怪しさMAXの陰陽師は、奈落の底を目指すようです 作:S・DOMAN
あの家にてするべき全ての会話を終わらせ、拙僧らは“
さてさてどうやって降りたものかと、レグ殿と並んで穴を覗き見ておりますと、何やらワズキャン殿が言いづらそうにしておられます。
「いやぁ。申し訳ないんだけどさドーマン君、
その口調があまりに白々しいので、拙僧も思わず呆れ果ててしまいました。
「……はぁ。まあ宜しいでしょう、という事ですのでレグ殿?腕は伸ばさずとも結構ですよ?拙僧が浮かせて差し上げまするので」
「え?嫌だが?また吹っ飛ばされたら困るし…」
「なんと心外な!!レグ殿!?ここは空気を読んで拙僧にお任せなされよ!」
「え〜…」
「ほ、ホラ、リコ殿!リコ殿からも何かおっしゃってくださいな!」
「わたしも遠慮しとこうかな?ロープは自前であるし」
「ンンンンンン!!」
「…へぇ、君たちは仲がいいんだねぇ!」
「ワズキャン殿?いったい何を見ておられたので?」
何やら微笑ましいモノを見るような目をしておりますが、それは結構。結局、飛行用の呪符は拙僧とナナチ殿、ミーティ殿、プルシュカ殿、そしてワズキャン殿の分、合わせて五枚となりまして、リコ殿はレグ殿と一緒に抱き合って降りて行かれました。
ワズキャン殿は初めての浮遊体験に大いに興奮なされたようで……拙僧の式神、使って楽しいオモチャなどでは断じて無いのですが…
さて。下に着きますと、数多の黒い物体……いえ、生まれることのなかった子供らが拙僧らの足元にて蠢いておりました。なんとも不快な心地にさせてくる者共ですが、ここは耐え忍ぶ時です。ぐっと腹に力を込め、一歩を踏み出しました。
拙僧以外の方々には一切近寄らぬのですが、やはり皆拙僧を警戒しておるのでしょうか。これはまるで……そう。黒き洪水のようで!闇の中でもハッキリと分かります。拙僧の前に立ち塞がる無数の眼よ!ああ、ああ……これはなんとも…
「親から礼儀というものを学ばなかったのですかな?皆様方、あまり良い心地はしませぬぞ」
―――疾く之を殺め給え、〈急―――〉
「おーっと!ドーマン君?僕としてはそれ以上はちょっと止してほしいんだけどなぁ。ダメかい?」
「…………まあ良いでしょう。皆様には何の害も与えぬようですから、ねェ?」
「―――はぁ。まったく。何となくは分かってたけど、君ってホントとんでもないねぇ」
これまでドーマンがする事には何かしらの理由があった。ミーティを人に戻したのもナナチを仲間にするためだし、ボンドルドを倒した……いや、違う。
殺した。殺したのも、後からプルシュカやナナチから聞いた事を元に考えてみれば、(六層に降りるためというのもあるけれど)プルシュカを助けるためだった。
……きっと、私たちと一緒に奈落へ潜るのにも何か理由があるんだろう。でなければ、あんな奇跡的なタイミングで私達に声をかけなかったハズだから。じゃあ、いったい何故こんな事をするのだろう?
ドーマンが“オンミョージュツ”を使う時は、いつも『キューキューニョリツリョー』っていう謎の言葉を発していた。時々無言で『それっ!』みたいな風に使う事もあったけれど、大体はその言葉だけを使っていた。
なのに、今回は余計な言葉が付いていた。
なんで?なんでドーマンはそんな言葉を付けたんだろう?それも『殺めたまえ~』なんてド直球な言葉まで使って…
ドーマンはボンドルドすら倒しちゃう力を持っている。だったらこんな黒い生き物、あの不思議な力で、何も言わずただ指を振るうだけで倒してしまうだろう。なのになんでわざわざ口に出す必要があったのかなぁ…
なんだろう。もうちょっとで何か思いつきそうなんだけど…
「リコォ〜、どうしちまったんだ?急に立ち止まってよ〜。早くしねぇと置いてくぜ〜?」
……まぁいいや。また後で考えよっと。
皆には内緒で書いている日記の、ドーマンに関することが書かれたページ。そこに早く追記したいと思いつつ、皆のいる場所へ急いだ。
リコの書いた〈ドーマンの生態〉…
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読みたい!
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別にいい…
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“リンボマンのカンタン陰陽道”の方がいい