怪しさMAXの陰陽師は、奈落の底を目指すようです 作:S・DOMAN
「お加減はいかがです?ボンドルド殿」
「ええ、問題ありません。快適ですよ……しかし驚きました。貴方の行使するその“魔法”とでも言うべき力は、この空間すら変質させてしまうのですね」
「ンンン!人の精神なぞ飴細工の様なモノ!然れば卿の精神空間を温泉郷に作り変える事など、児戯に等しきことなれば!あ、こちら差し入れの行動食4号ですぞ」
「おやおやこれはこれは!ありがとうございます。ん?…………おやおや。これは素晴らしい光景ですね。ドーマン殿、貴方もそろそろ目覚めた方が良いのではありませんか?」
「ンん?―――…確かにそのようですなァ。それでは拙僧はこの辺りでお暇させていただきまする、何か用があればまた
食事を終え清掃も済ませて、対価となりしものを全て払い終えたあと、拙僧らは宿に泊まり夜を明かしておりました。
ンン?どうやって貨幣を手に入れたのか、ですと?
それはもちろん!ここの住民らとの物々交換でございます。彼奴ら―――いえ、住民たちも好き者なようで、拙僧の有する
そこで新たに数枚サラサラと書き上げ、欲しがっていた者共に渡してやれば、そこで“価値”による取引が発生したのでしょう。拙僧の手の内には既に幾枚かのコインがあった……という訳です。
その一部を使い宿を取り(もちろん食事は注文せずに!)一晩ぐっすりと眠ったのですが……今回は拙僧も仮眠を取らせていただきました。
何やら地上の方でかけていた呪術の一つが無惨にも破壊されてしまったようでして、その影響にございます。ソソソ。悲しいですなァ…
「んん……ななちぃ〜…」
「んなぁ〜…」
……ナナチ殿とミーティ殿は流石に暑いのか、布団は被っておられませぬ。代わりに互いに抱き合って眠られておりますので……ンん、眼福ですな!
さァて。体力の回復も済んだことですし
「む、起きたかドーマン」
「…おお。おはようございます、レグ殿。今日はお早いのですね?」
「ああ……しかしキミも眠ったりするんだな。いつも見張りをしているイメージがあったんだが安心したよ」
「んふふ!もちろん拙僧も眠っておりますとも!」
「本当か…?
「―――いえいえ。いえいえいえいえ。それは勘違いというものです。拙僧は皆様の見ておらぬ所でしっかりと睡眠を取っております、そうでしょう?」
『疾くこの者を惑はせ給へ。急々如律令』
「そうか?だが―――…いや、そうだな。すまない」
「ふふ!分かればよろしいのです。さ、皆様を起こして朝餉といたしましょう?」
「ああ」
宿にて出される食事は死んでも食わぬと心に決めておりましたので。少しばかり醜態を晒しつつも、なんとか食堂へ行くことができました。
普段であれば住民どもでごった返しているであろう食堂も、何やらガランと静まりかえっておりました。その原因はやはり〈三賢〉の内の二人が集結しているからでありましょう。
食堂中に広がる言葉にできない緊張感に、皆様方の体も強張っておりまする。
「……この村の長というのは幼子を精神的に追い詰めるのが趣味なので?」
「―――ぅええッ!?そりゃああんまりじゃないかい?」