

 

 

 

 

「うおっとっと…これ、崩れたりしないのかなぁ…」

 

 

「ま、崩れたとはいえ元は支え水の一部だったんだ。オイラ達が飛び跳ねたぐらいじゃあびくともしねぇ………あ。一人、例外がいたようだけどな」

 

 

 

 

「ンンンンンンンンン!!???」

「ナゼだアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァ

 

 

 

 

「「「ド、ドーマンー!!!」」」

 

 

「んなぁ~…まったく、何やってんだか」

 

 

 

 

 

 

「ど、ドーマン?これホントに食えるのか?」

 

 

「うん…見た目はアレだけど、味は美味しいらしい、よ?」

 

 

 

支え水から落ちた後、拙僧式神を使って戻ってきたわけですが。その際タダでは転んでやらぬとそこの辺りを泳いでいた巨大な魚を何匹かつかまえてきたのです。

 

 

ンンン、この強烈な見た目。忘れたくとも忘れられませぬ…『ハマシラマ』という魚です。牛のような“鳴き声”(?!)を上げる、尾に複乳のような触手を何本も携えたこの魚は、見た目こそ醜悪ですが食べると大変美味なのだとか…

 

 

 

 

「ふっ…ふっ…!体積の倍はヌメりが出てるぞ、コレ…!」

 

 

「あっ、レグ。ヌメり取りはそれぐらいでいいよー。あんまりやりすぎると固くなっちゃうらしいから…生が一番おいしいんだって!」

 

 

 

そう言うと、リコ殿は緑色の粘液が絡みついた生の切り身を口に運びます。ンンンンン!?こ、これを食べるというのですか!?初見で?!見れば見るほど毒にしか見えぬのですが?!!

 

 

 

 

「………んんんッッ!!甘い!レグ、これおいしいよ!アゴのところにギュッとくる味!」

 

 

「え、ええー…本当なのか?」

 

 

 

 

 

 

何故です…?奈落の珍味は須らく醜悪な見た目をしていなければならぬという法でもあるというのですか?

 

 

ええ。そのまま食べても美味でしたが、拙僧の携帯していた醤油とワサビ。それに少々変わり種ですが青じそ(に似た葉っぱ)を横に添えると、皆様目の色を変えて3匹ともペロリと食してしまいました。

 

 

 

 

「ふー…美味かった……度し難い見た目だったが、味は見かけで判断できないものだな…」

 

 

「あっ!もう一匹余ってるから、こっちはお鍋にしようか!」

 

 

「んなぁ?!そ、そんなのもあるのか…」

 

 

「……ねえねぇ、ナナチナナチ…」

 

 

「ん。どーしたんだミーティ?」

 

 

「この魚、すッッッッッごく美味しいね!」

 

 

「………あぁ、そうだな!」

 

 

 

 

「みろリコ、ドーマン。あの素晴らしい光景を…」

 

 

「ふふふ、モフモフだねー…」

 

 

「ソソソソソソ……」

 

 

 

 

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