怪しさMAXの陰陽師は、奈落の底を目指すようです 作:S・DOMAN
ガタガタと震えるドーマンを宥めるため、背中をぽんぽんしていた。
ワズキャンさんの方はもう落ち着いたのか、さっき注いだお茶モドキを飲みながら振動するドーマンを眺めているようだ。
……ドーマンをこうしちゃったのは私のせいだけど、きっかけはワズキャンさんに盛られた毒なんだから、もうちょい気にしてほしいな…
「ところでワズキャンさん、なんでこの家には毒のある花が多いんですか?」
「ん?んー、そうだねぇ。僕の趣味っていうのもあるんだけど、一番の理由はやっぱり、そう。“抗体”を作るためさ」
「“抗体”?」
私が繰り返すと、ワズキャンさんはしたり顔で説明してくれた。
「そうさ!深層の獣には毒を持つモノも多いからね、予め
「あ、それは遠慮しときます」
「そっかー」
……本当にこの人は、所々に違和感を感じさせるように喋るのが上手だと思うの。わざわざ毒の事を“体を害する物”、なんて回りくどい表現で言うかなぁ?それか、わざと気を引くような喋り方をしている…?
ドーマンもそうだけど、ワズキャンさんも妙に勘が鋭い。もしかしたら似た者同士、何かシンパシーとか感じてるのかな?
あ!それともアレかな?四層で見かけたあのタマウガチみたいに力場を読んでるのかも……へへ。なんちゃって〜…
「ワズキャンさん」
「んー?何だい?」
「ワズキャンさんって、何をそんなに怖がってるんですか?」
「…」
怖がっている、っていうのはちょっと言い過ぎな気もするけれど、これ以上にぴったり当てはまる言葉は無いと思う。私たちと会うときに、いつも飄々とした喋り方をするのは、恐怖の裏返しなんじゃないかな?
「私達がこの村にお邪魔した時もわざわざ迎えに来てくれたし、その後も、私達の食事にいろいろ毒を混ぜたり……かといって外から来た人を疎ましく思ってるのか、っていったらそういうワケでもない…」
「さっき私たちが入ったお店の店主さんは、元々外からやってきた探窟家の人らしいし、外から来る人を積極的に殺そうっていうことでも無いんですよね?なのに何で私達の時だけ毒を盛るんですか?」
「……驚いた。何にも考えてなさそうな顔してるのに、スゴいねぇ」
「それ褒めてるんですか…?」
「ん?うんうん。褒めてるとも!うーん……そっかー。もうそこまで分かっちゃうか…」
「なら早めにしておいた方がいいかな?ベラフ?ちょーっと仕事を任せたいんだけど!」
ワズキャンさんはなにやらぼそぼそと呟くと、ナナチやミーティたちと戯れていたベラフさんに声をかけた。
「また見回りか?」
「いいやーいいタイミングだしね。解放だよ」
「……そうか。そうか。永かったな」
「ワ、ワズキャンさん?ベラフさんも、いったい何の話をしてるんですか?」
「……そうだねぇ。何て説明すればいいか…」
「この村の外れにちょっとした洞窟があるんだけど、そこに一人、昔からの知人が住んでるのさ。そんなに仲が良いわけじゃあないけど、やっぱり同郷のよしみっていうのかな?村を出るとき一緒に連れて行きたくってねぇ」
「でしたら拙僧も同行いたしましょうか?あ、リコ殿。撫でるのはもう結構ですぞ」
「うーん…?ドーマン君も来ていいけど、
「いえいえ、大丈夫ですとも!拙僧であればその程度どうとでもなりますので!」
……まーたドーマンが悪い顔してる。今度はいったい何をするつもりなんだろ?