怪しさMAXの陰陽師は、奈落の底を目指すようです 作:S・DOMAN
「シャ゛ーーーッ゛ッ゛!!なんそすかこれ!なんそすかこれ!?」
「ソソソ……なんせすぐに逃げようとされるのですから、こうでもしなければ拘束することなど適いませぬ」
「いくらなんでもこんなネバネバにすることは無いと思うぞ…」
現在姫君とその従者は、拙僧の操りし式神によって拘束されておりまする!
前世におけるゴキブリホイホイやらトリモチなんぞを参考にして作らせていただきましたこれらの式神は、姫君をその従者を拘束するための特別仕様!少量の水気があれば、それに反応して大量の黒い粘液を発生させるのです!
……しかし。この状態の姫君を観察しておりますと、何やら不思議な感覚がこう、ムクムクと……白い体毛に黒い粘液。これはこれは………もしやこの感情こそが“いとえもし”というヤツなのでしょうか?
「あぁ!口に入れちゃダメだ!ほらペッて!」
「フーッ、フーッ…」
「あぁーーッ!?ドーマン!キミからも何か言ってくれよ!」
「拙僧、決してレグ殿のみを責め立てる訳ではございませぬが……この件に関してはレグ殿にも責がありますかと」
「う゛っ゛……ボクの知らないボクがいったい何をしたというのだ…」
項垂れるレグ殿を、リコ殿を始めとした隊の女性陣が慰めておられます。拙僧レグ殿の斯様な所が此度の騒動の原因だと思うのですよ。これはいつか再びやらかすのでしょうなァ…
これだけ呪いを施してもなお暴れる姫君とその従者を何とか宥め、その口から無理やりその出生について語らせた後(口を割らせる方法なぞいくらでもあるのですよ♡)。拙僧らは従者殿の後に案内していただき、村……“イルぶる”へと歩を進めておりました。不貞腐れて従者殿の上にて丸くなっておられる姫君とそれを護る従者殿!ンンン、何と甘露なる光景でありましょうか!
ここにナナチ殿とミーティ殿を加えるといったいどうなるのでしょう……ああ、いえいえ。別に実行はしませぬとも!
拙僧に加え従者殿もおられるのです。危険なことなど起きるはずも無く、拙僧らは無事に
………く、臭い。何です?この臭い。この異臭は村が発するものなのでしょうか……横目に皆様方を見ても、特に顔をしかめるようなそぶりなど見せられませぬから、拙僧が気にし過ぎなだけでしょうかねェ…
…ァア!よくよく思い返してみれば、拙僧は前世においても犬猫の類の発するあの……そう。動物園のカオリというものが大変苦手でありまして。それ故に少しばかり受け入れ難いと感じてしまったのでしょうな。
ええ、えぇ。なぜそのような臭いが“村”と呼ばれる場所から発せられているのか疑問に思われた方もおられることでしょう!実はこの村、生きているのです。そのおかげで村の住民を喰らおうと侵入を試みる原生生物どもを撃退できておるのですがね?
さぁ。説明なぞこの程度で十分でしょう?拙僧は疾く村の中へと入りたいのですよ。
「………やっと行ったそすか…」
あのデッカいヤツがレグたちと一緒に村へと入っていくのを、ファプタは見つめることしかできないそす。ファプタも母に入れたらついて行くのに…っ!
でも、あの“守り”さえ破ってしまえば中に入れる。レグが中から壁を壊してくれれば…
「グギュウウウゥゥ……あの不可解なる者は我が記憶領域にもあらざれり。どうやら干渉機でもない存在。価値はあれど、欲しいとは思わぬ」
「ハッハァ!何を仰るのです?すでに持っておられるというのに!」
ファプタが悪態をついたのを聞いて、ガブールンが話しかけてきた。
……いやいやいやいや。なんかおかしいそす。ここにいてはならぬ者の声がしたそす。
ガブールンの後ろを見てみると、にっこりといい笑顔を浮かべたデカ男がいた。思わずビックリして距離を取り威嚇する。
「オ、オマエどうやって?!レグたちとともに母の中へ入っていったというのに!」
「まぁまぁ落ち着きなされ。そのようなつまらぬ事などどうでもよいではありませぬか!」
「そう。大事なのは拙僧が
―――少々お付き合いしていただければと。
そう言ってデカ男はニンマリと笑った。