怪しさMAXの陰陽師は、奈落の底を目指すようです   作:S・DOMAN

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もう一話あるよ!!


忘れもしませぬ。あれは拙僧が成れ果ての姫君と戯れていたころ・・・58

 

 

 

 ワズキャンの家に着くと、ちょうどベラフが家から出ようとしている所だった。なんでも、あまりに帰ってくるのが遅いから、迎えに行こうか悩んでいたらしい。

 

 中に入るとお茶が入れられていて(なんと花の蜜入りらしい!)、ベラフの女子力の高さにみんなが驚いているようだった。ふへへ、そうでしょうそうでしょう。ベラフの家事力は隊の中でも頭一つ抜けて高かったからね!

 

 

「んのぉぉぉ……甘い!甘い!?甘くないコレ?」

 

 

「これが普通なのだ」

 

 

 っていう二人のやり取りを見て、思わず信じられない物を見るような目をしてしまった。村から送られてくる信号でどういうやり取りをしているのかは知っていたけれど、いざ目の当たりにするとやっぱり信じられない。だって、

 

 

「あ、あのワズキャンがんのぉぉぉって!ふへぇこれヤバい面白すぎる!

 

 

「そりゃ僕だって150年も生きていれば丸くもなるさ」

 

 

「でもその割には、昔みたいに見える(・・・)んでしょ?」

 

 

「―――まぁねえ…」

 

 

「ン゛ン゛ッ゛。皆様?そろそろ本題を…」

 

 

 私がワズキャンをなじっていると、ドーマン君が急かしてくる。どうやら内輪で盛り上がりすぎたみたいだ。

 

 

「うん、大まかなことは君たちの“信号”を見ていたから分かるの。でもね?いったいどうやって私たちをここから出すつもりなの?」

 

 

「フフフフフ!どのようになどと!それは勿論拙僧の呪いを使うてですね―――」

 

 

取り込むの(・・・・・)?」

 

 

「―――は?」

 

 

 たった五文字。でもその言葉はドーマン君に衝撃を与えるのに十分な力を持っていた。

 

 

「ふへへ。やっぱり……私ね、ずっとドーマン君のことが恐ろしかったの。だからずっと“信号”を見てた……頭の中の深い所、魂の信号を」

 

「私は少なくとも、貴方がこの村に来てから今までに考えたことを全て知ってるよ。だからね?」

 

 

「取引、しない?」

 

 

 何の色も浮かべないその顔に、最高の一撃を。

 

 …ふへへへへ。〈三賢〉だけでどこまでやれるかなぁ…

 

 

 

 

 

 

 何たる屈辱!何たる醜態!!

 

 儂が!平安の世を代表する英霊であり、三柱の神をも隷するこの儂が!このような小娘の口車に乗せられておるのですから!

 

 穴の開いた記憶が恨めしい。なぜこれ程までに大事なことを忘れていたというのです?

 

 ああ、いかぬ、いかぬ。平常を保たねば…

 

 

「私はね。ついさっきまであの子の、この村の一部だった」

 

 

「……今度は何です?」

 

 

「村の役割はいろいろあるけど、最も重要な役割は、その人の“願い”をつまびらかに明かすことなんだ。その人が一番欲しいものが分からないと、村はそれを作ることができないから」

 

 

「―――ま、まさか」

 

 

「それで、ね?私たちがあなたにやってほしい事が二つあるんだ」

 

 

「…ほう?言うてみなされ」

 

 

「一つは、私たちが外に出ても死なないようにしてほしい。その為に必要な行為を惜しまないでほしい」

 

 

「それで終いで?」

 

 

「いいえ、今ので一つ。二つ目は」

 

 

「“(イルぶる)”を……イルミューイを、殺してほしいんだ」

 

 

 

 彼の顔に、喜色が浮かんだ。

 

 

 

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