怪しさMAXの陰陽師は、奈落の底を目指すようです 作:S・DOMAN
唖然とした様子でプルシュカ殿が仰ります。
「ちょ、ちょっと待って…じゃあ、パパは?アンタがここにいるってことは、パパは何処に…」
「ンン?何を仰るので?勿論おられますとも。ほうらココに―――」
「違う……違う違う違う違うッ!!そんな白笛なんかじゃないの!そーいうのはもうイイからさ、はやくパパを出してよ!ねぇ、生きてるんでしょ?だって、だって…」
「パパが…負けるはずないもん…」
…ふふっ、娘としては父の勝利を願いたいものである。そう理解はしておりますとも、ええ?ですが…
少うしばかり、気に食わないですなァ♡
「…ンンンー?アアなるほど!生きているパパとやらが欲しかったのですか!フフ、フフフフハハハハハ!!残念ながら彼の肉体、その器となる者ども。そのどちらも最早この世におりませぬ!ンンンンー♡ご愁傷サマァ!…んん?」
拙僧がプルシュカ殿を弄っておりましたら、レグ殿が拙僧の肩を掴まれます。
ンンン、少し熱中しすぎましたか…
「ドーマン。もう、そこまでにしてやってくれ。僕たちにとってボンドルドは敵かもしれないが、プルシュカにとってはたった一人の親なんだ…それに!」
「…よくもそんな風に、『他人の死』で笑うことができるな………はっきり言って度し難いぞ。ドーマン」
「―――おやおやぁ?これは手厳しい。ですがレグ殿、こうする以外に拙僧らが六層に降りる方法は無いのですよ?」
「えっ…?そ、それってどういうこと?」
「そのままの意味でありまする、隊長殿。確実に六層に降りる方法を、我らはココ以外に知り得ぬのです。そうでしょう?…ええ、ええ。言わんとする事は分かりますとも。かの『神秘卿』はここを通らずに絶界行を行ったのだから、やり方さえ分かれば自分たちにもできる筈だ!…そうでしょう?」
「そ、そうだよ!何も殺さなくたって…」
「ほォう?それで、そのやり方というのはどの様にして見つけるので?」
「…あ」
「ええ、絶界行を行う方法は他にも有るのでしょう。ではそれをどう見つけるのですか?それはどのようなモノなのですか?…ンフフ、ほうら。何もワカラナイ、そうでしょう?」
「何処に在るのです?どんなモノなのです?…抜け道?遺物?それともはたまた何ぞの深界生物の能力なのですか?そして…それを見つけるのに、どれ程の時間がかかるのか…」
「拙僧らは急がねばならない、そうでしょう?ああ、拙僧は地上の事なぞどうでもよいですが、リコ殿やレグ殿には帰りを待つ方々がおられるようで…それなのに、ここで道草を食べてしまって本当に良いのですかァ?」
「う、うぅ…でも、それでも!」
「それに、何を勘違いしておられるのかは分かりませんが…ボンドルド殿はまだ生きておられますよ?」
「…アンタ何言ってんの?さっき自分でこの世にいないって言ってたじゃない!」
「ンン…それは、その…言葉の綾と言いますか…ですが事実、ボンドルド殿はこの笛の中に生きておられまするので…」
「…そうですなァ……時に皆様、白笛の素材とは何でありましょう?」
「そりゃあ人間じゃないの?今までのドーマンの話の流れからしてさ」
「ンンン!ご明察!ですのでリコ殿のその白笛の中にも、その素材となった者の魂が宿っておられるのですよ」
「では、ボンドルド殿の白笛の素材とは何でありましょうか?ああプルシュカ殿。貴女は、何だと思われますか?」
「そんなの…そんなの知らないわよ……」
「…ねえドーマン、今のプルシュカはそっとしてあげたほうが…」
「いえ、これはプルシュカ殿に答えてもらわねばならぬ問題なのです。ボンドルド殿の家族であったならば、きっと分かるでしょうからねェ?」
「…もしかして、」
「今駄目だと申し上げたばかりではありませぬか?!暫しお待ちくだされ!」
「…大体分かるわよ、アンタらのやり取りを見てたら。パパ自身、なんでしょ?」
「………ンンンンン!!大当たりィ!然り!えェ、そうですとも!このボンドルド殿の白笛は、彼の『一番初め』の肉体より創り出されたものでありますれば!ああ。皆様もご存じの通り、ボンドルド殿は特級遺物『精神隷属機』によってその肉体を増やしておられましたので」
「…もうお分かりでしょう。彼が己の一番初めの肉体を贄として笛を作り出したまさにその時、この中には彼の魂が宿ったのです!故にこの笛は生きておるのです。硬く、冷たく、鼓動も無く。ですが確かに生きておるのですよ!」
「―――そして、拙僧はこの白笛を使用することができまする」
『『『『………』』』』
「ンンンンー、何故でしょうねー?ですが先ほど何気なしに擦ってみましたら、なんと音が…」
「ウソ!?だって白笛って本人じゃなきゃ鳴らせないって…」
「ですが、ホラ」
拙僧が白笛の“手の甲”の部分を擦り上げると、何とも言えぬ気持ちの悪い音が鳴り響きます。
『『ウ”ェ”ェ”…』』
「ヒドイ…不協和音…」
「ど、どーまん?これやっぱおかしいって、絶対使い方違うって…笛ってもっとこう、綺麗な音が鳴るもんじゃないの?」
「……それを言ってしまえばそもそも、笛を鳴らす際に『擦る』というのも訳が分からぬではありませぬか…」
「―――ですが、どうやら機能面に問題はない様子ですよ?」
拙僧がレグ殿を指差すと、レグ殿のヘルメットが白色になっておりまする。
というのも、これは所謂覚醒というヤツでありまして…
この白笛の真の機能というは、その遺物の“本来の役割”を引き出すということにありまする。
拙僧の白笛によって、『奈落の至宝』であるレグ殿はその能力を最大限に引き出すことができるようになるのです!
「す、すごい…確かに力が湧いてくるような…でも、」
「…ンン?」
「…さっきの音のせいで気分が悪いから…トントンだと思う…」
「」
「あっちゃぁ…レグは不協和音が弱点だったかー…」
「どうやらそのようだ、すまない…」
「」
…
……
な、あ…
なんという…そんな…ええー…
不定期更新になるので失踪します。