怪しさMAXの陰陽師は、奈落の底を目指すようです 作:S・DOMAN
昔の道満ンンンって言いすぎじゃない?
「うきゃあ!?あたたたた……頭から突っ込んじゃったよ…」
「ソソソソソ!ですが先程よりかは幾分マシになっておりますぞ?」
「うぅ……それならいいんだけど…」
“施術”の疲れから、まるで電源を切るように眠ってしまわれたので、治癒の呪いを掛けまして。翌朝、拙僧はすっかり調子を取り戻したリコ殿と共に身体を動かす訓練をしております。
何を今更と皆様は思われるかもしれませぬが……〈千人楔〉ですぞ?たった一刺しで無双の怪力を得られる遺物を四つも刺し、まだ使用してから半日も経っていない子供が、そのあまりの力に振り回されるのも至極当然の事でしょう?
「ふべぇ!」
「んっふ…」
「っ、あー!今笑った!今私の事笑ったーっ!」
「い、いえいえ!そのようなことはありませんとも!そも、拙僧がリコ殿を
「……うー」
「分かっていただけたならば良いのです。ソソソソソ…」
さて、その日の夜にはナナチ殿とミーティ殿に。
「にぎゃーッ!!」
「あいたたたた…」
「ンフフ!辛抱なされ!」
その次の日はプルシュカ殿に。
「うっぐ……コレ、結構ツラいわね…」
「えーっとね、初めは痛いけど慣れるとそんなに感じなくなるよ!すっごいお腹が空くようになるけど…」
「―――それってホントか?」
それぞれ施術を致しまして、後はこの遺物の齎す飢餓感に慣れていただければ良い、という所まで来ました。
しかし幼子の身体とは斯くも柔軟性の高いモノでありましたか!力の制御は既にこなしておられる……まだ一週間も経っておらんのですぞ?“上”の拙僧でさえ一月は掛かったというのに!これでは拙僧の面目が丸潰れではありませぬか!
毎度の如く、倒れるようにして眠ってしまわれたプルシュカ殿の介抱をリコ殿に任せて、宿のバルコニーにて少し夜風に当たっておりました。
いかに奈落の底と言えども、日も差せば夜にもなりまする。
そして夜であれば周りの目の心配も……いえ。注意はしておりますが、日中ほど気張らなくとも良くなりますれば。
“外”に派遣している式神に念話を飛ばします。二号?二号?聞こえておりますか?
『ンン!感度良好ですぞ!何用ですかな?』
「ええ、そろそろファプタ殿が必要になるやも知れませぬ。ゆめ傷付けぬよう。貴方とガブールン殿で守るのですよ」
『まったく、何を言うかと思えばそのような……言われずとも理解しておりまする』
「よろしい。それで?」
『……何です?』
『勿論あらたな遺物の事ですとも!いやぁ少々予想外な事が起こりましてな?
『ほォ!!それは素晴らしい事ですなァ!で、その遺物はいったいどの様な代物なのでしょう?』
『ええ。先ず―――』
後より拙僧に気付いて、聞き耳を立てておる間諜に、一寸たりとも情報を漏らさぬよう遮音の結界を張りつつ、夜は更けていくのでした。
また暫く失踪します。