怪しさMAXの陰陽師は、奈落の底を目指すようです   作:S・DOMAN

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忘れもしませぬ。あれは拙僧が成れ果ての姫君と戯れていたころ・・・42

 

 

 

原作通りに髪の毛を奪われて、それで以て獣避けを作っていただき接点を得ようとしたのですが。あぁ、姫君のなんと聡いことか!ここに拙僧の完璧なる“寝たフリ”は見破られてしまったのです……でしたらこの鼻提灯はもはや必要でないでしょうから?ぱん、と弾けさせておきますね。

…ところで拙僧疑問なのですが、いったい何を千切られる予定だったのでしょうか?

 

ンン、いけませんいけません。このような幼子相手に脅かされるなどと……脳裏に浮かんだ嫌な予想に慄いておりますと姫君に話しかけられました。

 

 

 

「それで、お前はレグの何そすか?どうしてレグがファプタと同じ姿の者を連れてる…しかも二人。ファプタだけじゃダメなんそすか…?」

 

 

「ソ、ソソ。彼女らは拙僧らの隊の一員でありますれば。貴方様の考えておられる様なことは一切!えぇ、一切起こっておりませんとも」

 

 

「そすか…」

 

 

ソソソソソ。拙僧はなぜ痴情のもつれに首を突っ込んでおるのです?

正直勘弁していただきたいのですが。自分のことであればともかく、他人の色恋なぞ至極どうでも良いことでありましょうに…

 

 

「…さて。それでファプタ殿はいったい何をしにこちらへ?」

 

 

「あ、そうそす。その『石の者』が何やら嘆いておったそす。お前そいつに何したそすか?」

 

 

「ボンドルド殿が?ふゥむ……。心当たりはありませぬなぁ」

 

 

「そうか……ファプタはそれだけそす。今までごくろうであったそすな」

 

 

「―――何をするおつもりで?」

 

 

「ん?決まってるそす。レグを連れて帰るが?」

 

 

―――なッ、急に何を言い出すのですこの雌狐は!?斯様な展開は原作には無かったハズ…全く予測しておりませんでしたぞ。

ファプタ殿は罠を展開したままのレグ殿を無理やり引き剥がし、慌てて暴れ出すレグ殿をものともせず、侵入してきた窓より逃走されました。

 

ですが拙僧も運が良い!いくら予想外の出来事が起ころうともその汎用性の高さからいくらでもリカバリーが利くのは、陰陽術の長所の一つなのですよ。

さ、大人しくお縄についてもらいましょうかねぇ。

 

 

 

 

 

 

勢いよく元の位置に戻ろうとするレグの腕のシュルシュルという音を聞きながらガブールンの所へと急いでいた。

 

 

 

「うぅっ、うおゎぁッ!?ちょっ、君はいったい何なんだ?!」

 

 

「っ…やっぱり覚えてないそすか…いったい何をされた?」

 

 

「な゛っ゛。なにもされて゛ぇ゛ッ゛?!ーーーっ!イタタタタ…」

 

 

 

レグがところどころ岩にぶつかっている様だけれども、勢いを止めることはできなそす。後ろからすごい速度で追手が来てるから。

 

微小な、けれどもキモチワルイ力場を放ちながらファプタを追いかけてくるあの薄いモノ(ヒトガタ)。あれとはこれだけ離れているのに、一向に頭痛が収まらないそす。

…でも、どーにかすることはできるそす。キモチワルイ方に行かなければ撒ききれる!

 

あそこの岩を曲がればガブールンのいる場所に着く。希望の光が見えたファプタは、レグを掴む手にいっそう力を込めて走りだし―――

 

 

「ンん♡おかえりなさいませ♡」

 

 

角を曲がった先に、さっきのでっかいヤツを見た。

 

 

 

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