怪しさMAXの陰陽師は、奈落の底を目指すようです   作:S・DOMAN

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忘れもしませぬ。あれは拙僧が成れ果ての姫君と戯れていたころ・・・41

 

 

 

 度々現れる原生生物どもが悠然と泳いでいる姿を眺めつつ、会話に花を咲かせておりますと、時間が過ぎるのはあっという間なものでございます。沈降を初めてから半刻も経てばもう底が見えて参りました。

 

 ああ。白骨化した亡骸の層を抜けると……いよいよ見えてまいりましたね!

 

 

 

 

深界六層、『還らずの都』が!!

 

 

 

 

 

 

 球から出ると、岩石と建造物とが混ざりあった珍妙不可思議なる光景が目に入りました。

 これこそが古代の黄金都市……嘗て『ガンジャ』なる探検隊が目指した理想郷でありますか!…ンンン。しかしまぁ黄金などどこにも見当たりはしませんが。

 

 黄金よりも価値のある代物がこの地にあるとはいえ、やはり黄金の美しき煌めきには心が惹かれてしまうものでしょう。嘗ての王侯貴族が唯の一つも例外無くそうであったように!

 

 周囲に式神を撒きつつ安全確認をしておりますと、リコ殿が我先にと駆け出し、この珍妙なる景色を眺められます。どうやらお気に召されたようで……先程からぽかん、と口を開けたままでございまする。

 

 

 

「ほあぁ~…すごい!すごいよみんな!ここが深界六層なんだあ゛あぁぁぁ!?

 

 

「おっと……リコ、あまり一人で行動するのは良くないぞ。足元には気をつけてくれよ…?」

 

 

「うぅー。分かってるよー…ぐすん」

 

 

 

 ンフフ!愉快愉快!面白いものですねぇ…

 彼女らの絡みをいつまでも見ていたいものですが、式神が何やら生命反応を探知したようですので、そろそろ出立しましょうか。

 

 

 

「さあさあ皆様方!いつ何時原生生物どもが襲ってくるか分かりませぬゆえ、そろそろ出発いたしましょう!」

 

 

「うん!それじゃあリコさん隊、しゅっぱぁ〜つ!」

 

 

 おー……などと、恥ずかしくて拙僧は言えませぬが…

 

 

 

 

 

 

 深界六層といえども未だ陽光は差しており、辺りは寧ろ蒸し暑いほどでございます。ですが子供の睡眠欲求というのは恐ろしいものですなァ、快適とは程遠いような気温の中で汗一つかかずに眠れるのですから!

 

 ……まぁ、今彼らが眠れておるのは拙僧のおかげ。式神で辺りの気温を下げているだけなのですが。

 そのような術も行使しつつ寝ずの番を勤めておりますと、何やら警戒網に反応が一つ。ナナチ殿やミーティ殿に程近い気配の生物がこちらに向かっているようでした。

 

 これはこれは!この反応はおそらく成れ果ての姫のモノでしょう。でしたら彼の御方が容易に近づけるよう式神を少し除けておきましょうか。

 ―――アァそうそう!拙僧も一応寝たフリをしておくといたしましょう!

 一人でも起きていれば、姫君が近づき難いと思われるかも知れませんからねぇ?

 

 ンンン。では皆様、おやすみなさいませ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今日の分の食料を集め終わったからひなたぼっこでもしよう。そう思ってガブールンの上に作ったお気に入りの場所に陣取り目を閉じていると、いろんなカタチの住処がある場所を横切った時に不思議な感覚を覚えた。

 

 

 

「…?おいガブールン。これなんそすか?」

 

 

『―――我の感覚器にも反応がある。獣が嫌がる音だ。それに微小ではあるが力場も発している……調べにいくか?』

 

 

「サンシィカ……とてもキモチわるいけど、『石の者』が嘆いているのがきこえるそす…そこまで連れてくそす」

 

 

『承知した』

 

 

 

 

 

 

 キモチのわるいニオイにキモチのわるい空気。力場の動き方があまりにゆがんで…ずっと頭が痛い。

 

 

 

『ファプタよ。ここであろうか』

 

 

「ん…ここからは自分でいけるそす……そこにいれ」

 

 

『承知した』

 

 

 

 ニオイがいちばん強い所に来た。正直立っているだけでもつらいけれど、ここまで来たのに何もせず放っておくのはもっとイヤだ。

 岩に空いた四角い穴から中を覗くと、なにやら太いヒモみたいなものが辺りに張り巡らされていた。

 

 これを見間違えることは無い。これは、これは……レグの…

 

 

「ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛……ソ゛ソ゛ン゛ン゛ン゛ン゛…」

 

 

 …

 

 

「ソ゛ソ゛ッ゛…ソ゛ソ゛ソ゛ソ゛ソ゛ソ゛ソ゛ソ゛」

 

 

 …せっかくレグに会えたというのになんそすかコレ、鼻からヘンなもの出してるそす。

 というかうるさい。ファプタが近づいたあたりからこのへんなのが出す音がデカくなったそす。

 レグの“守り”に触れぬよう慎重に近づき肩をゆすってみる。ゆっさゆっさと音を立てて髪の毛が揺れるけれど、コイツは一向に話しだそうとせんそす。ほっぺたをぐいーんとしても固い腹に爪を立てても何も言わなそす。

 

 

 

「…おいオマエ。オイ」

 

 

「………ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛…」

 

 

「千切そすぞ?」

 

 

「―――そ、それはどうか止めていただきたく…」

 

 

「なんだ。やはり起きていたそすか」

 

 

 

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