怪しさMAXの陰陽師は、奈落の底を目指すようです   作:S・DOMAN

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ワズキャン

 ガンジャ隊が外に出ても死なないようにしたいな~。“村”を出たいなぁ~~~。やっぱここ故郷じゃないよ~。奈落の底を目指したいよ~…

 ワズキャンに電流走る。“神がかり”がヘンなデカ男の来訪を予知。これだー!たぶんこの人がどうにかしてくれるんだ!

 でも自分の“神がかり”が怪しいって言ってる…

 そうだ!弱みを握ってからお願いしよう!ね~たのむよヴエコ~!こーいう感じの大男が村を訪れたら、ずっと思考を読んでてほしいんだ!思考をたれ流しにしてたら弱みの一つや二つぐらい掴めるでしょ?

 わーい上手くいった!よし!!後はお願いするだけだ!たのむよヴエコー!

 えっwちょwwヴエコが裏切ったんだけどwwwやばwww


忘れもしませぬ。あれは拙僧がワズキャン殿と腹の探り合いをしていたころ・・・60

 ワズキャン殿はよほど強いショックを受けたのでしょう。少しばかり硬直しておられましたが、何とか再起動為されたようで、またその口を動かし始めます。

 

 

「ふーん……そう。そうかー…いやぁ。正直お手上げだよ。僕らが差し出せるものなんてそんなに無いし、何より君の最も深い所にある『願い』も、どうやら叶えることはできなさそうだ……少なくともこの村ではね」

 

「“村”が叶えることのできる願いは読み取ることのできる物のみだ。村と同化していたヴエロエルコが読めなかった(・・・・・・)時点で僕たちにはどうしようもない。だから、代わりにと言っては何だけれども」

 

 

「君の望む『鑑賞』、僕たちが手助けしてあげよう」

 

 

「その願望への助力。それを対価として、僕は君に先程の二つの願いを叶えてもらいたい」

 

 

 

 

 

 

 この数瞬でそこまで思考を巡らせるとは……やはり〈三賢〉、恐ろしき者共ですなァ。

 

 

「ですがワズキャン殿?その程度(・・・・)の対価で拙僧らが動くと思われておるのでしたら、それは見当違いというモノですぞ?」

 

 

「おやぁ。まだ望むことがあるのかい?まいったねぇ……まぁ言うだけ言ってみてよ。できる限りの事はしてみよう」

 

 

「ンン♡真ですか!では遠慮なく…」

 

 

「あ、あんまりトンデモない要求をするのは止めてくれると嬉しいんだけどー…?」

 

 

「ああ!いえいえ、いえいえいえ。どうかそう怯えなさるな!きっと皆様にとってもそう悪くない“オネガイ”にございますれば!」

 

 

 

「どうか!どうか全てが終わった後、拙僧らの探掘隊に加わっていただきたい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ドーマン!?ダメだよ!」

 

 

 私だってまだ子供だけど、それでもこの隊を率いる隊長なのよ?だからこの場に隊のリーダーとして座って話を聞いてたの。それに、よっぽどの事が無い限りはドーマンに任せようと思ってた。

 

 でもそれはダメでしょ!?

 

 

「ンフフフフフフフ!リコ殿。いったい何がご不満なのですかァ?」

 

 

「だ、だってこの人たち、ドーマンに毒を盛ったんだよ!?たまたまドーマンが大丈夫だったから良かったけれど、もしレグ……いやナナチとかプルシュカたちが毒を盛られたりしたら、きっとタダじゃ済まない!」

 

 

「ええ、そうですよねェ」

 

 

「それに、それに……だって…」

 

「みんなも大事な仲間だけど、ドーマンももーっと大事な仲間なのよ?それなのに仲間を傷つける人を隊に入れるなんて!ダメだめだめ!!ぜっーたいダメなんだから!

 

 

 私が必死になってドーマンに言うと、ドーマンは少し驚いた顔をしていた。さっきまで浮かべていた胡散臭い笑みも崩れて、少しぽかんとしているようだった。

 でもその(ドーマンにしては)珍しい顔も少し経つと消えてしまい、後にはさっきよりも少し真面目な表情があった。

 

 

「―――と、まァ。我らが隊長殿はこのように仰っておりますので?少しばかり要求を吊り上げさせていただきましょうか……ワズキャン殿。何か異議がおありで?」

 

 

「…………いや。ないよ」

 

 

「大変宜しい!でしたらそうですナァ……手始めに、そう。この交渉の後より、貴方方の率いるガンジャ隊を仮称〈リコ隊〉の隷下*1に置かせていただきましょうか」

 

 

「―――そんなことをしていったい何をするつもりなんだい?」

 

 

「ええ。先ず手始めに隊の皆様の身体強化をさせていただこうかと」

 

 

「は?」

 

 

「その後には目ぼしい遺物の蒐集、食料などの物資の徴収など―――」

 

 

「ちょっと待って!?ドーマン、キミは、きみは…」

 

 

「あとはそうですな。〈三賢〉制度を撤廃し、現三賢の御三方を拙僧の(・・・)麾下に置かせていただく……まぁ、この辺りが落とし所でしょうかねぇ…」

 

 

 私も今まで見たことがないぐらいよくしゃべるドーマンに圧倒されたのか、ワズキャンさんが固まってしまった。横でジッと聞いていたベラフさんもどうやら戸惑いを隠せない様子だ。

 たぶんドーマンの言っていた内容がよっぽどショックだったんだろうなぁ。

 あ。でも。聞き取れたものの中には、遺物の収集とか身体強化とかいろんな事があったけれど、そんなに驚くようなことだったかな…

 

 

「そ、そんなことを受け入れちゃったら、僕たちが僕たちじゃなくなっちゃうじゃないか!!」

 

 

「ハァ?いったいそれの何処が問題なのです?拙僧とてわざわざ手間をかけて、外界の畜生共に上等な餌をくれてやれるほど広い度量は持ち合わせておらぬのですよ。でしたらそう。いっそのこと隷下とした方が手っ取り早い!」

 

 

 

ンフフフフフフフ……自らの尊厳だとか、自由意志だとか。そのようなこの大穴においては糞の役にも立たぬような代物を焚べてやるだけで!この奈落を穿つ力を得られるならば!貴方方に如何様な問題がありましょうや?」

 

 

 

*1
どうやら“支配下に置く”を難しく言ってるみたいだぞ!何で難しく言ってるんだろうね?




道満

 ンフフフフ!!このように言えばきっとリコ殿は反対されるでしょう。そうすれば『隊長の意にそぐわない』という大義名分を得ることができる……こうなってしまえばワズキャン殿といえどもどうしようもない!
 子供の癇癪ほど恐ろしきモノはありませぬからなァ!!フハハハハハ!!

 この言い草、あまりにも……ンン。も、もしや“絆レベル”を上げ過ぎたとか?
 リコ殿の言葉を借りるならば、隊の皆様方よりも『もーっと大事な仲間』…



 ―――レグ殿よりも?



 …………ンンンンンンン。これは、また、何とも……それ程までに絆を深めてしまった拙僧にも落ち度はありますが…
 そこまで言われたならば、拙僧も真面目に取り組むしかないではありませぬか。

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