怪しさMAXの陰陽師は、奈落の底を目指すようです   作:S・DOMAN

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忘れもしませぬ。あれは拙僧が成れ果ての姫君と戯れていたころ・・・53

 

 

 ワズキャン殿の自宅の中はその外見に違わず、なんとも“めるへんちっく”な内装をしておりまして。そう。

 

 さながらかの“動く城”のように、視界の端にはこじんまりとした暖炉と、ソファとが。

 

 そして壁には大小様々なフライパンやら鍋、包丁なども吊り下げられており、生活感を感じさせながらも決して不快にはならない…

 

 ……ンン、実に良き家です。ええ。良き家なのですよ…

 

 

 

 

      コポポポポ…

 

 

 

 

「…」

 

 

「…」

 

 

「…」

 

 

『『『…』』』

 

 

「う~ん…」

 

 

「……どうだ?」

 

 

 

「マズイ!!」

 

 

 

「だろうな」

 

 

「…あ。キミらもいるかい?」

 

 

「遠慮しときマス…」

 

 

こ れ さ え 無 け れ ば !

 

 

 ワズキャン殿特製のお茶モドキ(配合物不明)……なんだか排水溝にこびり付いたヨゴレの如き色でしたな…

 

 ですが、それよりも不思議なことには、このお茶モドキ、その見た目に反して実に香り高く、ミントのような清涼感を感じさせる匂いをしているのです。

 

 どちらにせよ、これを一息で飲んでしまわれるとは。全く末恐ろしい御方だ…

 

 

「いやぁ~失敗失敗!普段はもっと上手く淹れられるんだけど、人が多いから緊張しちゃってね?」

 

 

「いつもとあまり変わらない気もするのだが…」

 

 

「そ、そうなのか?本当にこれを、毎日飲んでいるというのか…?」

 

 

「……分かってくれるか、レグ。この辛さが」

 

 

「う~ン……おっ。慣れてきた慣れてきた。ふぅ」

 

 

「……度し難てェなー」

 

 

「だねー…」

 

 

 

 

 

 

 その後に開かれたワズキャン殿によるお茶談義が一段落着いた所で、リコ殿が口を開かれます。

 

 

「それで、ワズキャンさん…」

 

 

「ん?……ああー!そうだったねぇ!すっかり忘れてたよ」

 

「君たちに色々ちょっかいを掛けていたのは他でもない。実は君たちに……というよりは。そこのドーマン君に頼みたいことがあったからなんだ」

 

 

「―――ほォう?拙僧に。いったい何です?」

 

 

「うぅーん。話すと長くなるんだけどねぇ。ねーどうしようかベラフ。今、全部言うべきかなぁ?」

 

 

「…どちらでも、いい」

 

 

「……うーんそうだねー。ま、手っ取り早く言っちゃうとね?僕ら今チョー困っててさ!助けてほしいんだよ」

 

 

「…た、助ける?ワズキャンさん、それってどういう…」

 

 

「どのような助けを求めておられるので?」

 

 

「ぅうえ!?ドーマン!?ちょっと―――」

 

 

ここから出たいんだ(・・・・・・・・・)それも安全に(・・・・・・)、ね?」

 

 

 そこにいたのはワズキャン殿ではありませぬ。神がかりの預言者(・・・・・・・・)が、真剣な眼差しで拙僧を見つめておりました。その身に纏う雰囲気から、流石のリコ殿も『あううぅ…』と閉口してしまわれます。

 

 

「いやさぁ?ホントはこう、人質とかバンバンとっちゃってさ、『早くしないとコイツがどうなっても~』みたいな感じで行こうと思ったんだけど。君が僕らの用意した策を悉く台無しにするもんだから、もうこうして頼み込むしか無くなっちゃったんだよね!」

 

 

「はあ。そうですか」

 

 

「そーなの。まぁ、ほら。そうは言ってもやるだけはやっとかないとね?」

 

 

「ソ、ソソソ……何とも厚かましいお方ですなァ。あれだけ人に毒虫など、ゲテモノ食材を色々食わせておいて、その上さらにそのような事をのたまうなどと!いったいどの面下げて頼み込んでおるというので?」

 

 

「…ん?そりゃあモチロン、僕のこの面さ!」

 

 

 

 ―――アァッ!?ソレは拙僧のセリフだというのに!これでは二番煎じになってしまうではありませぬか!ンンン度し難し!!

 

 

 

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